[海外ツーリング]喧騒と静寂が同居する初夏のマン島
マン島はイギリスとアイルランドの間に浮かぶ小さな島だ
毎年5月下旬から2週間、『マン島TT』というレースが開催され
イギリスやヨーロッパ各国から1万5000台以上のバイクがやってくる
そして小さな島ながらどこを走っても気分爽快な景色が広がっている
バイクカルチャーの原点を肌身で感じるツーリング
北海道はツーリングライダーの聖地。一度ならず二度三度どころか10回以上訪れている人も多い。それだけ魅力あふれる島なのだが、なかにはちょっぴり飽きた人もいるのではないだろうか。
そんな人に訪れてもらいたいのがイギリスだ。なだらかな丘陵地帯に広がる青々とした牧場や畑。広々とした平野にどこまでもまっすぐ続く爽快な道。とりわけイングランドとマン島は、牧場の中に町や道路があるといった趣で、北海道よりもスケールの大きな大規模酪農地帯を旅することができる。
昨今は外国人も利用できるレンタルバイク店が充実しているし、BMW正規ディーラーにも『RENT A RIDE』がある。いずれも日本にいながらインターネットで予約できるから、海外ツーリングのハードルはかなり低くなっているのだ。唯一の問題は今は円安のため旅費がかさむことだが、こればかりはしかたがない。
とくにちょっぴりバイク倦怠期を感じていたり、新しいことをしてみたいと思っているなら、ぜひとも海外ツーリングにトライしてほしい。日本では体験できない、すてきな旅を楽しめるはずだ
数ある海外でもイギリス&マン島を勧める理由は、「日本と同じ左側通行」であることと、TTレース期間中のマン島にはヨーロッパ中のレース好き、ツーリング好きのライダーが集結するからだ。淡路島ほどの大きさのマン島に、1万5000台以上のバイク乗りがやってくるのだから、まさしくバイカーズパラダイス。英語を話せなくても、バイク好きという共通項があるからコミュニケーションは簡単だし、バイクカルチャーの原点を体感できる楽しさは格別だ。
マン島TTは公道レースで、1周約60㎞もあるから、観戦ポイントは紹介しきれないほどある。しかもコースから2mも離れていない場所から、250㎞/h以上で疾走するレーシングバイクを体感することもできる。
レースがない日は、島中すべてがツーリングポイントだ。世界初の電車、きかんしゃトーマスのモデルになった蒸気機関車などの観光用鉄道に乗るのもいいし、どこを走っても楽しい。500年以上前に建てられた城や、およそ5000年前に作られたストーンサークルといった遺跡もある。
バイク博物館も島内に3軒あり、貴重なバイクが保管されているし、来島するバイクには英国旧車をはじめとしてレアバイクも多いから、それらを眺めるだけでも楽しい。
海外ツーリングは日数も旅費もかかるし、不安もあるだろう。しかしそれを補って余りある経験を得られることはまちがいない。多少の違いはあるものの、道交法も交通標識もほぼ世界共通だから走り出せば数時間で慣れる。初日を無事に終えれば、不安は楽しさに変わっているはずだ。
マン島ツーリングをするなら、ロンドンでバイクをレンタルしてイングランドを北上。リバプールからフェリーに乗ってマン島入りするのがスタンダードだ。極上のツーリングをぜひ味わってほしい。