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ハーレー和尚のバイク説法「継続は力なり」

BikeJIN2024年8月号 Vol.258掲載

本瀧寺のシュウケンです。お陰さまで、このページも4年目を迎えることができました。“不幸な事故を1件でもなくしたい”。その願いから筆を取らせていただきましたが、有り難いことに、今では当寺やカフェに来られるライダーに「本を見ました」「いつも読んでいます」と声をかけていただくこともあります。なかでも「安全運転をするようになりました」などと聞くと、3年間続けてきた甲斐を心から感じます。

去る6月8日、本瀧寺の三千祈願沸法要及び滝行祭の際に行われたハーレー和尚による交通安全の法話。多くのライダーも参加し、改めて交通安全の大切さを学んだ

物事に飽きっぽいことや、長続きしない人のことを“三日坊主”と言います。別にお坊さんに飽きっぽい人が多いとか、僧侶は忍耐力が少ない、と言う訳ではありません。出家したものの、厳しい戒律や修行に耐えられず、寺を出てしまう修行僧がいたことが言葉の由来だとされています。コンプライアンス的に今の時代問題はあるかもしれませんが、僧侶に限らず、どの職業、どの世界でも下積み時代やその修行は厳しくてつらいものです。では何故、僧侶だけが例えられたのでしょうか。ただ坊主と言う言葉の語呂が良かったのも理由かもしれませんが、それは修行の成果が形として見えにくいからではないでしょうか。スポーツや仕事などの場合、個人差や時間差はあってもその練習や努力の成果は、記録や成績として見えてきます。しかし、仏教の最終目標でもある悟りや救済は、目に見える形や結果として分かりません。もしかすると最期まで分からないままかもしれません。それでも厳しい戒律や修行は一生続くのです。

安全運転も同じではないでしょうか。無謀な運転、危険な運転をする人が必ず事故を起こすとは限りません。また安全運転していれば絶対に事故に遭わないとも言い切れません。交通ルールを守らず、他のクルマやバイク、歩行者のことなど一切考えずに走り周るのは楽しいと思います。それに対して交通ルールを守り、常に安全運転を意識して走るのはしんどいことでしょう。それを一生続けなければならないと考えると、三日坊主になりたくなる気持ちも分かります。でも、ある時、ふと気づくと思います。最初の頃はしんどかった安全運転が、今ではそんなに辛くない。そして、いつの間にか安全運転をすることが当たり前になっている。つまり安全運転自体が貴方のバイクライフの日常の一部になっていることに。

交通安全と言えば『全国交通安全運動』。昨年に続き今年も豊能警察署による「秋の交通安全運動」のイベントが本瀧寺で開催予定。決定次第お伝えしたい

『継続は力なり』。一つのことをやり続けて成果や結果を出す時に使います。しかし、この言葉にはもう一つ意味が込められていると私は思います。それは頑張り続けることで昨日より今日、今日より明日へと自分自身が強く成長すること。より良いバイクライフを願う貴方自身の生き方そのもののことではないでしょうか。

合掌

バイク寺として親しまれる大阪府能勢町にある「妙見宗総本山 本瀧寺」の執事長。40歳の時に大型二輪免許を取得。ショベルに乗るハーレー和尚として、バイク講話など交通安全普及に努める

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