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「走る前に読め!」ビーナスラインパーフェクトガイド

ビーナスライン基礎知識

全長 :約 76㎞
起点:茅野市街(標高約767m)
終点:美ヶ原高原(標高約1939m)
冬季閉鎖:11月下旬〜4月下旬

ライダーには、ワインディング区間で走りが楽しい白樺湖(大門峠交差点)から美ヶ原高原までの約37㎞をビーナスラインと認識している人もいるが、蓼科にある道の駅がビーナスを名乗ることからも分かるように、茅野市街から蓼科を抜ける観光道路も含まれる

一般的に、標高が100m高くなると気温は0.65℃下がるとされる。気温が下がるのは、標高が上がると気圧の低下で空気が膨張しやすくなり、膨張時に熱エネルギーが消費されるため。自然現象なので必ず数式どおりにはならないが、ビーナスラインの最高標高は1959mで、茅野市街より約1200mも高く、最大7.8℃気温が低い計算になる。夏でも防寒対策は忘れずに!

首都圏からのイチ推しは諏訪南ICからだが……

ビーナスラインが人気なのは、アクセス性に優れているところにも理由がある。地図を見てもらえば分かるが、ビーナスラインがあるエリアは、中央道、長野道、上信越道、中部横断道により3/4程度が囲まれている。つまり、高速道路を経由したアクセスルートに、さまざまな選択肢があることになる。 もちろんそうは言っても、どこからビーナスを目指すのか(どこに住んでいるのか)で、使うICの候補はいくつかに絞られる。下には、代表的なICと霧ヶ峰までの距離および目安所要時間をいくつか挙げている。

やや難しいことがあるとすれば、ビーナスラインのどこへ行き、どう走りたいかで、ベストなプランが少し変わる可能性があること。全長76㎞にもなるビーナスを端から端まで完全走破したいなら、諏訪ICから茅野市街に入るか、上信越道・上田菅平ICや長野道・松本ICなどを利用し、山岳路で美ヶ原に北側からアプローチするしかない。

しかし、走る楽しさや風景の美しさという点でビーナスラインの主要区間となる、白樺湖から美ヶ原までの全部または一部を走りたいというなら、白樺湖や霧ヶ峰や和田峠にアクセスするルートが増えるので、より自由度が増す。

さらに、ICからビーナスまでの区間も旅をどん欲に楽しむのか、最速でビーナスを目指すのかでも、プランは変わる。帰路も、例えば諏訪南ICに向かうほうが道は爽快だけど、ガソリンスタンドや飲食店は諏訪IC周辺のほうが圧倒的に多いなんて事情も……。

ICからの時間だけでなく、多くの要素を踏まえてアクセスルートを考えてもらいたい。

アクセス時間

※霧ヶ峰(車山肩駐車場)を目指す場合

 岡谷IC 
名古屋方面から中央道を北上してきた場合でも、霧ヶ峰よりもちょっと北側を目的地に設定すれば、岡谷ICからアクセスするほうが、高速道路の移動距離を含めても近くなる。ただこのルートは、白樺湖と美ヶ原の中間あたりとなる和田峠にアクセスすることになり、ドラマチックに変化する道の雰囲気を楽しみづらい

 佐久南IC 
長野市や群馬方面からは、上信越道経由で中部横断道・佐久南ICから。走りやすさ優先なら国道142号と152号をつないで白樺湖を目指すが、少しつまらない。蓼科スカイライン経由で白樺湖、メルヘン街道経由で蓼科なら、旅感は高まる

 諏訪IC 
ビーナスラインの起点は中央道の諏訪ICから近い茅野市街にあり、ルートをすべて辿りたいならここからアクセスするのがオススメ。蓼科付近の観光道路区間をショートカットしたい場合も、国道152号で一気に白樺湖に抜けられる

 諏訪南IC 
鉢巻道路や八ヶ岳ズームライン、八ヶ岳エコーライン、ときには名もなき美しい農道などを走り、道の駅・ビーナスライン蓼科湖あたりを目指していける。しかも首都圏からなら諏訪ICより手前

本誌絶景道ランキングでの順位

20244位
20231位
20221位
20212位
20202位

本誌が毎春実施している絶景道のアンケートでは、この5年間でビーナスラインを推す読者が安定的に多かった。さらに時代をさかのぼると、何度もトップに輝いている。いつの時代も女神はみんなの人気者!

ビーナス周辺基礎情報

諏訪湖

面積 : 13.3㎢ 
周囲長 : 15.9㎞
水面標高 : 759m

最大でも7m程度と水深は浅いが、周囲約15.9㎞を誇る信州最大の湖。ビーナスライン起点の茅野市街から湖畔までは7㎞ほど。湖畔には遊歩道や公園や無料駐車場が整備され、バイクを降りて散策しやすい。湖を眼下に展望するなら、すぐ東側の高台に位置する立石公園もオススメ。とくに夕景と夜景が美しい。中央道の上り諏訪湖SAも有名な眺望スポットだ

女神湖

面積 : 0.12㎢
周囲長 : 1.5㎞
水面標高 : 1540m

ビーナスラインの蓼科牧場交差点から1㎞ほど。白樺湖にも約6㎞と近い。農業用に建設された人造湖だが、多くの地点で湖を眺めながら湖畔を周遊できる道が整備されており爽快だ

白樺湖

面積 : 0.36㎢ 
周囲長 : 約3.8㎞
水面標高 : 1416m

ほぼビーナスライン沿いにあり、湖に近い大門峠交差点から2㎞ほどビーナスを上ると、人気の白樺湖展望台駐車場がある。人造湖だが、周囲は観光地として整備され、湖の南側から東側をたどる白樺湖通りには、愛車と湖の写真を撮りやすい駐車場も複数ある

見られるかもしれない動植物

ニッコウキスゲ(7月上旬〜8月上旬)
本来はゼンテイカという多年草で、中部地方から東北地方の標高1000m を超える高山に生え、霧ヶ峰も群生地として有名。初夏から夏にラッパ状の黄色い花を咲かせ、草原を彩る

ススキ(10月〜)
車山高原から霧ヶ峰にかけての草原は、秋になると周囲一帯がススキの穂に包まれ、太陽を浴びて黄金色や銀色に輝く。紅葉の美しさでは他の名所に一歩譲るが、ススキの風景は極上

ホオアカ
ホオジロに似るが、頬は褐色で尾は短め。オスの夏羽だと頭は灰色で喉は白く、胸に黒斑がある。草原で見られることが多い。全長15〜16㎝。一見地味だが、愛くるしい野鳥だ

ビンズイ
日本では四国以北の山地で繁殖し、冬は暖地に移動。全長15〜16㎝程度。上面は緑褐色で、腹は白くて胸に縦縞が入る。足を交互に出して地面をちょこまかと歩く姿が愛らしい

ノビタキ
全長は13 ㎝ ほど。オスは頭や背や翼の上面が黒色で、腰や腹は白色で、胸に橙色がある。メスは全体が褐色で、上面は黒褐色が強い。冬期は南へ渡るが、夏は信州の高原にも渡来

レンゲツツジ(6月上旬〜7月上旬)
美ヶ原の物見石山や、踊場湿原など霧ヶ峰の広範囲に群生し、初夏に美しい朱色や橙色の花を咲かせる。レンゲツツジは毒を持つので、蜜を吸うのはダメ!!

飛び出し注意!!

二ホンシカ
ビーナスライン沿線は鹿の一大繁殖地で、美ヶ原の牧場は以前から鹿の食害に悩まされてきた。近年は、道路への飛び出しも増えているとのこと。鹿と接触して転倒……なんてことにならないよう注意を!!

ビーナス周辺MAP

今回掲載するスポットの位置はここでチェック!

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