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補完計画その④ベストなギヤと回転数を知る

Q.カッコよくスムーズに走るなら高ギヤ低回転?

ちょうどいいトルクとサウンドによる演出!?

ヤマキ:ところで、これはライテクと関係ないかもしれないんですが、それほどトバしているわけでもないのに、ワインディングでなんか気持ちいい瞬間ってあると思うんです。あれってどういう理屈でそうなるんですかね?

タミヤ:恐ろしく漠然とした質問だが、まあ言おうとすることはよく分かる。そして、ワインディング走行中ということに話を絞るなら、その状態をつくるカギは、エンジンが生むトルク感やパルス感と、スロットル操作に対するレスポンスにあると思うよ。

ヤマキ:それってどういうことです?

タミヤ:つまり、コーナーの立ち上がりでスロットルを開けたときに、エンジンがどんな反応するかがキモで、それが自分のフィーリングと合っているときに、心地よさを感じやすいということ。

ヤマキ:レスポンスがいいほうが、気持ちいいってことですか?

タミヤ:いや、そうじゃない。スロットルを開けたときに反応がダイレクトすぎると、シビアな操縦を求められやすいから、サーキットでトバしていればアドレナリンで快感になるかもしれないけど、ワインディングでは先に疲れを感じるはず。かと言って反応がダルすぎると、これまた思いどおりに操縦できないから不快。そのどちらでもない、まさに“ちょうどいい”ところにドンピシャなときに、エンジンの鼓動感とか回転が上昇する感覚を含めて、ライダーは気持ちいいと認識するんじゃないか……という推測だね。

ヤマキ:ということは、よほどの低速域と高速域でない限り、同じ車速ならギヤを下げればエンジン回転は上がり、ギヤを上げれば回転は下がるわけだから、気持ちいい状態はライダーが自分でつくれるということですか?

タミヤ:例えば鼓動感は、気筒数やレイアウトや燃焼タイミングなどのエンジン形式によっても異なるし、同じシングルエンジンだとしても個体によって異なるから、設計に依存する部分のほうが多いとは思うけど、多少なら可能かもね。

ヤマキ:ところでそもそも、カッコよくスムーズにワインディングを走るなら、高ギヤ低回転と低ギヤ高回転のどちらがいいんですか?

タミヤ:相変わらずヤマキは両極端だな……。そんなもの、状況によって変わるだろ!

ヤマキ:いやまあそうでしょうけど、でもこっちは目安ってもんが欲しいじゃないですかっ!!

タミヤ:まあ、そンなに高回転でキャンキャン言うなよ。そこはスゴく抽象的で、説明が難しいんだから。サーキットに限定するなら、コーナーの立ち上がりでスロットルを開ける方向の操作をするときに、力はあるけど敏感すぎない、回転によるトルク変動が大きすぎない領域を使う……って感じかなあ。

ヤマキ:よく分かりませんっ!

タミヤ:なんか、ここにきて強気だな。それなら、パワーバンドの少し手前と言えばわかる?

ヤマキ:パワーバンドというのは、同じギヤで低い回転から引っ張ったときに、力強さが盛り上がるところから上の領域ですよね?

タミヤ:まあ、簡単に言うならそんな感じかな。

ヤマキ:それって、何回転ですか?

タミヤ:いや、それは車種ごとに異なるから、答えようがないよ。中には下から上までスゴくフラットな特性で、パワーバンドらしい領域が存在しないエンジンもあるし。

ヤマキ:それなら参考にならないじゃないですか……。なにかせめてヒントをください!

タミヤ:一般的に、単気筒エンジンや2気筒エンジンは低回転域からトルクを発生しやすく、4気筒は高回転型。3気筒はまさに2気筒と4気筒の中間という感じだから、それを踏まえながら自分が扱いやすいと感じる回転数を探るしかない。あと、ここまで言及したのはサーキットの場合であって、公道では欲しいトルクが少なめの傾向だし、あまり高回転域を使いすぎるのはスピードとモラルの問題もあるから、そのあたりもいい塩梅のところを見つけてほしい。

ヤマキ:まずは、自分のバイクがどれくらいのエンジン回転数で走らせると気持ちよくて、スロットル操作への反応がダルすぎないけど扱いやすいのか、漠然と走らせるのではなく、把握すればいいわけですね!

タミヤ:そして、その領域にうまくハマるよう、例えば4速でそのままとかじゃなくて、進入で適度にシフトダウンすることが大切。そして、このシフトダウンというのも、気持ち良さにつながる操作のひとつ。減速で「フォン、フォ〜ン……」なんて排気音を奏でると、そこで走りにリズムが生まれ、たいしてトバしていなくても、なんだか満足できると思うんだよねえ……。

【下り】3速 3000回転
【上り】4速 4000回転

ヤマキの場合、「上りと下りで使うべき回転数の違いがわからない」というのも悩み。その走りを検証してみると、勝手に車速が上がりやすい下りのほうが、低い回転域を使いがちだった。そしてこれは、意のままの操作を阻む要因のひとつ。その理由は、最後の章で解説する

下道で気持ち良く走れている瞬間ってあるけどアノ瞬間ってなにが起きてる?

「トルクとパルス」(適度な力強さ、鼓動や吸排気音)

  • シビアでもダルでもない加速性
  • 単気筒や2気筒の鼓動感やV4や3気筒の独特なパルス、4気筒のスムーズさ

みんなシフトダウンしなさすぎ!?
多くのツーリングライダーが、高いギヤを使う傾向。つまり、同じ速度ならエンジン回転数は低くなる。単気筒エンジンや大排気量クラスなら許容度は高いが、あまりにエンジン回転数が低すぎると、スロットルを開けてもボエ~っとなるだけでエンジンが反応せず、これだと適正なトラクションを得られないので車体が安定しない
※ギヤを落とすのはブレーキングとほぼ同時かつ早めに
※走りをリズミカルかつスムーズにする効果も……

スムーズに走るならパワーバンドで走るのがいいのか?

エンジンがとくに力強さを発揮する回転域がパワーバンド。ミドルクラス以上なら、公道ではほぼ使わない。ひとつの目安として、CBR650Rのパワーバンドは8000回転から上だが、峠道で使いやすいのは5000回転付近

最適領域の目安は? CB650Rの場合 2速5000回転

結論

  • 自分が求めるトルクを取り出すために基準となるエンジン回転数を把握して覚えておこう!

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