【column】「バイクの運転が怖くない」なんてありえない!?
車体と自分の力量を理解するが第一歩
「下りコーナーは、なぜ怖いのか?」という問題に対して、BikeJIN編集部内での仮説/考察からはじまり、快走するための解決方法、楽しみ方、走りがいのあるワインディングルートを調査したBikeJIN12月号。その結果、僕はというと「いまだ、下りコーナーは怖い」というのが率直な感想です。
ただ、その「怖い」は少し前とは違う感覚。まだ二輪免許を取得したばかりの僕は「どの程度スピードを出したら、ヘアピンカーブが曲がり切れないのか」「どれくらい車体を傾けたら危険なのか」といった感覚がまだ分からない(こういう人、意外と多いのでは……?)。この状況を、僕が好きなRPGゲームに例えてみます。ゲーム序盤、初めて戦う敵に遭遇するたびに、えも言われぬ不安に襲われます。それは敵の強さや怖さが分からないから。当然、自分と比べて強いのか弱いのか、どう攻めたらいいのかも分からない。だから怖い(でも、大抵は自分のレベルに見合った強さだったり、倒し方を知っていれば苦労しない相手だったりする)。「自分と相手の実力を計れないこと」で必要以上に怖がってしまうのです。
話を戻すと、自分の操縦技術、バイクの性能と次に迫る下りコーナーの難度を計れない状態が、少し前の僕でした。当然、超低速でのコーナーリングになるので、楽しいはずがありません。今回の特集で、お手本となる先輩ライダーたちの考えや走り方を知ったことで分かったのは「バイクは曲がる乗り物」ということ。それを知らなかった今までの僕は「必要以上」に怖がっていました。
だからと言って「怖さをゼロになくしたいか」「ゼロになくすべきか」というと、そうは思いません。出口が見えにくいコーナーは随所にあるし、一般道であるワインディングでは思いもしないことが起こり得る。「必要以上に怖がらない、〝正しい怖さ〞」があることで、危険察知に敏感になり、思わぬ危機にも対処できるはず。
車体と自分の力量を正しく理解したうえで、無理せず安全にワインディングを楽しむ。そのために「下りコーナーは、正しく怖がって走る」というのが、今回の僕の結論です。忘れてはいけないのは「事故なくケガなく、安全に自宅へ帰ること」が、何よりも優先すべきライダーの第一目標であること。連続する下りコーナーを抜けて麓まで下りたときに、「あぁ楽しかった」と思える走りをしたいものです。
免許取りたたてのバイク遅咲きライダー。キャンプ雑誌を経てBikeJIN編集部へ。愛車は現在物色中