ライディングフォームの基本と応用│バイクの旋回技術をマスターしよう
バイクはライダーが操作しないと
自立しない乗り物だ
構造や特性を理解したうえで
操る必要がある
セオリーと呼ばれる
ライディングフォームを紹介しよう
基本のフォームは3つ状況によって使い分けたい
バイクを旋回させるとき、その乗り方には大きく分けてリーンウィズ、リーンアウト、リーンインの3種類がある。それぞれバイクの傾きに対して上半身がどこにあるかということが違いである。リーンウィズはバイクの中心に乗って、下半身でニーグリップをして身体を支え、上半身をバイクの傾きに合わせて傾けるフォームだ。リーンアウトとリーンインは、下半身でホールドすることは共通だが、上半身をバイクの外側に起こすのがリーンアウト、上半身を内側に寝かせるのがリーンインだ。
教習所で教わるリーンウィズがライディングフォームの基本なのは変わらないが、ハングオフ以外は公道でもそれぞれメリットがあるので、状況によって使い分けられるのが理想だ。
大雑把に言うと、極低速ではリーンウィズよりもリーンアウトの方が楽に小回りができるし、滑りやすい路面では少ないバンク角で曲がれるリーンインがオススメだ。
オフロードの基本がリーンアウトだが、極低速でターンする場面の話で速度を出してリーンアウトでカーブに入れば、グリップを簡単に失ってしまうので要注意。
現代のバイクはリアタイヤが180前後と太いので、リアタイヤの内側のラインに身体の中心をオフセットしただけではリーンウィズだ。リーンインはそこから上半身をインに入れ、しっかりとシートの内側に体重を荷重する。外側のステップに荷重していては旋回力が高まらない。また極低速では内側のステップを踏むとバイクはイン側に傾くが、コーナーを曲がるという速度域ではバイクは動かない。レースではシートに座らずにステップワークで乗るとも言われるが、ツーリングにおいてシートに座らずに走るということは非現実的だ。ポイントはバイクを下半身でホールドしておいて、コーナー入り口でシート内側に荷重して旋回、コーナー後半でシート内側の荷重を増やし、お尻でリアタイヤ内側のヘリを感じること。
ライディングフォームという型は大切だし、入り口としては真似することが大切だ。しかし型をまねただけではバイクは操れない。
バイクは止まると自立しないが、走っていると安定して直進するように設計されている。曲がるためには、ライダーがバイクのバランスを崩さなければならない。この作業とライディングフォームを組み合わせるというイメージを持って臨みたい。
リーンウィズ
バイクの中心に身体を置いてバイクの傾きに合わせて体も傾けていく教習所でも教わる基本となるライディングフォームだしっかりニーグリップをしてつま先を前に向ける
メリット:バイクとの一体感がもたらす安心・安定感
デメリット:速度が上がるとバンク角が深くなる
街中の白バイや教習所の教官
教習所の教官や街中の白バイ警官などはリーンウィズの良いお手本だ。リーンウィズはバイクのカテゴリーを選ばず適応する、安定感がある理想のフォームだ
リーンアウト
下半身はリーンウィズと同様、ニーグリップをする上半身を地面と垂直方向に立てて相対的にバイクを大きく傾ける旋回時にバイクの外側に身体を置くフォーム
メリット:小回りが利く/遠くが見やすい
デメリット:タイヤのすべり出しが早い
オフロード走行
オフロードのコーナリングで基本的なフォームとされているのがリーンアウトだ。かなり前目に乗り、フロントタイヤに荷重して、低速でくるりと向きを変えていく
リーンイン
下半身はリーンウィズと同様ニーグリップをしっかりする上半身をカーブの内側に入れて遠心力に対抗する積極的なフォームだ
メリット:少ないバンク角で曲がれる
デメリット:路面の衝撃などに対抗しにくいコーナーの先が見えにくい
競技会の白バイやジムカーナ
白バイの競技会やジムカーナなどでも見られるフォーム。体をイン側に入れて、バイクをあまり傾けないでまがれるので大きなバンパー装着車との相性が良い
ハングオフはやはりレース用
リーンインは体重をバイクの内側に移して、リアタイヤを内側に倒れ込ませる力を与えて旋回力を高める。対してハングオフはバンクしたタイヤへの入力を替えられる点が異なる。バイクとライダーで可能な限り低重心を作って、タイヤのトレッド(接地面)に低い重心位置から横方向に重量マスを与えて安定性を高めるのだ。
ハングオフは下半身(外側の足)でしっかりマシンをホールドし、横方向の力に加勢する体重の預け方が必要だ。これができていないまま身体をずらして膝を大きく開いたフォームを真似しても、不安定なだけで危険ですらある。
ハングオフは直線でバイクのスピードをしっかり落として、スロットルを開けながら駆動力をリアタイヤにかけてバイクを安定させて立ち上がるという、走りの組み立てでは成立しない。ラジアルタイヤが旋回しやすい慣性力をもってコーナーに入る必要がある。初めて走る峠道で、オーバースピードでコーナーに侵入するのはギャンブルなのでオススメしない。
ハングオフ
バイクの内側に身体を落として内側の膝を開く70年代のアイスレーサーやダートトラックレーサーのライディングスタイルから生まれ改良されたロードレースのハイスピードライディングの型
メリット:少ないバンク角で安定して曲がれる
デメリット:速度が高くないとバランスしない
サーキット走行
現在はバイクとタイヤの進化により、バンク角が大幅に増えたため、ライダーは下半身を大きく落とすスペースがないので、上半身を低く潜り込ませている