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奥多摩周遊道路“ココが危ない!”


80年代バイクブームの頃からライダーが集まっていた奥多摩
ツーリングライダーもいれば走り屋もいるというワインディングで
近年は自転車のロードバイクも増えている
観光道路というよりも走りを楽しむ場、それが奥多摩周遊道路の実情だ
バイクの事故が急増するなか、その状況や要因を探った

文/田中淳麿

若年層の転倒事故が急増二輪業界も対策を!

奥多摩周遊道路の二輪車事故が急増している。警視庁によれば、昨年10件だった人身事故が今年は6月までの上半期ですでに20件、倍増どころか4倍増にもなりかねないペースだという。
特に顕著なのが若年層による単独事故だ。昨年の7件から、今年は半年で15件と倍増。奥多摩周遊道路の二輪事故はその6割以上が10~20代の若年層が占める。これは近年の二輪車販売傾向である「若年層が250㏄スポーツを新規購入」にも合致しており、二輪業界による早急な対策が求められているのではないか。

9月8日(土)の午前、筆者も奥多摩周遊道路に行き2時間ほど滞在したが、その間にも若年層・250㏄スポーツの単独転倒、中年・自転車ロードバイクの転倒、中年・リッターSSと四輪の接触と3件もの事故を目撃した。年齢はぱっと見による推測だが、当日は250㏄スポーツで飛ばしていた若者が複数人目についた。下りカーブで転んでいたのはその内のひとりだった。
事故発生MAPを見ると二輪事故は全線で発生している。複数発生箇所を現地で見ると、現場の多くは下りカーブで見通しが悪く、カーブの奥が切れ込んでいたりする。曲がり切れずにスリップダウン、減速しきれずに握りゴケしているのだという。
周遊道路は峠道だ。転倒して崖下へ落ちれば命を失いかねない。若年層に向けた「練習するなら安全な場所で」という啓発、受け皿となるような練習場所の確保が求められていることを実感した。

奥多摩周遊道路二輪事故発生状況

写真・情報提供/東京消防庁

二輪車事故には傾向がある。
①登り坂より下り坂での事故が多い
②スピードの出し過ぎでカーブを曲がりきれずに転倒
③手・足への受傷が多い
というもの。命にかかわる臓器損傷を負う場合もあるが119番通報から病院までは最悪2時間以上を要することも。救急ヘリがフライトできない場合もある

2015~2017年 奥多摩周遊道路二輪事故統計

80%が二輪単独事故
車両別だと二輪による単独事故が圧倒的に多い。さらに二輪同士の事故、四輪との事故を含めると88%にも達する。救急車を呼ぶような事故が3年間で64件というのは異常事態

上記グラフには自転車単独事故8件も含まれる

約6割が週末に発生
平日に比較すると土・日曜の発生数が多く58%を占めている。奥多摩周遊道路は夜間通行止めなので走り屋による“朝練”はないが土日の真っ昼間に事故が発生するので怖い

65%が10~20代
20代を中心に10~30代までの若い世代が多く全体の83%を占める。駐車場を往復するような走り屋(40~50代)ではなく、250㏄スポーツで練習中の若者による握りゴケが多発

奥多摩周遊道路事故発生MAP

2018年上半期(1~6月)複数事故発生地点

①12.1㎞地点のカーブ

月夜見第二駐車場からゆるやかに上る区間。このカーブの前後は傾斜がほとんどなくスピードを出し過ぎる。今年、カーブ前後で2件の事故

②13.4㎞地点の連続カーブ

周遊道路の最高地点である風張峠を過ぎれば下り区間となる。浅間尾根駐車場までの連続カーブ区間も事故が多い。今年2件の事故が発生

③ストレート直後のS字

浅間尾根駐車場を過ぎて長めの直線のあと数馬駐車場までのS字カーブ。区間内は全て下り。直線区間直後のカーブで3件の事故。走り屋の往復区間でもある

④都民の森直後のヘアピン

16.5㎞地点の下りヘアピンカーブ。カーブ手前で線形がわずかに右に振れるものの樹木でカーブの奥は見えない。今年3件の事故発生

⑤19.4㎞地点カーブ

周遊道路終点の九頭竜橋手前にある複合カーブ。下りカーブの奥で左に切れ込むため曲がり切れない。今年3件の事故が発生。速度を落とそう

地元警察の対策とは?

「ばくおん!!」キャンペーンも!青梅・五日市警察署の取り組み

2014年12月に大麦代駐車場で開催された「ばくおん!!」コラボ二輪交通安全キャンペーンの様子

奥多摩周遊道路が二輪通行規制を受けたのが2009年12月。直近の3年間で5件の単独死亡事故が発生したのが原因だった。これにより2011年4月まで二輪のみ一方通行区間が設けられるなどしてローリング対策がなされていた。
所轄の青梅警察署と五日市警察署、山梨県警上野原警察署は二輪ストップキャンペーン等を実施、ヘルメットの正しい着用の徹底と胸部プロテクター着用の促進ほか安全運転教育を推進した。なかでも漫画・アニメ「ばくおん!!」とコラボした青梅警察署の取り組みは、コラボステッカーやマグネットの配布もあり1000人を超える参加者を集め、講話や安全運転講習を行なった。結果、2014年以降、青梅署管内の周遊道路では死亡事故は発生していない。
なお、「ばくおん!!」コラボは今後は予定されていない

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