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敷居の高さは百も承知 今年こそサーキットデビューしたい!

ほとんどのバイクジン読者は、バイク好きの中でも“ツーリング派”のはず。だからこそ、非日常の遊びとして憧れている人も多いのが“サーキット走行”だ。一歩踏み出して走ってみれば、そこにはツーリングでは味わえない快感と興奮がたっぷり。しかも大半の走行会には、今後のバイクライフに役立つスクール的な要素まである。「いつかは……」なんて先延ばしにせず、今年こそサーキットを走ろう

走行会参加の目的は速さよりも楽しむこと

「カチッ」と音が聞こえるくらいまでスロットルを開け、風圧から逃げるようにカラダを折り畳む。ストレートエンドの目標地点で、素早く上半身を起こしてブレーキング。狙ったラインをトレースしながら深いバンクでターンして、マシンを起こしつつスロットルを徐々に開けてコーナーを立ち上がると、次の直線がやってくる。

サーキットは、非日常の空間。同じ走りを公道ですれば、周囲から冷ややかな目で見られる……くらいではイマドキ済まないけど、サーキットならどんなにトバしてもOKだし、速いと尊敬の眼差しで見られることだってある。

ただし、レースではなく走行会に参加するなら、〝速さ〞はまるで重要ではない。サーキット走行会の目的は〝スポーツライディングを安全に楽しむこと〞であり、もちろん目標タイムやクリアしたい課題を設定して参加することは悪くないが、真の目的は走りを満喫することだ。そういう点では、エンジョイゴルフや市民マラソンにちょっと似ているかもしれない。

サーキット走行会は、さまざまなメーカーやショップやバイクメディアなどが開催しており、いろんなレベルのライダーが参加するが、フリー走行枠(=先導車がいなくて追い越し可能)なら、ルールとマナーさえ守れば基本的には自分のペースで走行可能。たいていの走行会が、経験や速さで参加者をクラス分けしているので、クラス選択さえ適正なら、周囲に気兼ねなく走れる。

となると中には、「仲間内でオレが峠で一番速いから、最初から上級者クラスで!」なんて人もいるもんだが、まあオススメはしない。所詮、公道は公道。サーキットには、走行会レベルでも上手なライダーが大勢いる。謙虚な気持ちこそ、安全に満喫する秘訣だ。

はっきり言ってしまえば、サーキットデビューには準備段階でお金がかかる。初めてだと不安もある。それでもこの遊びをみんなにオススメするのは、バイクという特別な趣味の中でも、とくに非日常的でエキサイティングな遊びだから。と同時に、普段の公道では学べないライディングテクニックを会得できたり、そのきっかけになったりもするからだ。

今年こそ、サーキット走行会に参加してみない?

サーキットデビューへの3ステップ

最寄りまたは走りたい
サーキットで開催される
走行会を探す
その走行会の参加資格
(車両やライディングギアの条件)を確認
レザースーツや
レーシングブーツなどの
ライディングギアを揃える

初めてサーキットを走るときに最も高いステップは、3番目に挙げた「ライディングギアを揃える」ところ。必要なアイテムをすべてイチから新品購入すると数十万円規模になる場合もあり、これがチャレンジを躊躇させる最大の要因となる。これへの対処法を含め、必要なライディングギア、一般的な参加可能車両などについては順に解説する

サーキット走行のメリットとは?

  • 公道よりも安全な環境で、ライディングのスキルアップを狙える
  • サーキット走行会なら、インストラクターに教わることも可能
  • 忘れていたライディングに対する向上心を取り戻す起爆剤に
  • 愛車のポテンシャルを最大限に開放できる……かも
  • 人生で一度は体験してみたい(?)膝擦りにも挑戦できる
  • 公道で速くても何の意味もないことが分かるので、トバさなくなる

【Check 1】参加可能な車種は意外と幅広い

Kawasaki Z650RS

参加できるマシンの種類や排気量は、サーキット走行会ごと定められている。例えばライダースクラブ誌主催のライディングパーティは、「排気量200㏄以上のロードスポーツで公道走行可能なバイク」と規定。オフ車やクルーザーやレーサーはNGだが、カワサキ・Z650RS(写真)などのクラシックネイキッド系などでもエントリーできるのだ。

【Check 2】愛車のポテンシャルを解き放て!

とくにミドルクラス以上のスポーツモデルは、本来の性能を公道で発揮させたら命や免許がいくつあっても足りないし、限界性能に達するはるか手前で、モラル的に許されない速度域になる。でもサーキットなら、フリー走行時間でルールとマナーを守ってさえいれば、どんなにトバしても問題ナシ。むしろ、速いと褒められることもある。せっかくスポーツバイクに乗っているなら、一度くらいは愛車の“本気”を体感してみてはいかが?

【Check 3】事前のマシン準備は難しくない!

日頃の愛車整備を怠っていなければ、走行会レベルなら特別な準備はそれほど必要ない。とはいえサーキットでは高速かつ深いバンク角で走るので、タイヤとブレーキとエンジンオイル系統は要チェックだ。タイヤはハイグリップに履き替える必要はないが、使用開始から2~3年経っていると、溝があっても本来の性能を発揮できない場合もある。オイルや冷却水の漏れがないか、ブレーキパッド残量が十分あるかくらいは確認すべし!!

いつものウエアでも走れるが・・・・・

走行会の中にはレザー以外のツーリングウエアで参加可能なクラスが設定されていることもあるけど、追い越し禁止かつローペース。雰囲気を体験するにはいいけど、サーキットの醍醐味を本当に味わいたいなら、レザースーツ着用のフリー走行を目標にしたい!!

バイクと装具がOKならあとは現地でなんとでも

初めてサーキット走行会に参加するときは、準備に関しても分からないことだらけ。これも挑戦する気持ちを萎えさせる要因だが、誤解を恐れずに言わせてもらうなら、バイクと装具さえちゃんとしていて、多少のお金さえ持っておけば、あとはなんとかなる!

サーキットを安全に楽しく走るために絶対必要なルールとマナーは、当日のブリーフィングで学べる。タイヤメーカーが帯同している走行会なら空気圧調整もお願いできるし、アテがハズれたら、主催者か他の参加者にお願いしてエアゲージなどを借りればいい。飲み物は現地自販機で買えるし、大きめのサーキットならガソリンスタンドだってある(価格は高い)。

でも、バイクの不調やギアの不備だけは、現地で対処できないことも多い。まずはこの2点を完璧にすることを心がけよう!

【Check 4】走行会をスクールとして活用!?

近年のサーキット走行会は、元レーサーなどの多彩なプロライダーが先導走行を担当することが多く、休憩のタイミングを見計らってライディングに関する質問をすれば、意外なほどフレンドリーに教えてくれる。そうでなくても、走行前ブリーフィングやトークショーや座学など、ライテクの知識を得られる機会は多いから、ただ走って終わりではなく、プチスクール的にも使えるのだ。

【Check 5】ルール&マナーは当日に学べる

初めてのサーキット走行は不安いっぱい。そもそも「サーキット特有のルールやマナーは何も知らないし……」という人も多いだろう。しかし心配は無用。ほとんどの走行会は、最初の走行前(基本的には朝イチ)にブリーフィングという時間を設けてあり、コースイン&アウトの方法や、コースでの情報伝達に使われるフラッグの意味、各種注意事項などをていねいに教えてくれる。もちろん事前に勉強しておくことはムダではないが、ブリーフィング時間に遅れず集中して話を聞けば、基本的なことはその場でマスターできる!!

【Check 6】自走参加組は荷物を厳選しよう

愛車自走で走行会に参加するなら、車載する荷物を減らすために、レザースーツをはじめとするサーキット走行に必要なギアを、自宅ですべて装着して移動するのもアリ。このとき、サンダルやTシャツ&短パン(またはジャージ上下など)を持っていくと、現地で休憩時にリラックスできる。また、レジャーシートやハンガーがあると、荷物やヘルメットや脱いだレザースーツなどを地面に直接置かずに済むのでオススメ。工具は厳選するか荷物から省いてもいいが、バックミラーなどを外して走行したいなら、作業に必要な工具は持参しよう!!

ライパは初心者大歓迎!

「速いがエライじゃない」をキャッチコピーに、姉妹誌ライダースクラブが主催しているライディングパーティ(通称ライパ)は、走行前にコースの下見ができるサイティングツアーや、元MotoGPライダーの青木宣篤さんによる座学など、サーキットビギナー専用のコンテンツが充実。また、無料のライディングフォームチェックなども実施される。15分程度の短い走行枠が6回あるので、集中力や体力を維持しやすく、少しずつペースアップが可能。昼食付き、休憩スペースあり、空気圧を調整してくれるタイヤメーカー帯同なので、準備する荷物も少なくて済む。フルフェイスヘルメットと革製グローブ&ブーツは必須だが、バイク用に設計されたプロテクション装備の革製ジャケット&パンツでも参加可能だ!!

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