「ライダーの聖地」と言われたら
「北海道」と答える人もいるだろう
もちろん北海道も素晴らしいが、阿蘇を走れば
ここも真のツーリング天国であると思えるはずだ
比較的狭いエリアに絶景道が密集する地
阿蘇山は、火口原とその中央にそびえる阿蘇五ご 岳がく、その周辺に広がるカルデラというくぼ地と、これを取り囲む約128㎞の外輪山を含めた総称。そしてこの付近を、僕らは単純に「阿蘇」と呼ぶ。
そんな阿蘇は近年、ツーリングライダーが憧れる(あるいは愛する)場所として注目を浴び続けている。その人気は、ともすればかつて圧倒的ナンバーワンに君臨してきた北海道を超えるほどだ。
なぜ、阿蘇はこれほどまでにライダーを魅了するのか?
そこには数々の理由が考えられるが、それらの基本となっているのは、全国屈指の絶景道、数々の名湯、そして山海の幸が、広すぎないエリアに点在したちょうどよさだ。北海道は、たしかに素晴らしい。でも「どうせなら宗谷岬や知床や……」なんて欲張ると、最低1週間くらいの休みが必要となる。対して阿蘇は、魅力が凝縮されていて、やまなみハイウェイで大分県側の湯布院や別府、熊本市内に展開して熊本城に足を延ばしたい程度で、それ以外はすべて阿蘇で完結しても、もったいなさを感じづらい。だって、阿蘇こそがメインエリアなのだから!
しかも本州からフェリーで九州に上陸するなら、大阪‐別府航路を選択することで、「せっかくならもったいないから問題」のうち別府&湯布院を訪ねるミッションは、ロスなく解決できてしまう。
現地滞在2日間でも、満足度が極めて高い。ここに挙げた10 個の要素に加えて、これも阿蘇がライダーに愛される理由である。
阿蘇エリアは本誌の「絶景ロードランキング」上位ランカー
本誌が毎春にアンケートを実施している「絶景道ランキング」では、阿蘇を走るルートのうちやまなみハイウェイ、阿蘇パノラマライン、ミルクロードがトップ10入りの常連!
- 1位 やまなみハイウェイ
- 2位 阿蘇パノラマライン
- 3位 ビーナスライン
- 4位 ミルクロード
- 5位 角島大橋
南側には、カルデラの中で営まれている人々の暮らまなみハイウェイのほぼ中間付近、瀬の蘇の中核を成す阿蘇五ご 岳がくは、標高1592mの高岳を最高峰とする活火山。中央しとその奥にそびえる阿蘇五岳、北側にはくじゅう連山を眺望でき、阿蘇外輪山の荒々しい絶壁はすぐ足元。早朝には雲海、夕暮れ時には外輪山に沈む夕日も美しい。大観峰の絶景は極めて多彩。何時間滞在していても飽きないほどなのに、この場所は定番絶景道のミルクロード沿いにあり、大きな舗装駐車場やトイレ&売店&軽食コーナーまで完備されている。スバラシイ!
ミルクロード沿線にあり、やまなみハイウェイとの交差点にも近いため、大観峰にはツーリングライダーが多く集まる!
大観峰から見た景色
阿蘇の中核を成す阿蘇五岳(あそごがく)は、標高1592mの高岳を最高峰とする活火山。中央火口丘群のほぼ中央に位置し、もっとも活発な活動をしている中岳では、2019年7月26日にも小規模噴火があったばかり。この雄大な阿蘇五岳は、盆地であるカルデラの中にそびえることからさまざまな角度で遠望でき、逆に近づいて噴火を間近で感じることも可能だ
やまなみハイウェイのほぼ中間付近、瀬の本高原にあるルート沿いの休憩スポットが、レストランや売店などを備えた三愛レストハウス。ライダー定番の立ち寄り場所で、多数のバイク乗りに出会える
阿蘇五岳のひとつである烏帽子岳の北麓に広がる火口跡にある78万5000㎡もの大草原と、雨水が溜まってできた池が織りなす、自然のコントラストが絶景。噴煙を上げる中岳を背景に、放牧された牛や馬がのんびり暮らす牧歌的な風景を紡げる。大観峰と並ぶこの絶景地も、阿蘇パノラマラインで簡単にアクセスできる
お隣の大分は「おんせん県」を標榜するが、熊本県だって負けちゃいない。阿蘇とその周辺には、名湯・秘湯が豊富にある。わいた温泉郷などでは、100~300円程度で入浴できる、地元の生活に密着した温泉も多数。半径数㎞のエリアに源泉がまるで異なる温泉が湧く地域もあり、「1日で10湯巡り」なんて無茶も可能なのだ!