【ツーリングガイド】南の果ての長崎は夕陽が沈む島の国
離島への赤い架け橋今でも残る島の良さ
長崎市から西海市に入ると、明らかに景観が変わるのを感じる。起伏のあるシーサイドワインディングロードを走ると海水浴場や島が見えてくる。そこで1日中過ごせるほどの景勝地がいくつもある。おいしいものが溢れる西海市から佐世保へ。一般道なら西海橋、有料道路なら新西海橋を渡る。橋を眺めるなら下道を行けば西海橋公園展望台がある。佐世保エリアも九十九島や佐世保バーガーなどがあるので時間が許せば立ち寄りたい。国道383号を行くと現れる巨大な赤いつり橋が平戸大橋だ。全長665・1mという大スケールだ。77年に橋が開通するまでは平戸は離島だったという。なんとも不思議な感じだ。
平戸市は、日本で初めて西洋貿易が行われた土地柄。街は異国情緒を味わえる。バイクを降りて少し散策するのも良い。僕は2日目の宿を迷わず平戸に取った。
長崎の旅のパートナーはMT‐03。250㏄と共通の車体に300㏄のトルクフルなエンジンを搭載したミドルネイキッドだ。ヤマハらしい軽量でコンパクトな設計、そして欧州で人気のファイタースタイルだ。ヤマハバイクレンタルではテールボックス、ETC、スマホホルダー、USB電源をセットしたツーリング仕様の車両があって非常に重宝した。
ルートは起伏のある道を一気に30〜40㎞走ることも多かったし、雨にも見舞われた。しかしストレスを感じることなく、まるで自分のバイクで走っているかのような安心感だった。感謝!
今回のお目当てのひとつ「長崎の夕陽」は長崎市遠藤周作文学館で迎えた。「道の駅 夕陽が丘そとめ」が隣接しておりツーリングの休憩に便利なスポットでもある。
遠藤周作といえば、「ダバダー、ダバダー、フー。狐狸庵先生遠藤周作、違いが分かる男の〜」というコーヒーのTVCMで、当時は小学生でも知っている有名小説家だった。ユーモアあふれる作品も多いが、カトリック教徒として神、信仰、人間の心情をつづった作品は子供には少々難解だった。「イエスの生涯」「沈黙」「海と毒薬」などは大人になってから読み返すと、人間の弱さが身に沁みたりするから遠藤周作は面白い。
遠藤文学の原点と目される小説「沈黙」の舞台となったのが長崎外海地区であるため、この場所に文学館が建てられている。各種文献の所蔵、展示のほかに、角力灘を見下ろす「思索空間アンシャンテ」がある。
生前遠藤周作がここを訪れた時「神様が僕のためにとっておいてくれた場所だ」と喜んだという。『人生とは何か』ということを考える場所になればという、妻・順子さんの思いが込められている。
23年は生誕100年を迎える。文庫本をポケットに入れて文学ツーリングに出かけてみてほしい。
平戸大橋
1977年に開通した本土と平戸島をつなぐ国道383号の赤いつり橋。2010年に無料化。平戸島側にある平戸大橋公園から橋全体が見渡せる。橋はトラス吊橋構造で全長は665m、海面上30mに吊られている。大橋の下には公園があり、庭園や広場が整備されている
通り過ぎるだけではもったいない。橋のたもとのカフェや駐車場から見上げる平戸大橋は、よりスケールが大きく見える。夕陽に浮かび上がるシルエットもまた美しい
長崎県平戸市岩の上町と同市田平町を結ぶ
ライダーズカフェGG
長年の夢「カフェオープン」をかなえたオーナーの池田さん。旨いコーヒーでライダーを迎えてくれる。生月だけじゃなく、宮之浦もみて欲しいとのこと
長崎県平戸市田平町小手田免848-6
TEL0950-57-1813
営業時間:11:00 ~ 20:00
定休日:月、水、木曜
https://www.instagram.com/cafegghirado/
長崎市遠藤周作文学館
施設は遠藤周作の代表作「沈黙」(昭和41)の舞台となった長崎市外海地区にある。遠藤の愛した風景の中に、蔵書・生原稿などの遺品が遺族より寄贈・寄託され、収蔵・展示されている。道の駅「夕陽が丘そとめ」に隣接
「思索空間アンシャンテ」で読書し、人生を考える? ナカジマ。角力灘と水平線。この日はとても穏やかな海で、静かに夕日が沈んでいった
長崎県長崎市東出津町77
TEL0959-37-6011
開館時間:9:00 ~ 17:00(入館は16:30まで)
休館日:12月29日~ 1月3日
料金:360円
https://www.museum.or.jp/museum/7187
雄大な角力灘が一望できる夕陽スポット
長崎市内で唯一の道の駅で、遠藤周作文学館が隣接。角力灘(すもうなだ)に浮かぶ島々や出津文化村の素晴らしい風景を見渡せる。ここからの夕陽は長崎屈指の美しさで、晴れた日には五島列島も見えるビュースポット