【メンテナンス入門ガイド】“エンジンオイル” 暑さで劣化が進む! 秋口こそ交換のタイミング
劣化しやすいバイクのエンジンオイル
エンジンオイルの主な役割は下に記した通りだが、エンジンはクルマよりもバイクのほうが圧倒的に高い負荷がかかっている。バイクは小さい排気量で高出力を得るために、高回転でエンジンを回す必要があるからだ。そのためエンジンが過熱してオイルが蒸発しやすく、冷えるときに空気中の水蒸気が水滴となってオイルに混ざってしまう。これらがオイルが劣化する原因となっている。
残量のチェックはクランクケース横の丸いガラス窓を目視するか、オイル投入口のキャップ内側のゲージを見て量が規定以内入っているか定期的に確認しよう。
オイル交換の推奨距離は、大型バイクの方が長い。これは小排気量車の方がオイルの容量が少ないうえに、高回転域を使用する頻度が高く、オイルの寿命が短いためだ。オイルは燃焼時に発生する「スス」を取り込むため黒く汚れる。だから黒くなったからといって劣化したとは限らない。ギアの入りが硬くなったと感じたら、迷わず交換しよう。 交換の手順は複雑ではないので、手順を覚えて自分で対処できるようにしておこう。
[ 起こりうるトラブル ]
- エンジンの不調・故障
- 各パーツの錆び・腐食
- 燃費の悪化
交換時期の目安
- 出発前に残量を目視確認
- 5000~1万km走行ごと
[ エンジンオイルの役割 ]
潤滑 | ピストンとシリンダー、4ストバイクの変速ギヤなど、金属同士の摩擦を油膜で減らす |
冷却 | 部品同士の摩擦熱を、オイルにより吸収。水冷エンジンでもオイルは冷却の仕事も担う |
密封 | シリンダーとピストンリングの間に入り込むことでわずかな隙間を埋め、気密性を高める |
洗浄 | 燃焼のカスや部品の摩耗で発生した金属粉などを吸着・分散し、汚れが堆積するのを抑止 |
防錆 | 燃焼や気温差などで水分が発生するエンジン内部の表面に油膜を張ることで錆を予防 |
Maintenance1 交換手順
ポイント
メーカー純正オイルが正解!
交換の前に…… 必要な道具の準備
必要な道具は、新しいエンジンオイル、レンチ、オイルを入れるじょうご、古いオイルの受け皿となる箱。汚れやすい作業となるので、ゴム手袋やウエスなども用意しておくといい。廃油を吸収して、そのまま捨てることができるオイル処理パックがあると便利だ
廃油処理箱を置く
センタースタンドを立てて、オイルの受け皿となる箱を設置。先にエンジンを5〜10分アイドリングさせておくとオイルが流れやすくなる
使用済みオイルを抜く
ドレンプラグをレンチで緩めて、オイルフィラーキャップを外す。古いオイル流れ出てくるので、受け皿で受け取る。完全に排出されるまで待つ
新しいオイルを入れる
排出が完了したら、ドレンプラグを締め直してから、じょうごを使って新しいエンジンオイルを注入していく。規定量を超えないように慎重に
オイル量を点検窓で確認
バイク車体の側面にある点検窓を見て、注入したエンジンオイルが規定量の範囲内になっているかを確認。必ず、バイクが水平の状態で確認しよう
Knowledge
フィルターも忘れずに交換
古いオイルを排出した後に、フィルターも交換。回せば簡単に取り外しできるので、新しいフィルターを装着するだけ。オイル交換2回に1回の頻度でも大きな問題はないとされているが、毎回フィルターも交換することを推奨するメーカーもあるのでそれに従おう
Maintenance2 適合するオイルを確認
ポイント
メーカー純正オイルが正解!
JASO T903規格とは
日本自動車技術会が定めた二輪車用オイルの規格のことで、油膜保持力や摩擦特性(高い:MA、低い:MB※特性の違いで性能の高低ではない)など、バイク特有の厳しい検査基準が設定されている
Knowledge
暑い時期はオイルが劣化しやすい
高温環境ではエンジンオイルの粘度が低下し、潤滑性能が低下する原因に。また、外気温が高いとエンジン自体も高温になるため、オイルの蒸発や分解、酸化が進むので交換の頻度を早めるなど対処したい