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[ビーナスラインコラム]LOVEビーナス①

ビーナスラインが多くの人を惹きつけるのはなぜか
この道を愛する人たちが魅力を語る

八島湿原の自然で心身を整える

季節ごとに異なる八島湿原の風景。幻想的な景色は多くの人を魅了する

ビーナスラインは、自然の美しさと心地良さが極致に表れる場所です。なかでも初心者が手軽にビーナスラインからアクセスすることができて、安心して信州の自然を楽しめるスポットが「八島湿原」です。

夏は涼しく、遊歩道も整備されて歩きやすいため、高原の自然を満喫できます。特におすすめは「遊歩道の木々の間から見た鎌ヶ池と八島湿原」。その景色は、季節ごとに異なる表情を見せてくれます。

また、普段から街中をバイクで走っている方も、諏訪湖からビーナスラインまでのコースは、ライディングのトレーニングにちょうど良く、さらに周囲の山々や木々、そして遠くに広がる景色を眺めると、心が広がるような感覚に包まれていきます。春には新緑が鮮やかで、夏には青々とした木々が目を楽しませ、そして秋になると紅葉が山々を彩ります。

ビーナスラインはただの観光スポットではなく、心を豊かにしてくれる癒しの場所。自然の美しさや豊かな気持ち良さを体験することで、生活の質が向上し、心身ともに健康になることができます。だからこそ、ビーナスラインは私たち地元の住民にとって、大切な存在であり、身近な場所なのです。

下諏訪町地域開発公社 観光振興局
清水活則さん

長野県茅野市生まれ。2021年から現職に就き、下諏訪ならではの観光体験ツアー企画などを通して、下諏訪の魅力を発信し続けている。自身もカワサキZ650RSに乗るライダー

朝焼けと雲海と絶品ソフトクリーム

朝の美ヶ原高原からの景色は絶景のひと言。運が良ければ雲海も

ビーナスラインは早朝や深夜にも日中とはまた異なった素晴らしい景色を見せてくれます。

私がおすすめしたい場所は、美ヶ原高原にほど近い牛伏山です。山本小屋ふるさと館の駐車場にバイクを停めて、約10分ほど歩けば360度の大パノラマを望むことができる山頂に到着します。そこからの景色はまさに絶景。晴れた日は北アルプス、八ヶ岳、浅間山、美ヶ原一帯もよく見えます。美ヶ原高原美術館の駐車場からも同じくらいの距離で、ライディングシューズでも歩くことができる道ですので、ツーリングと一緒に山頂までのライトハイキングをぜひ楽しんでみてください。

条件が揃えば、早朝の美ヶ原高原美術館からは雲海を見ることもできます。前日雨が降った晴天の日は出現率が高いと言われていますので、ぜひ訪れてみてください。朝焼けと雲海が広がる景色は早起きをしてでも、見に行く価値あり。そしてそこで食べる長門牧場のソフトクリームが絶品!

私たちのキャンプ場ミヤシタヒルズからは30分ほどの距離。日中30度になる時期でも、朝晩は20度前後ととても涼しく、これから暑くなる時期も気持ち良く過ごすことができます。ぜひキャンプもお楽しみください。

ミヤシタヒルズ
宮下潤一郎さん

1989年創業のキャンプ場ミヤシタヒルズのオーナー。創業開始からバイクキャンプ料金が設定されている、ライダーウェルカムなキャンプ場。「ビーナスライン周辺は星空もきれいです」

時間を経て、関係性が変わった

上田の松茸小屋。松茸だけではなく、ビーナス周辺にはさまざまなグルメがたくさん

ビーナスラインそのものが持つ魅力は、エリアごとに変化する絶景や雰囲気だ。若い頃に初めてここを訪れたとき、あまりに爽快さから「うひょ~ !!」と雄叫びを上げ続けながら走った記憶がある。

50歳になった今、自宅がある横浜から日帰り弾丸で……なんてことはしなくなったが、だからこそ感じているビーナスラインの魅力は、立地の素晴らしさ。まず、中央道・諏訪ICから白樺湖までは約23㎞と近い。そしてその途中で「そば街道」を走れば、絶品のそばに巡り合える。

とくに夏場は、ビーナスライン終点付近に位置する美ヶ原高原ホテル「山本小屋」に泊まるのも最高。宿泊は個室で、夕食のジンギスカンなどの食事は気取っていないが美味く、温泉からは絶景が眺められ、天候に恵まれたら星空や朝の雲海も美しい。ここを知ってから、弾丸で帰るのはもったいなくなった。 悩ましいのは、美ヶ原からバイクなら1時間ほどで、松本の市内まで行けるところ。この町には、とにかく美味い酒を揃えた飲み屋が多い。

しかし、早まってはならない。秋なら上田の別所温泉に泊まり、松茸小屋でフルコースという手もある。こちらも美ヶ原から約1時間。これまた晩酌の選択肢としては最高だ。

ビーナスラインを基軸にすれば、1 ~ 2泊でゆったり楽しむツーリングプランは簡単に組み立てられる。

私にとってのビーナスは、かつての“本命”から、さらりと楽しむ“便利なお相手”になりつつある。

ライター
田宮徹さん

フリーライター。バイクのインプレはもちろん、本誌のツーリング企画にもたびたび登場してくれている。仕事柄、全国各地に飛び回るため、各地方のいい店を知っている、というイメージ(byモリ)

同じ場所でも、きっと違う

撮影の終盤、夕日が生んだ素晴らしい風景。時間になるまでどうなるか分からないのが面白い

今回たまたま、長距離のインプレもかねて、「深堀バイク日誌」の撮影でビーナスラインへ行くことになった。この道は、撮影的には安心できる場所。コーナーもツーリングシーンも豊富にあって、人も多いが、写真のバリエーションも多く撮れる場所だ。

ここの撮影ポイントと言えば、まず浮かぶのが「車山肩駐車場」からの風景だろう。広大な草原と遠くに見える山なみ、そして手前の道を走るバイクを入れた風景写真は、雑誌やSNSなどで絶対に使われる定番中の定番の場所であり、“ビーナスライン”のツーリングシーンを撮ると、どうしてもここになってしまう。

バイクとビーナスラインという置き撮りだと、霧ヶ峰富士見台駐車場や車山肩駐車場までの間にある2カ所の砂利駐車場が定番。広い背景と、青い空と相まってさわやかな写真が撮れる。が、正直自分の中ではこれも「定番」なので、もっといい写真を求めてインプレがてらビーナスラインを走り回る。

リミットも近づいた夕刻。あらかた撮影を終え帰路に着こうと、帰りがてら日中撮った駐車場に立ち寄ってみる。昼間撮った景色とは打って変わって夕日が素晴らしいアクセントになってくれている。“光で書く絵”である写真にとって夕日がドラマチックにしてくれる要素なのは間違いない。だが、これほどまでに表情を変える場所も珍しい。空気感が深みを増して色気を増す。バイクに当てるストロボをセットし、この時間をかみしめるようにシャッターを切る。日中の風景も素晴らしいが、最後の最後にすべてを上回る美しい絵を撮らせてくれる。最高の写真と共に今日も帰路に就く。光線状況によってガラリと表情を変えるビーナスライン。できることなら、すべての時間でこの場所を堪能すべきだろう。

カメラマン
真弓悟史さん

フリーカメラマン。本誌の表紙や深堀バイク日誌の撮影を主に担当している。バイクと道、という風景を切り取ってくれるので、本誌的なツーリングシーンを多く切り取ってくれる人(byモリ)

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