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【ThinkingTime 】㉒与党オートバイ議連が座談会 PT新座長に三原じゅん子氏

*BikeJIN vol.230(2022年4月号)より抜粋

二輪車高速料金定率割引プランや、軽自動車税増税の期間猶予、
駐車ルールに関する条例改正など、バイクの利用環境改善に実効的な力を発揮してきた政界の
オートバイ議連に大きな動きだ。あの三原じゅん子氏がついにPTの座長となったのだ

党派を超えた議連も活動中!政界にしっかり根付いたロビー活動

1992年、吉田純一氏が全国オートバイ組合連合会(AJ)を作ったのち、高速道路2人乗り解禁について高市早苗衆院議員から「議連を作るべき」と助言を受け、故小里貞利衆院議員が自民党オートバイ議員連盟を作った。現在は与野党にオートバイ議連があるほか超党派の「バイカーズ議員連盟」も立ちあがった。

 年が明けた1月、オートバイ政治連盟と全国オートバイ協同組合連合会(AJ)が自民・公明両党のオートバイ議員連盟と相次いで座談会を行なった。オートバイ政治連盟の吉田純一会長が働きかけ、01年10月に自民党オートバイ議員連盟が立ちあがり、民主党(当時)、日本維新の会(当時)、公明党にも広がりを見せ、バイクの利用環境改善について中央省庁にも横串しを刺しての検討が行われるようになった。現在、自民党では政務調査会の中に二輪車問題対策プロジェクトチーム(PT)が置かれ、公明党オートバイ議員懇話会とも協調してバイクの諸問題解決に取り組んでいる。

公明党オートバイ議員懇話会との座談会が開催。軽自動車税も焦点に

1月27日、オートバイ政治連盟は、AJと公明党を迎えて「二輪車業界の今後を考える座談会」を開催。生活の足としてのバイクの利用実態と駐車環境、カーボンニュートラルへの対応、軽自動車税への税制対応販売店の在庫である商品車両の免税、沖縄の二輪車通行帯規制、三ない運動からの交通安全教育、任意保険の仕組み、バイクの災害時活用等について幅広く議論された。

「経産省、国交省、警察も入って、バイクの課題を議論する場を行政で作ることが大事」と北側会長

【座談会メンバー】

左から、オートバイ政治連盟の吉田純一会長、公明党オートバイ議員懇話会の伊藤孝江(たかえ)幹事、北側一雄会長、石川博崇(ひろたか)事務局長、全国オートバイ協同組合連合会の大村直幸会長

三原氏はPTの重鎮!バイク諸問題への見識も深い

 さて、これまでもバイクを取り巻く規制緩和や法改正に大きな力を発揮してきた政界との活動だが、今回最も話題となったのは、PTの座長に三原じゅん子氏が就任したことだ。タレント議員というイメージを持たれている人も多いかもしれないが、バイク業界関係者から見れば、三原氏は自民党オートバイ議員連盟の事務局長を長年就任にもまったく疑問はない。

AJや自工会といった二輪業界団体は自民党政務調査会二輪車問題対策プロジェクトチーム(PT)や各党オートバイ議連の勉強会といった場において国会議員や中央省庁の担当者に要望を届けている。
今回、新座長に就任した三原じゅん子参議院議員もPTの事務局長を長年務めており、課題にも精通している

 筆者は7年前に三原氏にインタビューしたことがあるが、その見識の深さに驚いたことを覚えている。当時はバイクラブフォーラムin永田町が開催され、二輪車産業政策ロードマップが完成した直後ということもあって、ずいぶんと深い話をさせていただいた。当時の三原氏は普通自動二輪免許取得のために教習所に通い、2030運動やオートバイ行政推進一括法、さらにはモータースポーツ振興基本法などに取り組んでおり、群馬県交通安全条例など三ない運動の動きや原付バイクの利用環境についても熟知されていた。さすがは議連の事務局長という受け答えだったのだ。

 今回の就任にあたっては、高市早苗政調会長から直々に「ぜひやってほしい」と就任要請の電話があったという。なお、高市氏は、かつて吉田氏に自民党オートバイ議員連盟設立の必要性を説いた人物でもある。浅からぬ縁であり、当然の流れと言えるかもしれない。

また、その人事に伴い、事務局長の後任には前三重県知事の鈴木英敬衆院議員(経産省出身)が座った。バイクラブフォーラムの中核に経産省があることを考えれば、三原新体制の船出は順風満帆と言えるだろう。ただし、就任の挨拶の中で三原氏は「大変なときに座長を引き受けた」と率直な感想を述べた。駐車問題、高速料金問題など成果が出たり見通しがついたものがある一方で、カーボンニュートラルへの対応や電動キックボード運用に関する法改正といった事務局長就任時には存在していなかった問題も見えているからだ。自身がレースの現場にいた経験からも「ガソリン車の音や匂い、響きがなくなる寂しさは当然あります」とコメントしつつも、「電気とガソリンは大きな違い。双方の意見を聞きながら、こぼれ落ちる人や取り残される人がいないようにていねいに進めたい」と見解を述べた。

 また、「本当にエコなのは原付バイク(吉田氏)」「生活の足として使っている方の駐輪場は必要(大村氏)」といった原付バイクの重要性やコミューターの駐輪問題については「行政側には二輪の存在をもう少し理解していただく必要がある。国交省にも我々の希望を打ち出していく必要がある」と改善への方針を示した。

全国オートバイ協同組合連合会 会長
大村直幸さん

「いま1番大切だと考えているのは、50〜125㏄のバイクに乗っているユーザーにとって代替する物が現れるまで今の乗り物に乗り続けられるような環境を作ってほしいということです」
オートバイ政治連盟 会長
吉田純一さん

「今年はまた『軽自動車の税制改正』があります。再び四輪に引っ張られる形で二輪の値上げ問題が出てくると
思います。今回は初めから自民・公明で慎重に協議頂き、警戒して進めていただきたい」

 さらに、軽自動車とバイクがまったく同じ料金という高速料金問題を例にし、「国民の当たり前の感覚というものを大切にしない限り、政治は信頼されなくなる」と語り、諸問題の解決にあたり「各省庁や各自治体にお願いすることも増える。バイク業界とユーザーが作ってきた『日本でしか作れない文化』を残したい」と政治家としての姿勢や想いにも言及した。

 最後に、印象的なコメントを紹介したい。7年前のインタビューでも話されていたのだが「子供のうちからオートバイの魅力を伝えることも大切」という言葉だ。親から子への継承は業界の課題でもあるが、三原氏のブレない信念が聞けたようで安心した。新座長の働きに大いに期待したい

バイクの諸問題に詳しい新座長を迎え今後の利用環境改善に大きな期待!

 1月24日、「二輪車業界の明日を考える座談会 〜三原じゅん子議員を迎えて〜」が開催された。三原氏は、鈴鹿8耐での監督経験やプロレーシングドライバーとしての経験を踏まえ、自身の適性に自負を持ってオートバイ議員連盟に所属し二輪車問題への知見を深めてきた。PT座長就任にあたり、駐車、高速料金など既知の問題に加え、脱炭素と免許制度など新たな課題も示し「乗りたいと思っていただけるよう政治の力で環境を整える」と決意を述べた。

多くの関係者が出席した新座長就任座談会

三原氏のPT新座長就任座談会には、二輪業界や関連メディアからも多くの出席者があった。元タレントでありモータースポーツ活動にも長年携わってきた経験と知識は政界では誰しもが認めるところだ。バイクに詳しい三原氏への期待は大きい

初代座長 逢沢一郎衆議院議員
二代目座長 三原じゅん子参議院議員

PTの設立時から座長を務めてきた逢沢氏。今後は長年事務局長を務めてきた三原氏へと引き継がれ、16年の設立以来初の座長交代となった。

Writer 田中淳磨(輪)さん

二輪専門誌編集長を務めた後、二輪大手販売店、官庁系コンサル事務所への勤務を経て独立。三ない運動、駐車問題など二輪車利用環境問題のほか若年層施策、EV利活用、地域活性化にも取り組む

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