【寒くないウエアリング】今トレンドは4層レイヤリング
本誌は冬のレイアリングの基本を3層と説明してきた
しかしウエアの性能向上により真冬でも暑くなることも
汗が肌やウエアに残ったまま冷えると体温を奪っていく
だから肌に接する部分の汗はためずに排出したい
ウエアの機能向上に伴う「汗冷え」防止の新提案
ファッションを語るときに、おしゃれに「重ね着」することをレイヤードという。近年、バイクウエアにおける防寒のための階層造りの「重ね着」をレイヤリングと表現している。
これまでは三層、アウターは防風・防水、ミドルは保温、アンダーは保温、発熱に分けて考えてきた。しかし発熱インナーの開発が進んできて、ちょっとした運動で汗をかいてしまうこともある。その汗を肌に残すと不快でもあり、汗冷えの原因になる。そこで一番内側の肌に触れる部分に、吸湿。速乾性のアンダーを追加して、4層レイアリングにしてはという我々からの提案である。
モトクロスでもない限り、ライディングにより大汗をかくということはない。だからバイクウエアはアウトドアやスポーツ用のウエアに比べて、じっとしていても体温が奪われない保温性を持つ。保温性能が過剰だと汗をかいてウエアが濡れてしまい、それが冷えると体温が大きく奪われてしまう。自分のライディングスタイルによる発汗量や通るルートの気温を考慮し、ウエアを組み合わせたい。
各ウエアの役割を知る
①アウター
ナイロンやポリエステルといった強靭な織物にポリウレタンなどのコーティングやフィルムを組み合わせることで、バイクウエアに必
要な強度と防風・防水・透湿性能を持たせている
②ミドル
ナイロンなどの素材を用いて袋状の薄手のウエアの中に保温性のある素材を詰めた軽量なジャケット。中綿はダウン、フェザーといった天然の羽毛と、それを模した高機能化繊素材が主流だ
③発熱アンダー
近年は積極的に発熱を促す素材も開発が進んでいる。ライダーは基本的にじっとして、風に当たっているので、水分に反応するものより、遠赤外線反射などを利用したものがオススメだ
④アンダー
汗を吸い取り効率よく発散する高機能素材。激しいスポーツ用では適度に身体を冷やすように性能を調整しているので水分を戻しにくいバイク用がオススメ。さらさらインナーは冬も必需品だ
快適アンダーウエアを一層追加
登山用ウエアの世界ではすでに推奨されている、アンダーウエアによる「汗冷え」の防止が狙いである。防寒具のまま歩いたり、屋内に入ったりすると、後で掻いた汗が冷えて寒い思いをしたことありませんか?
歩いて散策派は汗冷えにご注意を
バイク用でない革ジャンやフライトジャケットとウール(セーター)、コットンシャツの組み合わせでは、洋服内に冷気が入り、温まった空気が出て行ってしまう。
衣服の内部にある動かない空気のことをデッドエアというが、防寒を考えるときに、このデッドエアのマネジメントが重要になる。どんなに防風性に優れたジャケットでも、ジャケット自体は寒風に当たれば冷えてしまい、冷えた部分が肌に触れれば体温が急激に奪われてしまう。逆に、ダウンジャケットなどの保温性に優れた服でも、風を通してしまう素材ではバイクの風圧で温度が奪われてしまう。保温性の高いウエアで蓄えた暖かい空気を、防風性の高い素材で包み込んで空気を逃がさないようにすることが重要だ。この閉じ込められた空気がデッドエアだ。
アウターとミドル、インナーの性能を引き出すためには、自分に適したサイズ選びと正しい着用がカギになる。そして首周り、袖口、ジャケットの裾、足首からの冷気の侵入防止はマスト。
編集ナカジマの最新冬支度を紹介してみよう。
編集部ナカジマの4層レイアリング例
①ウエア・オーバーパンツ
ナンカイ
アクティブパーカージャケットⅡ
表地:ポリエステル100%
耐水圧:10000 ㎜
透湿性:5000g/m
ナンカイ
エクステンドウォータープルーフパンツ
表地:ポリエステル100%
PUラミネート
中綿:ポリエステル100%
②ミドルダウン・デニムパンツ
ナンカイ
ライトインナージャケット
表地:ナイロン100%
中綿:ポリエステル100%
ナンカイ
ストレートデニム
表地:コットン78%・ポリエステル(COOLMAX)20%/ポリウレタン2%
③発熱アンダー
ナンカイ
プロテクターインナージャケット(サーモトロン)
素材:ポリエステル&ポリウレタン
ナンカイ
プロテクターインナーパンツ(サーモトロン)
素材:ポリエステル&ポリウレタン
④アンダー
ナンカイ
テクノライダークール
素材:ナイロン88%・ポリウレタン12%
ナンカイ
テクノライダークール
素材:ナイロン88%・ポリウレタン12%
先っぽと首のケアをしなければ完結しない
ナンカイ
セードレザーグローブ
中綿:シンサレート
防水フィルム:ハイポーラ
ジャンニファルコ
ジャッカルウオータープルーフ
僕はグローブカバーとブーツカバーを携行しているが、操作のしやすさを優先してほとんど使わない。だからブーツとグローブは防水性のあるものを選んで使用している
袖と首をガード
防寒ウエアは正しく着用しなければ台無しだ。首、手首、足首のアジャスターでしっかり閉めて、冷気を遮断し、温まった空気を逃がさないこと
オプションニーパッドで空気の層を確保
パンツかオーバーパンツのどちらかに、スネまであるニーパッドが内蔵されているとデッドエアを確保しやすい
足元も防寒できる
つま先の冷えも長時間にわたるとつらい。しもやけになって、痛いとか痒いというのは大きなストレスにつながる。僕は真冬はワンサイズ大きめのブーツで防水・透湿ソックスを使用している