【バイク日和】竹内さくら|表現者としての基盤はバイクから生まれた
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竹内さくらさんは、レースアナウンサーとして活動する傍らプライベートでもロードレース、オフロードにトライアルキャンプツーリングも楽しんでいる。バイクとデザイナーの二刀流をこなすバイタリティーはどこから来るのだろうか?また昭和時代に憧れを抱き、当時のグッズを集める理由はいかに?
※BikeJIN vol.265 2025年3月号参照
竹内さくらとは? レースアナウンサー&デザイナーの二刀流キャリア
竹内さくらさんといえばレースアナウンサーとして、各サーキットでその声を耳にする機会が多い。軽快な中にも落ち着いた声質は、サーキットだけでなくイベント会場などでも、多くの方から親しまれている。
レースアナウンサーになるきっかけは、なんだったのだろうか。「両親も妹もバイクには乗らないんですが、自分だけ中学生くらいからクルマやバイクが好きだったんです」免許の取れない中学時代は、再放送のアニメ「yawara!」を観て、「柔道やりたい」と柔道部に入部した。なんと黒帯まで進んだという。
そして高校に進学。そのころはすでに、「早く免許を取りたい」とバイク熱は高まっていた。その熱は、一人でオートサロンや東京モーターショーに行ってしまうほどだった。
驚いたことに、現在仕事を共にしている〝mcシモ〞ことレースアナウンサーの和田鉄平さんとは、このころからの知り合いだとか。
16歳になると、すぐに原付免許を取得した。
「両親に免許のことは何も言わずに取っちゃったんですけど、怒られることはなく、ジョグzrを買ってくれたんです」
通学では乗らなかったが、プライベートはいつもジョグで出かけていた。そしてある時、仲間にサーキット走行会に連れていってもらった。
「みんなが膝を擦りながらコースを走っている姿を見て、『こんな世界があるんだ、すごいなぁ』と驚きました。世界が広がった感じがしたんです」と興奮気味に話す。
徐々にサーキットを走るようになり、「自分もみんなみたいにギア付きに乗れたらいいなぁ」と思って購入したのはnsr50だった。
当時はリュックを背負った方が楽だということすらわからず、ショルダーバックにケミカルなどを入れて、サーキットまで自走で行っていた。
「負けず嫌いな性格なので、みんなができているのに、なんで自分にはできないんだろう? という悔しさがあり、どんどんサーキット走行にのめり込んでしまったんです」
笑顔で答えるさくらさんだが、〝勝負に負けたくない〞という気持ちは、中学時代の柔道で培った勝負魂・武道魂があるのかもしれない。
サーキットにのめり込んでいき、モトクロッサーcr80のエンジンをnsr50のフレームに載せたりしたことも。そしてミニバイクレースをやるようになり、nsr50や80に長く乗っていた。
その後、普通二輪免許を試験場で受験し、見事合格。大型二輪免許は教習所に通って取得した。
さくらさんには、もう一つの顔がある。それはデザイナーだ。
小さいころから絵を描くことが得意で、図画工作も好きだった。高校卒業後の進路で自動車整備学校に進むことも考えたが、当時はクルマ系の市場があまり良くなかったこともあり、デザイン系の学校に進学することを決め、グラフィックデザインを専攻した。卒業後は女性ファッション誌に携わるデザイン事務所に就職。3年ほど勤務して独立した。バイク関係の知り合いが多かったこともあり、レーシングスーツのロゴやオリジナルキャラクター、イベントのポスターなどの制作を請け負う、グラフィックデザイナーとしても活動中だ。
デザインを生み出す才能は、レースアナウンサーとしての表現力を作り出すということに、何か共通するものがあるのかもしれない。
レースアナウンサーは私の天職!
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レースの感動、バイクの楽しさを言葉で表現することで、「多くの方に、さらにバイクライフを楽しんでもらいたい」という信念のもと奮闘中。(写真上)念願の鈴鹿8耐でのピットリポート。暑いが肌は露出できず、ヘルメット着用が義務付けられている。(左)東京モーターサイクルショーのホンダブースでMCを担当した
サーキットは緊張と楽しさで走るたびに感動の嵐
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憧れていたVFR400Rで、初めてサーキットを走った時の感動はいつまでも忘れられない。これらの経験が、レースアナウンサーとしてのさくらさんをより大きなものに成長させてくれているのだろう(PHOTO/@たず)
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竹内さくらさん
神奈川県生まれ、在住。鈴鹿8耐や全日本ロードのレースアナウンサー、イベントMCの傍らグラフィックデザインも手掛ける。オン&オフなどカテゴリーにこだわらず、自らもバイクライフを楽しんでいる