【Thinking Time】㉖小池百合子都知事も応援!!前進する東京都バイク駐車環境
*BikeJIN vol.234(2022年8月号)より抜粋
東京都のバイク駐車環境整備が拡充しつつある。自転車置き場へのバイク受入れ、
新しいモビリティも踏まえた駐車対策の刷新、様々な都営施設へのバイク置き場新設、
そして小池百合子都知事がいよいよバイク利用環境に本腰を入れる!?
江東区の自転車等駐車場に自動二輪まで駐車可能に!
2021年4月に条例改正が施行され、区立自転車駐車場に自動二輪車まで駐車可能になった江東区だが、2022年4月からは亀戸駅北口第三自転車駐車場で実際に受入れが始まった。区内の他の自転車駐車場でも125㏄の受入れが始まるなど、江東区では面的な整備拡充が進む。AJ東京ほか二輪関連団体、公明党による成果だ。
2022年に入り、東京都内の駐車施策に目立った動きがあったので紹介したい。まずは上記の通り、都内の自治体で初めて条例改正を施行し、区立の自転車駐車場に自動二輪車まで置けるようなった江東区の件。2021年度は125㏄までしか停められていなかったが、2022年度からは一部の駐車場で125㏄超のバイクも停められるようになった。他の区立自転車駐車場でも125㏄クラスの受入れが進んでおり、区内駅周辺の駐車環境整備に今後も期待できる状況だ。
次に、3月23日の再開園に伴い、調布市の都立神代植物公園の深大寺門前に自動二輪車まで停められる駐車場所が新設された。元々、バイクも置ける自転車置き場があったが、コンクリートで整地した立派なバイク置き場となった。公園の正門前にも自転車置き場がありバイクも停められるが、入口や通路が狭いので大型バイクなどは難儀していた。今回の整備により大型バイクでも安心して停められるようになった(しかも無料!)。
また、二輪関連団体が長年要望してきた都立施設、東京国際フォーラムへのバイク置き場設置にも前進があった。まだ完成したわけではないが、現場の担当者にもバイク駐車スペースの確保について話が伝わっているようだ。東京国際フォーラムは有楽町駅前にあるシンボリックな施設で、コンサートや演劇などの各種公演のほか、都主催のイベントも多数行なわれる大型施設だ。この件については、2022年4月に東京オートバイ協同組合の野間健児理事長が小池都知事への要望訪問の際に直接説明しており、因果関係は不明だが、さっそく実現する運びとなりそうだ。
2040年代に向けた都内駐車対策の在り方
さらに、東京都の施策で大きな期待を抱かせるものが「総合的な駐車対策の在り方(以降、在り方と略記)」が策定されたことだ。これは、2040年代に向けた包括的な駐車対策であり、2021年の7月から2022年の3月にかけて計5回にわたって「総合的な駐車対策の在り方検討会」を設置してまとめられたものだ。2021年末にはパブリック・コメントの募集も行なわれており、自動二輪車の駐車対策への意見も寄せられていた。
この在り方には、人口減少、少子高齢化、ゼロエミッション東京の実現、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進といった課題に取り組みながら、コンパクトでスマートな街づくりをするためにはこういう駐車対策が必要になるということが示されている。クルマから人中心の考え方へという近年の流れは変わっていないが、注目すべきは四輪車だけでなく原付バイクや電動キックボード、電動車いすといった多様なパーソナルモビリティをも対象としたことだ。
これにより、これまで区市町村の対策にまかせ、都としてはあまり主導してこなかった小さなモビリティへの駐車対策がより明確に推進されそうだ。もちろん、パーソナルモビリティが小さくなるほど、その運用管理は地域の実情に沿った駐車対策がなされるべきなので、区市町村による附置義務条例の施行やピンポイントエリアでの独自施策、既存の公共交通機関との連携といった施策も変わらず重要ではある。
ただ、今回の在り方には、駐車対策としては、これまで一般的にはパーキングメーター・チケットくらいしかなかったカーブサイド(路肩側の車道空間)を自動二輪車の駐車スペースや電動キックボードなど新たなモビリティのシェアポートとして活用するというアイデアも盛り込まれており、東京という日本の首都でのモビリティ・マネジメント像が示されている。
前述したような都立のさまざまな施設を軸とした公有地への駐車スペースの設置と、在り方の中で、原付バイクも対象車両とされたことで、自転車のついでのような考え方ではなく、都民の移動手段として必要なモビリティであるという認識が定着していくことを願いたい。
「東京都が変われば日本全体が変わる」という言葉は、二輪業界では口ぐせのように言われてきた。オートバイ議連の一員でもあった小池都知事の手腕をこれから見守っていきたい。
今後、都内で整備されるバイク駐車の手法・形態とは?
今回示され駐車対策の在り方では、これまでの自動二輪車に加え、原付バイクや電動キックボードなどの新しいモビリティも対象となった。都内の四輪駐車場収容台数はピーク時の利用台数を上回る傾向にある。余剰スペースや公有地等のデッドスペースを自動二輪・原付用に活用する方針だ。区市での附置義務条例の制定も推進する
大型バイクも安心!都立神代植物公園にバイク駐車場所を整備!
再開園に伴う3月23日、ばら園で知られる都立神代植物公園の深大寺門(じんだいじもん)に大型バイクも停められるバイク駐車場所が整備された。もともとは不整地の上に自転車と混在して停められていたが、付着した泥を広げてしまう、植物を傷つける恐れがあるといった理由で自転車置き場と分離して整地された
二輪関連団体の代表が小池百合子都知事を要望訪問
4月13日、東京オートバイ協同組合(AJ東京)、全国オートバイ協同組合連合会(AJ)、オートバイ政治連盟、日本自動車工業会二輪車委員会といった二輪関連団体が小池百合子東京都知事を要望訪問した。駐輪場にも大型バイクといった自動二輪車を停められるようにしてほしい、都立の施設に二輪駐車場を設置してほしいといった要望を書面で手渡すと共に直接説明した形だ。なかでもAJ東京の野間理事長は「東京国際フォーラムに作ってほしい」と要望。その効果かは分からないが、5月に開催された小池氏の勉強会等の場で「東京国際フォーラムにバイク駐車場を設置する」ことが明言された。
Writer 田中淳磨(輪)さん
二輪専門誌編集長を務めた後、二輪大手販売店、官庁系コンサル事務所への勤務を経て独立。三ない運動、駐車問題など二輪車利用環境問題のほか若年層施策、EV利活用、地域活性化にも取り組む
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