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【Thinking Time】㊴7月1日から「特定原付」が登場も複雑難解なルールには要注意!

改正道交法が7月1日に施行され、特定小型原動機付自転車(特定原付)が公道に登場
しかし、それに伴って様々なルールが新設され、まさに複雑怪奇
気楽に買って乗れると思ったら大間違い! 要点を絞って説明しよう!

「特定原付」の車体タイプは電動キックボードだけではない!

 新設された車両区分「特定原付」の報道については「特定原付=電動キックボード」というイメージが定着してしまったが、バイクでいうモーターサイクルタイプの特定原付車両も数多く登場するだろう。写真はglafi(t グラフィット)社の「電動サイクル」でステップはあるがペダル機構はない。

 7月1日、改正道交法が施行され、原付一種は、新たな車両区分である特定原付(特定小型原動機付自転車 ※電動のみ)と一般原付(一般原動機付自転車 ※電動・内燃機関)に分離された。この一連の大きな話題の中で、報道により誤解が浸透してしまっている点もあるので、今回はそうした注意点や知っておくべきポイントについてピックアップした。

緑ランプとミラーが識別の決め手特定原付とは?

見た目は同じキックボードでも車両区分は異なる。最高速度表示灯(緑色のランプ)が点灯していれば特定原付、さらに点滅していれば特例特定原付。ハンドルにミラーがついていれば一般原付だが、モーター出力によっては原付二種等の場合もある。

特徴は、以下の通り。

①ヘルメットは努力義務。
②16歳以上だけ。免許は不要
③20km/h以上は加速できない
④最高速度表示灯(緑ランプ)あり
⑤ナンバーと自賠責加入は必須
⑥ナンバープレートは正方形

※国土交通省ホームページ「特定小型原動機付き自転車について / 2.道路運送車両の保安基準」より引用

特定原付車両は“歩道”は走れない!

知っておいてほしいのは「特定原付は歩道を走れない」ということ。これまでの報道の中で「電動キックボードは歩道を走るのか! そんな危ないことするな!」といった論調がネットコメントでは数多く見られていたが、それは勘違い。正しくは、特定原付の車両区分の中に例外規定された「特例特定原付(特例特定小型原動機付自転車)」だけが、自転車歩行者道(自歩道)や普通自転車歩道通行可の標識が立ち、例外に自転車が走行できる歩道といった〝特定の歩道〞のみを〝歩道走行モード(緑色ランプ点滅・最高時速6キロ)〞の状態で走行できるというものだ。特例特定原付でも歩道は走れず、〝特定の歩道〞のみを走れるということを理解してほしい。

メーカーや販売店にも厳しいルールが策定された!

 とても心配されていたのが16歳以上は免許不要ということで、親が買い与えて子どもが事故を起こし、バイクの三ない運動のようになるのではないかということだが、その点についても警察庁がかなり厳しいガイドラインを適用したことを知ってほしい。対面販売にしろネット販売(通販)にしろ、販売事業者から購入者に、交通ルールのテストや動画視聴など安全運転に関する手段(マニュアルやDVD等)を提供し、それを習得する本人以外には特定原付を販売・発送・納品できない決まりとなった。また、購入者が実際に住んでいる現住所でなければ納車できないので、離れて住んでいる人へのギフト配送もできない。

 さらに、16歳未満の人が特定原付車両に乗らないように購入者の年齢確認も徹底される。販売時や会員登録時には、マイナンバーカードや運転免許証などの公的な本人確認書類を提示するか、支払いを購入者名義のクレジットカードなどの手段に限定するのだ。購入者が学生の場合には学生証などの身分証の確認や保護者等への聞き取りなどが必要となり、とても気軽に買えるようなものではなくなった。

三ない再びとならないよう二輪業界も協働すべきだ

 バイク大好きな皆さんに知っておいてほしいポイントがある。それは「特定原付は電動キックボードだけではない」ということだ。特定原付の車体サイズは普通自転車と同じものだが、いわるモーターサイクルタイプの特定原付も数多く登場するはずだ。

特に、大きな話題となっているのが、グラフィット社とオープンストリート社のシェアリング提携事業において「電動サイクル」と呼ばれるモーターサイクルタイプの特定原付(特例特定原付)が採用されることだ。 この電動サイクルにはステップはあるがペダル機構はない。人力によるペダル機構があると特定原付としては公道を走行できないからだ。モーターサイクルタイプの特定原付は電動キックボードの小径ホイールでは危ないと言われている日本の道路環境ではかなり受け入れられる可能性が高い。

glafit 社が開発するモーターサイクルタイプの特定原付(特例特定原付)車両は「電動サイクル」と呼ばれ、Open Street社のシェアリング事業で運用される。普及は早そうだ

電動アシスト自転車が登場した頃に普及を支えたのは高齢者だったが、バイクやクルマの免許を返納した高齢者が電動サイクルに乗ることでバイクの気分をまた味わえるなら、それはきっと楽しいことだろうし、免許のない若年層が乗ってバイクに興味を持ってくれれば、それもまたうれしいことだ。学校教育現場を含め、安全運転の普及は大きな課題だが、三ない運動の二の舞にならないよう、一歩距離を置いている二輪業界もしっかり協働すべきだろう。

これまでの型式認定制度に加え性能等確認制度が新設された

特定原付車両にも型式認定はあるが、取得にお金や時間がかかりベンチャー企業には難しい。そこで今回、性能等確認制度が新設され一定の性能基準が示された。下記①〜③に該当する車両は公道を走れるが、人力によるペダル機構等を持つ④は認定されても公道走行はできない(将来的には可能性もある)

① 型式認定試験に合格した特定原付
②性能等確認試験に合格した特定原付
③どちらの試験も受けていない特定原付
④試験に合格したが特定原付としては公道走行負不可の車両
※ペダル付き(人力でも走行できる)車両など

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