【第2回】アウトドアMONOローグ「ソーラーチャージャー」
BikeJIN2022年7月号 Vol.233掲載
キャンプに行く、バイクで旅に出る、これらは現実的な普段の生活からの「前向きな逃避」という側面がある。仕事を忘れるために出かけるわけだから、自分を縛る道具はできるだけ持たない方がよい。
映画「イージーライダー」のキャプテンアメリカは、チョッパーでの旅に出る前に腕時計を投げ捨てる。時間に縛られた生活とはおさらば、ということだ。彼の時計にあたるものが、今はスマートフォンこと、スマホということになるだろう。
しかし、帰らない旅ならいざ知らず、無事に帰宅するのが最優先事項の旅ならば緊急連絡のための道具は持つべきだ。だが、充電なしで1週間使える携帯電話(ガラケー)と毎日充電しないと使えないスマホではどちらがアウトドア向きの通信道具かと言えば、それは言わずもがなだ。スマホは通信機器というよりも通話機能を持っているパソコンというべきであり、電力消費が凄まじい。その意味で僕はガラケーとタブレットの組み合わせがベストだと思っているので、いまだにスマホを持っていない。電車の中でゲームもしないし、LINEでの雑談を絶えずしていないと関係が保てないような友人関係ないからスマホは要らない。というより、実はこの手のガジェットは子供の頃から大好きで、スマホ中毒になって手放せなくなるのが分かっているし、それよりも本を読む時間の方を大切にしたいのだ。
さて、スマホでも1泊程度ならバッテリーパックを持って行けばいいのだが、2泊3泊ともなるとそうもいかない。そこで登場するのがソーラーチャージャーだ。僕は東日本大震災のボランティアで石巻へ行った時にも、試験的に供与されたロール式のソーラーパネルを使用して携帯話の充電を行なっていた。
ソーラーチャージャーの使用で大切なことはパネルの面積は当然ながら、さらに大切なのは「太陽との角度」だ。さまざまな製品の説明写真を見ても、単純に上に向けて平置きにしたりバックパックから吊り下げたりしているものがほとんどだが、あれでは集光能力は半減してしまう。最上なのはソーラーパネルが太陽に向いて直角になっていることだ。据え置き型のソーラーシステムが傾斜付きで南向きに設置されているのもそのためだ。
また、曇り空、窓越し、蛍光灯などの人工光では発電効果は低下する。カタログスペック通りの発電量を発生させるためには多くの条件が必要になる。商品の売り文句を安易に信じてはいけない。
太陽に向かう角度を調べる道具、サンダイヤル(日時計)が装備されている製品は僕の知るところではひとつしかないが、ないならないで方法はある。小型でいいから三角定規を用意しておき、ソーラーパネルに当てて日時計のようにして「三角定規の影のもっとも出ない向き」にすればよい。三角定規がないなら箸やその辺にある枝でも代用できる。「ないからできない」ではなくて、「身近にあるもので代用する」発想もアウトドアでは大事なことだ。
バ イオライト /ソーラーパネル10PLUS
価格:1万7050円(税込)
問:モンベル
TEL:06-6536-5740
フリーコール:0088-22-0031
太陽とパネルの角度