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【ツーリングガイド富士五湖】ニッポン人の拠り所霊峰富士の麓を巡る

ニッポンで1番有名なスポットといっても過言ではない富士山
麓に点在する富士五湖からは
それぞれ異なる富士の姿を見ることができる
江戸時代に最盛を迎えたという富士山信仰について学びながら
霊峰富士の神秘と周辺の文化に触れてきた

富士の麓、富士五湖湖畔ツーリングへ

ツーリングに出かける際はもっぱらワインディングが主な僕。わりかしいつも同じ場所をツーリングしている気がするので、なにか新たなルートを開拓できないものかと考えていたところ、思わぬ伏兵が現れる。「アレ? そういえば富士山ってあんまりまじまじ見たことないかも……」。ニッポンに生まれて30年弱、外国人観光客もひっきりなしに訪れる富士山の姿をしっかり見たことないというのもどうかと思うので、ここらでいっちょ富士山周辺をガッツリ観光しようではないかと思い立ったのが今回の旅のキッカケだ。

考えてみれば都内でも〝富士〞と名のついたスポットがいろいろあることに気がついた。例えば僕の家の近所にある「富士見橋」なんかがそれにあたる。調べてみると「富士見橋」は僕の近所だけでなく、都内、神奈川県などにも点在しているようだ。ほかにも「富士見台」とか「富士見ヶ丘」とか、明らかに富士山が見えるのが地名の由来っぽい場所もある。今では高い建物が建ったりして、見えるか見えないかギリギリ……。みたいなところもあるみたいだが、富士山からかなり離れている場所に富士山由来の地名が残っているということは、それだけ昔の日本人は富士山の姿をありがたがっていたわけだ。こうなってくると「富士山? 興味ないっすね」などとスカしてる場合ではあるまい。昔の人がこれだけありがたがり、いまも国内外問わず数多くの人が訪れる富士山に、遅ればせながら興味が湧いてきた。

今回の旅の相棒は水冷のボクサーエンジンを積んだBMW R 1250R。スロットルを開けると後ろに転げ落ちそうなパワーがありながらも、ヒラヒラとハンドルも切れるし案外フレンドリー。湖畔を流すのにもうってつけのバイクだろう。そんな相棒と向かったのは、東名高速・御殿場ICから国道138号を経由した場所にある「道の駅すばしり」。朝食を抜いてきたので、腹ごしらえをしようという算段だ。富士宮焼きそばの屋台が出ていたので朝食を済ませる。すぐそばのふじあざみラインは入り口では富士を真正面にみながら、その後ワインディングでぐんぐん標高を上げていき、景色と走りを楽しめる道だ。ワインディングを楽しんだら早速次の目的地へと向かう。

道の駅すばしり

富士山に1番近い道の駅
国道138号、東富士五湖道路の須走ICからアクセスできる富士山からもっとも近い場所にある道の駅。富士山麓の地場野菜や自衛隊グッズなど地域特有のアイテムが置いてあるほか、無料で利用できる足湯もある

DATA

静岡県駿東郡小山町須走338-44 
TEL0550-75-6363
営業時間:9:00〜20:00 
定休日:なし

ふじあざみライン

雄大な富士とワインディングが楽しめる
須走地区から富士山須走口5合目までを結ぶ。登山シーズンの混雑緩和と富士山周辺の環境保護の観点から、毎年マイカー規制をおこなっているため、ツーリングの際は規制情報を確認してから出かけよう

DATA

区間距離:約11.5㎞
通行料金:なし
冬季閉鎖:11月〜4月
問:小山町商工観光課
TEL0550-76-6114
http://www.fuji-oyama.jp/

富士山の麓にある5つの湖から望む雄大な景色

富士講の巡礼地として人々が水行や巡礼をおこなっていた場所の1つが富士五湖だ。富士山の噴火によってできた堰せき止とめ湖で元は宇う津つ湖とせのうみという2つの湖だったという。富士山が世界遺産に登録された際、富士五湖もその構成遺産として登録された。

富士五湖の回り方としては東名高速を使って向かうのであれば、御殿場ICを降りたら東富士五湖道路を経由し山中湖ICで降り、後は下道で山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖の順番で巡るのがオススメだ。山中湖は富士五湖の中でもっとも大きく標高が高い。湖の周りは観光地としてにぎわっている。オススメは富士スピードウエイの方に抜ける「山中湖小山線」だ。タイトなコーナーが連続し走りを楽しみたいライダーも満足できるだろう。

河口湖は標高830mと五湖のなかでもっとも標高が低く、湖畔沿いに旅館やお土産屋が並ぶ古くからの観光地だ。西湖は湖畔にキャンプ場が点在しキャンプや釣り、最近流行りのSAPを楽しむ人々を横目に走るのも良いだろう。精進湖は五湖の中ではもっとも小さく周囲は4・4㎞しかない。が、そのぶん山中湖や河口湖に比べ人も少なく走りやすかった。この日はタイミングが悪く富士山が拝めなかったのが残念。本栖湖は五湖の中では1番深い湖で本州にある湖の中でももっとも透明度が高いといわれている。

個人的には本栖湖の湖畔が1番お気に入りだ。鬱蒼とした木々の中を抜けるセクションもあり、静かな湖畔を走っていると孤独感に浸れてとても気持ち良かった。ちなみに西湖、精進湖、本栖湖の標高は902mで、これはもともと同じ湖だったからだそう。

夕暮れ時、湖畔のキャンプ場の焚き火の灯りと人々の賑やかな声が聞こえる。今も昔も富士山は人々の心の中に根付いている。富士を眺めつつ5つの湖を巡る湖畔ツーリングもよし、霊峰富士を宗教的視点から楽しむもよし。ルートはあなた次第だ。

山中湖

富士山に1番近い湖
富士五湖最大で、標高も1番高い。富士山にもっとも近く雄大な富士を望みながら湖畔ツーリングを楽しめる。道志みちや山中湖小山線へもアクセスも良く、ワインディングを楽しみたいライダーにもオススメだ

河口湖

富嶽三十六景にも登場する景勝地
旅館やお土産屋などが立ち並び、山中湖同様古くから観光地として知られている。標高は富士五湖の中でもっとも低い830mだが、周辺距離は17.4㎞と富士五湖最長。湖畔ツーリングを存分に楽しめる

西湖

青木ヶ原樹海に囲まれた神秘の湖
864年の貞観の噴火によってせのうみが分断され精進湖とともに形成された湖。この写真の撮影場所でもある根場浜からは雄大な富士を望むことができる。ちなみに70年前に田沢湖で絶滅したクニマスが発見された湖でもある

精進湖

静かにツーリングを楽しむならココ
湖の周辺距離は4.4㎞と富士五湖の中ではもっとも小さいが、観光客も少なく湖畔には信号機もないため快適で静かにツーリングを楽しむことができる

本栖湖

千円札の「逆さ富士」のモデル!
水深は富士五湖の中で1番深く(125m)、透明度は本州随一。千円札の裏側に描かれている「逆さ富士」のモデルにもなった中ノ倉峠展望地からの眺めは絶景。木々が生い茂る静かな湖畔沿いの道が続いており、秋には見事な紅葉を見ながら走りを楽しむことができる

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