本誌を強力にサポートしてくれた人のひとり平さん
平忠彦さんも、本誌を強力にサポートしてくれた人のひとり。ボク自身、平さんとは長い付き合いで、いつか本誌でも連載企画をやりましょうと会う度に話をしていました。
「鼓動の旅」から始まり、「美風伝承」、「双天の路」、「新・双天の路」と長きにわたってツーリング紀行の連載を続けてくださった平忠彦さん。
2018年7月現在は「鼓翼の旅路」連載中!!
その平さんの連載記事では、平さんがバイクとともに日本中を駆け巡りましたが、たった一度、せっかく取材したのに誌面に掲載されることがなかったものがあります。
多忙な平さんのスケジュールを縫っての取材、もちろん取材経費だって馬鹿になりません。しかし、ボツにせざるを得ないような大きな事件が起こり、ボクは苦渋の決断を迫られました……。
平忠彦さんも、本誌を強力にサポートしてくれた人のひとり。ボク自身、平さんとは長い付き合いで、いつか本誌でも連載企画をやりましょうと会う度に話をしていました。
ただ、多忙を極める平さんが納得して、それならお受けしますと言ってくださるような企画は簡単には浮かびませんでした。そんなとき、ヤマハから1台の独創的なバイクが登場しました。1670ccの巨大な空冷V型2気筒エンジンを採用したMT-01です。鼓動感にあふれるエンジンから生み出される怒涛のトルクを持つバイクで、平さんにこの個性あふれるバイクで地球が発する鼓動ーー壮大な滝が発する波動や地中からエネルギーを爆発させるような間欠泉、巨大な岩に激しく打ち付ける波が生む地響きといったものを探す旅をしてもらいたいと思ったのです。
平さんにご快諾いただき、05年8月号(Vol.30)から連載がスタートし、
その後、「美風伝承」、「双天の路」、「新・双天の路」と登場するバイクや内容を変えながら平さんのツーリング紀行は17年1月号(Vol.167)まで続くことになりました。
そんな長い連載のなかで一度だけ、取材はしたが誌面には掲載しなかった記事があります。
青々とした稲穂が一面に広がる新潟地方を訪ねた取材でしたが、取材から数日後、最大震度6弱という大きな地震がその新潟地方を襲ったのです。07年7月16日に発生した「新潟県上越沖地震」でした。
各地に大きな被害をもたらした大地震は、当然、平さんが取材で訪れた場所にも爪痕を残していました。手元にある写真に写る美しい景色も一変してしまっているはず。そう思ったとき、ボクはこの写真はいま誌面に掲載するべきではないと判断し、平さんをはじめとした取材スタッフにも説明しました。みんな、ボクの判断を支持してくれました……。