帽体がカーボンというだけでは終わらないAGVならではの豊富な高機能群
ジャコモ・アゴスティーニにはじまりケニー・ロバーツ、ニキ・ラウダ。そして現代ではロリス・カピロッシ、ポル・エスパルガロ、そしてヴァレンティーノ・ロッシといった世界を舞台に活躍する一流ライダーたちが愛してやまないヘルメットがAGVだ。
その歴史は古く、創業は1946年。当初は自転車用として革を素材とするヘルメットを製造していたが、翌年からはバイク用に着手。50年代に入るとガラス繊維を帽体とするヘルメットを開発。以来、前述したような名ライダーから信頼され、愛用されてきた。そのAGVが満を持して発売した「スポーツモデュラー」は、カーボンファイバーを帽体としながら、チンガードを可動としたシステムヘルメットだ。
フルフェイスの安全性とオープンフェイスの利便性を兼ね備えたカーボン製のシステムヘルメットは世界初の製品だが、AGVの蓄積してきたノウハウをすべて注ぎ込んだ完璧な製品だ。チンガード可動部はメタルパーツと頑丈なロック機構で構成され、AGVフルフェイスのフラッグシップである「PISTAGP R」と同等の安全性を確保。それでいてM/Lサイズの帽体で1460g という驚異の軽さを誇るヘルメットとなっている。
もちろん格納式バイザーを内蔵しており、逆光時でも明瞭な視界を確保。日本仕様の内装は日本人の頭の形状に合わせたものを採用するほか、頭頂部のパッドをリバーシブルとして夏は涼しく、冬は暖かくするという画期的な構造も持ち合わせる。また、あご紐のDリングをチタン製にするなど、AGVらしい高品質さが際立つ。
カーボン帽体による強靭さと軽さは言うに及ばず、フリップアップの利便性とフルフェイスと同等の安全性。こうした高性能と高機能を考慮すれば、10万円超の価格は決して高くはないだろう。