1. HOME
  2. COLUMN
  3. 【Thinking Time㊽】ロングツーリング人気も再燃か? バイクの魅力について改めて問う

【Thinking Time㊽】ロングツーリング人気も再燃か? バイクの魅力について改めて問う

10回目を迎えた自工会二輪車委員会メディアミーティングのテーマは
「バイクの魅力」。第12世代バイクブームのなか二輪業界による
普及促進への取り組みと改めて考えるバイクの魅力とは?

6月27日、浅草のライダーズカフェ「オルティガ」にて第10回自工会二輪車委員会メディアミーティングが開催されたので、その模様ならびに筆者の考察等について紹介したい。

今回のテーマは「あなたを虜にするバイクの魅力とは?」というもので、主にバイクの魅力について若年層にどう普及していくのかといった議論が行われた。

バイクの魅力は人それぞれポジティブな行いを

その前段として、いま二輪業界が取り組んでいる施策についての説明が行われた。今年も8月19日にアキバ・スクエア(東京都・秋葉原)で開催されるバイクの日イベント「8月19日はバイクの日HAVE A BIKE DAY」の概要について、またバイク月間(7〜9月)に二輪業界等が行う各種のイベントについても紹介があった。

特に日本二輪車普及安全協会が今年度から各地で開催している「ジャパンライダーズカフェ」はバイクに乗るという機会創出と安全運転への啓発を同時に狙ったものとして注目される。さらには9月27・28 日に宮崎市で開催される「バイクラブフォーラムin南国みやざき」についても説明があった。バイクの日イベントやバイクラブフォーラムではカーボンニュートラル車両や電動バイクに関する展示、議論も行われるようで、業界の取り組みをより深く知ってもらう機会となりそうだ。

その後のディスカッションでは、定期的に実施されている二輪車市場動向調査(2023年度)とモトインフォ編集部が行ったモーターサイクルショーでの若年層に向けたアンケート調査結果が示された。どちらの調査でもユーザーのコト消費に関する質問ではツーリングに関係する回答が上位を占める結果となった。特に若年層の夢や目標についてはロングツーリングがしたいという回答に続き、有名スポットへのツーリング、さらには日本一周と答える若者もおり、バイク旅への普遍的な憧れは世代を問わないことを示していた。

若年層の夢や目標は「ロングツーリング」
MOTOINFO編集部が東京・大阪のモーターサイクルショー会場で実施した若年層への来場者向けアンケート結果によると、彼らの夢や目標では「ロングツーリングがしたい」が最も多く、日本一周がしたいといった回答も続いた
二輪車市場動向調査で見えたバイクのコト消費「日帰りツーリング」が突出した意向に
2023年度二輪車市場動向調査(自工会)によると、実施経験では日帰りツーリングが、今後やってみたいこと(実施意向)では宿泊ツーリングが最も高かった。ツーリングがコトづくりの肝だ

続いて「バイクの魅力とは?」について参加メディアや関係者に話を聞くと、その魅力やバイクの利用、乗り始めたきっかけなど意外なほどに回答がバラけてしまい、用意された図(下図参照)のようにバイクの魅力は千差万別であることを改めて認識する結果となっている。

バイクの魅力はポジティブな要素だけではない。「暑い」「寒い」「雨に濡れる」といった基本的なネガティブはバイクに乗ることのハードルにもなっているが、逆に言えばそれを補って余りある魅力があるとも言える。ただし「バイクを雨に濡らしたくない」というライダーが一定数いるのも事実だ

そもそもバイクに乗るということは、転ぶ、暑い、寒い、雨に濡れるなどネガティブな側面も多い。ベテランユーザーの中にも雨が降るならバイクに乗らない、ツーリングに出かけないという層が一定数いる。都市部であれば、クルマのように現地で駐車場を見つけて駐めるということもできない。自然現象や利用環境について真面目に考えるほど「では、なぜバイクに乗っているのか?」という疑問を突き付けられる。

筆者のように自転車感覚の延長で、買い物から仕事、ツーリングにまでバイクを使うようなユーザーは随分減ってしまったように感じるが、多様なバイクライフがあることをもっと広く伝えてくことで、ユーザーのコミュニティも拡がっていき、社会に受け入れてもらうための門戸も開かれていくのではないだろうか。

ジャパンライダーズ宣言投稿でプレゼントも! 全国各地でジャパンライダーズカフェが開催中

日本二輪車普及安全協会が実施している「JAPAN RIDERS CAFÉ」はツーリング立ち寄り型のイベントで、バイクに乗る機会を提供し安全運転啓発も同時に行う施策だ

バイクに乗り始めてくれた若年層や本当は必要なのに校則で乗れていないような高校生らに対して、駐車問題などの利用環境や三ない運動といった規制的指導などでバイクのイメージや魅力がこれ以上そがれていくことのないように、我々先輩ライダーが安全運転やマナーにも気を付けながら、ポジティブ(カッコいい、いいね!)に感じてもらえるように行動・活動していくべきだろう。

8月19日は“バイクの日”今年も秋葉原でイベントを開催

バイクの日(8月19日)は交通事故撲滅を目的に1989年に政府総務庁(現 内閣府)により制定され、全国各地で警察等による安全運転講習会などが開催されている。自工会もバイクに関心のない人たちにも知ってもらえるよう毎年都心部でイベントを開催し、今年も8月19日(月)にアキバ・スクエアで実施される。

会場は浅草で人気のライダーズカフェ西海岸を感じさせる「ORTIGA」(オルティガ)

会場となったのは浅草のライダーズカフェ「オルティガ」。マスターの田中さんはバイクショップや町工場で働いたのち、仲間と「ガレージで美味しいコーヒーを飲めたら最高だな」とカフェプロジェクトを進め、一昨年の8月にオープンさせた。バイクを知らないお客さんのことも考えてカリフォルニアの砂漠感をコンセプトに店舗デザインにこだわったそうだ

人それぞれにまるで違う不思議!多岐にわたるバイクの魅力

議論の中心はバイクの魅力について語るというものだった。二輪専門誌編集長など参加した業界関係者の中でもバイクの魅力や乗ることへの動機、乗り出したきっかけなどは千差万別であることがわかった。魅力の感じ方や用途が違えば、駐車問題といった課題の捉え方も違ってくる。バイクに乗らない人も含めた社会から受け入れてもらうためのプロセスを整理し、情報発信しながら取り組むべきといった意見が出た。

バイクに乗った理由を「バイトの先輩がバイクで帰っていくのがカッコよかった」と語った日髙委員長。へとへとになるまで乗っていたそうだ
「運動神経がある程度ないと難しいですよね」と江坂常務。乗りこなすのは難しいけど乗れると楽しいという、バイクを馬に例える友人の話を披露

関連記事