[キャンプで”火”を使いこなせ!]LIGHT MY FIRE「炭」
使いこなせれば非常に優秀な燃料
それが炭である
種類も様々で、それらの特徴を知らないと
いつまでたっても火がつかなかったりする
炭を使いこなせるようになれば
キャンプではベテランと言ってもいい
※BikeJIN vol.261 2024年11月号参照
「炭火のような」という褒め言葉がある。一気にカッと熱くなるのではなく、冷めやすくもなく、いつまでじんわり暖かい。人柄の評価としても、かなりいい方の表現ではないだろうか。
実際、炭をおこすのは乾いた薪に火をつけるのに比べれば手間も時間も多少かかるが、一度おきてしまえば後は少しづつ追加するだけで長時間ほぼ一定の燃焼を続けてくれる。焼き鳥やウナギでも分かるように、肉や魚を焼くのにも適しているし、鍋をかけても底が煤だらけになることもない。
炭には色々な種類があって、それらの特徴を知ってから使うのがオススメだ。焼き鳥屋やウナギ屋で珍重されている備長炭は硬いカシの木を素材としており、火の持ちは素晴らしくいいのだが、着火は非常に手間がかかりキャンプで使うには推奨しない。一見備長炭のようでいて、実はマングローブを使用しているものもある。これも見かけだけが備長炭なので2重の意味でオススメしない。一般的には最も普及しているナラ材の炭を使うのがいいだろう。
アメリカ人がBBQで使う炭はチャコールブリックやチャコールブリケットと呼ばれる、日本で言うところの豆炭である。表面に着火剤が染み込ませてあるものもあって、それらはマッチ1本で着火ができる。着火は簡単だが、着火剤が燃え切るまでは独特の変な匂いがするので、着火後すぐに調理ができないというマイナス点もある。BBQ用のモナカアイスのような炭もこれと同様だ。
キャンプで炭を使うときに注意したいことの一番は一酸化炭素中毒だ。炎が上がらずじんわり長時間燃焼するとは言え、狭いテント内で使うのは、クルマでの練炭自殺と同様の、まさしく自殺行為だ。いくらベンチレーターを開けて換気しても、追いつくはずもない。
もうひとつ気をつけたいのが燃焼途中の炭の処理だ。しっかりおきた状態の炭は多少の水をかけたくらいでは火は消えない。大量の水蒸気と灰が舞い上がるだけだ。地面に埋めて空気を遮断し消火しようと考える人もいるようだが、その程度で炭は消火できない。それどころか草や木が燃えだして山火事になる危険性もある。炭は水をきれいにしてくれるからと川や海に流すのも論外。ゴミを捨てるただの言い訳だ。
しっかりと消すためにはクッカーに張った水に浸すのが最適だ。素手で触れるようになってから可燃ゴミとして処理しよう。もしくは完璧に乾かせば次回のキャンプでまた使用することも可能だ。消し炭は着火がしやすいので取っておいて損はない。持ち帰ってガーゼの袋などに入れ、靴の消臭剤として使うのもいいだろう。チャコールブリックは炭の粉を固めて成形したものだから一度着火してしまうと最後はボロボロになって消し炭にはならない。
炭の保管は風通しのいい乾燥した場所に置くのがいい。湿った炭はなかなか火がつかないからだ。