信号もコンビニもない産山村
阿蘇を走るなら、産山村の名前は覚えておいた方がいい。この産山村は熊本県の中でも北東に位置し、大分県と隣接する阿蘇の外れにある小さな村だ。
この産山村には信号もなければ、コンビニもない。東京に勝っているのは標高で、村の平均標高は東京スカイツリーよりも高い700m。村には名水百選に選ばれる池山水源や山吹水源があり、水道の蛇口をひねれば旨い水が飲み放題。水が旨いから、料理も旨く、産山村の飲食店は実力派ぞろいだ。オムライスで有名な山水亭に、多くのライダーが来店しているのがその証拠と言えるだろう。
この山水亭の店主を務めるのが井龍次さんで、産山村には「井」という苗字が非常に多い。今回、お話を聞いた企画振興課の課長も井さんだが、この村で「井さん」と言っても通用しない。下の名前まで把握しないと、人違いが起きてしまう。企画振興課の史生さんは産山村を、「吉幾三の歌を地で行く村」と謙遜するが、この村を侮ってはいけない。小さな村ながらも、全国の自治体からも注目されている村なのである。
そもそも、産山村は「平成の大合併」で自立を選んだ数少ない自治体である。村の消滅か、存続か……。苦渋の決断の末に合併しない道を選んだ産山村は、豊かな自然を活用し「産山ブランド」を確立。自治体の中でも貴重なモデルケースと言えるだろう。
それだけではない。このコロナ禍で降ってわいた給付金の10万円。コンパクトな村だからこそスピーディに動けることを実証し、全国の自治体の中でも1、2を争うスピードで配布を完了させたほど。
そんな産山村にも、すでに高齢化社会の波は訪れている。当然、この村で生活するにはクルマは必須だが、最近では高齢者の運転免許の返納が増加。この課題に対する産山村の回答のひとつが移動販売だという。各エリアに生活必需品を積んだ軽トラックが回り、地元住民が集まるのだから、井戸端会議も自然発生。「お話もできて楽しい」と好評だそうだ。
野望(!?)もある。それが人口減少の解決を目指した「稼げる村づくり」構想。ふるさと納税に活路を求め、魅力的な商品開発を行っていくとのことだが、驚くべきはその数値目標。20年度の目標寄付額を、昨年度の“約20倍”となる1億円に設定したのだ!
具体的な商品は11月までにすべて投入するそうなので、皆さん、応援して産山村をビッグにしようぜ!
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