エンジンのメカニズム
カタログなどでよく見るエンジンのスペック値。
言葉は知っていても実際になにを指しているのか
実はイマイチよく分かってないというライダーもいるのではないだろうか
ここではよく目にするエンジンのメカニズムについて解説しよう
気筒数
エンジン単体で、何本のシリンダーを持つかを表すのが気筒数。基本的に、気筒数が多い方が高回転化しやすく、高出力なエンジンとなる。だが仮に、最高出力が同じエンジンであっても、気筒数が違えば出力特性が異なり、バイクの乗り味は大きく変わる。気筒数の違い=性能差ではなく、キャラクターの違いと考えるべきだろう。
バルブ形式
シリンダー内への、燃料と空気を混ぜた混合気の取り込みと、燃焼ガスの排気を制御している弁をバルブと呼ぶ。そのバルブを開閉させる部品がカムシャフトだ。バルブの総面積が大きい方が、吸気・排気の抵抗が小さいので、高出力エンジンはバルブ数が多い。また、バルブの駆動方式の違いによっても、エンジンの出力特性が変わってくる。
【Knowledge】
現代的なDOHCエンジンの例。シリンダーヘッド上側、吸気側と排気側それぞれにカムシャフトを持ち、クランクシャフトの回転を伝えるカムチェーンで回転することでバルブを駆動する
冷却方式
エンジンは、ガソリンを燃焼させて発生した熱エネルギーを、運動エネルギーに変換する装置。だが、変換効率は最大でも40%程度で、残りは熱として残ってしまう。そのままでは熱が蓄積され、やがてエンジンが壊れてしまうので、冷却する必要がある。どういった方法で冷却しているかを表すのが冷却方式で、現在は水冷が主流。他には空冷、油冷を採用するエンジンも存在している。
エンジンに当たる走行風を利用して、熱を発散させる冷却方式。放熱性を上げるため、表面積を増やす目的で冷却フィンが設けられている
メリット
構造が簡単で低コストで軽量。空冷フィンがスタイリッシュ
デメリット
他の冷却方式より効率が悪い。エンジンの掃除が面倒
エンジン内部に冷却水の経路を設けて還流させ、発生した熱を吸収させる冷却方式。冷却水が吸収した熱は、ラジエターで発散させている
メリット
現在ある冷却方式で最も高効率。技術が確立され信頼性が高い
デメリット
構造が複雑で部品点数が多い。冷却水は消耗品で要定期交換
オイルを冷媒として使用する冷却方式。冷却専用のオイル経路を持つ構造と、潤滑と冷却をエンジンオイルに兼用させる構造が存在している
メリット
水冷に比べて軽量で低コスト。空冷に比べて冷却効率が高い
デメリット
冷却効率は水冷に比べ劣る。
必要なオイル量が増える
サイクル
ピストンはコネクティングロッドを介し、偏心したクランクシャフトに接続し、シリンダー内で往復運動を繰り返す。ピストンが下がり混合気を吸い込む。ピストンが上がり混合気を圧縮、プラグで点火し、爆発的燃焼が発生しピストンを押し下げる。ピストンが再び上がる時に燃焼ガスを押し出し排気する。これが4サイクルエンジンの作動原理だ。
【4サイクルエンジン】
なんで昔から乗っているライダーは2ストが良いって言うの?
環境性能の低さから、現行車ではほぼ採用されない2ストロークエンジンだが、その乗り味を知る層には未だに愛好者が少なくない。その理由はピーキーなパワー特性。構造上パワーバンドがピンポイントにならざるを得ないのだが、扱いが難しい分だけ乗りこなせた時の達成感が高いのだ。高回転型の2ストロークエンジンは二次曲線的な出力特性になりがちで、加速時の爽快感も強い。