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【ハーレー和尚のバイク説法「結願」】お遍路に通じる旅の心|バイクで巡るツーリスト・トロフィーと仏教の共鳴

ただ走るだけじゃない。目的地を定めて巡るツーリングは、まるで“現代版のお遍路”のようだ──そう語るのは、ツーリスト・トロフィー参加スポット「バイク寺」本瀧寺のシュウケン住職。バイク旅と仏教の教えが重なる、心豊かなライディングの極意とは

BikeJIN2025年4月号 Vol.266掲載

仏教に学ぶ巡礼の心「お遍路」と“結願”とは

本瀧寺のシュウケンです。編集長のモリさんからお誘いをいただき、培倶人さんが開催されている「バイクジン・ツーリスト・トロフィー2025」のQRスポットに、今年もバイク寺として参加させていただくことになりました。

当寺に参られるライダーのお話だと、最近このようなラリー形式のツーリングは大変人気だということです。ただツーリングに出かけるのではなく、決められた場所を何らか目的を持って巡り、そして完走した時に得られる達成感や満足感。その達成感、満足感こそが、こうしたツーリングイベントの人気の理由のひとつではないでしょうか。

じつは仏教にも似たようなものがあります。四国八十八ヶ所霊場巡り。そう、お遍路です。ご存じのとおり、お遍路は、今から1200年ほど前に弘法大師が修行した四国の八十八ヶ所の霊場を巡礼することです。当初は修行僧などが中心でしたが、今では宗派など信仰に関わらず、多くの人が巡礼しています。そして、すべての霊場を巡礼し終えることを『結願(けちがん)』と言います。結願とは仏教用語で、日数を定めて行う法会などをすべて終えることで、その最終日を結願法要とも言います。

私の知人にも、お遍路をした人が多くいます。短期間に集中して一気に巡礼した人や、何回にも分けて巡礼するいわゆる“区切り打ち”した人など、そのスタイルはさまざまです。その時に大切なのは、「無理をせずに、自分のペースで巡礼することだ」と、お遍路を結願した人は皆そろっておっしゃいます。お遍路では、巡礼した証として各霊場で御朱印をいただきます。しかし、この御朱印をいただくこと、集めることが、お遍路の目的ではありません。

お遍路をする人のことをお遍路さんと言いますが、四国ではこのお遍路さんに地元の人がとても親切にしてくださる“お接待”という文化があります。お接待でお世話になった人との出会い、巡礼の途中で見る景色、そして巡礼中の自分の行い、すべてを含めてお遍路なのです。それら巡礼を通じて得た経験こそがお遍路する本当の目的ではないでしょうか。

恐らく培倶人さんのツーリスト・トロフィーにも多くの人が参加されることでしょう。皆さん決して無理をせず、自分のペースで回ってください。そしてツーリングを通じて、いろいろなことを感じ、経験して、今後のバイクライフを豊かなものにしてください。そのことを頭の片隅に置いて、無事「バイクジン・ツーリスト・トロフィー2025」を結願してください。

合掌

お遍路では多くの人が、各札所で御朱印帳に御朱印をいただく。1番から88番まである札所を一気に巡礼するのが“通し打ち”、何回かに分けて巡礼するのを“区切り打ち”。また1番から順番に巡礼するのが“順打ち”、逆に88番から巡礼するのを“逆打ち”と言う
BikeJINツーリング・トロフィー2025のQRスポットの一つでもある「妙見宗総本山 本瀧寺」。通称“バイク寺”。境内にはカフェ「ほんたき寺巣」もある

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