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【バイク日和】原点は林道にあり! 議員ライダーは今日も走る

コツコツ手直ししたイナズマ1200で颯爽と議場に向かう
議員ライダー、川名雄児さん。オフ車からはじまった
半世紀近くのバイクライフは肩肘はった”こうあるべき”論は皆無
ちょいゆるスタイルで生涯ライダーを目指す

BikeJIN2024年8月号 Vol.258掲載

墓場に入るまで一生バイクを手放せない

「20代でモトクロスにハマってバイク歴は40年超になりました」と語るのは東京・武蔵野市議員の川名雄児さん。

若かりし頃は何度もバイクとともに北海道に渡りひと夏を過ごした。当時、人気は函館大沼・開陽台・鳥沼だったが川名さんは開陽台派。奥さまとの出会いも北海道だ。家族ができてからはクルマで出かけることが増えるも、途切れることなくバイクがそばにある生活を送っている。

現在の愛車はイナズマ1200。議会への足もコレ。さすがに議員の仕事が立て込むのでバイクで遠出する機会は減り、奥多摩や伊豆を巡るのが精一杯だというが、それでも北海道や沖縄に出かけた先ではレンタルバイクでひとときを楽しんでいるという、生粋のライダーだ。

さて、イナズマ1200は1998〜1999年のわずか2年しか生産されていないレア車。そんなバイクを選ぶあたり、さぞや思い入れがあるのかと思いきや「XLやBAJA、セローなどオフロードバイクを乗っていて、近年はスーパーカブを通勤バイクにしていたんです。

自分の還暦記念をどうしようかと考えたとき、そろそろ通勤用バイクはセル付きがいいなと。そうしたところ、自分のスーパーカブと知り合いの動かないイナズマを交換すれば実質6万5000円で買えるという話があって。大きさが変わっても家族にはバレないかなーと思っていたんですが、やっぱりバレますよね。しっかり叱られてXLを手放すことになりました」と朗らかに笑う。

ぽっかりあいた休日は身近な森でリフレッシュ。「古いけどトラブルは少ないほうだと思います。ただフューエルポンプが壊れたときは驚きました。キャブなのに付いているんだ! ってね」

長年親しんだオフロードバイクとの別れは寂しくもあるが「オンとオフの二刀流が続いていました。あるとき電子書籍で久しぶりに片岡義男の小説を読んで、マルチエンジンっていいななんて密かに思っていたのでオンへの移行は結構自然。きっかけや理由なんてそんなものです」 さて、イナズマは油冷エンジンを積んでいてリッターバイクでありながら乾燥重量は208㎏と取り回しのよさが身上だ。「セル付きは楽ですね。加速もすごくて高速が楽しいです。改造じゃなくて最初から集合マフラーなのも衝撃」

川名さんは議員でありながらフリーライターの顔も持つ。アウトドア雑誌への寄稿が多く、ソロキャンプ歴も長い。しかしイナズマに装備したトップケースは「議会帰りにスーパーで買い物するのに便利だから付けました。立ちゴケが怖いからエンジンガードも付けてます」とうそぶく。完全なる通勤バイク。この潔さが小気味いい。

知り合いの手を借りながらキャブをオーバーホールし、フロントフォークのインナーチューブを磨いて復活させたイナズマ1200。タンクやメーター周りのレトロな雰囲気がお気に入り。走行距離は2万5000㎞ほどで状態はすこぶるいい

還暦を超え、議員活動は脂がのった頃合いだ。バイクとの付き合い方も円熟味を増すのでは。「一時期バイクから離れていた友人たちも50代になってバイクのある生活に戻っています。彼らの多くはひとしきりリッターバイクを楽しんで、その後250クラスに落ち着いています。

原付を借りて林道を走ってオフロードバイクに目覚めたそうで、XL250Sほかオフ車を中心にフュージョンやCB400N、CB750FBを乗り継いできた。16歳になった長男のためにクラッチ付き原付を用意したものの、結局自分が乗るハメになったしょっぱい出来事も今やいい思い出

自分もイナズマは初のリッターバイクでその面白さを堪能していますが、沖縄で借りたレブル250が気に入ったので次はコレかななんて思ってます。

ふたりの子どもたちは免許を取得しなかったので一緒に走れないのが残念ですが、もしかしたら妻とまた出かける日がくるかも。そんな日がくると楽しいですよね。

いずれにせよ、もう若い頃のようにこまめにメンテナンスする根気はありません。なので、次もイナズマみたいに壊れにくいバイクを選んで、墓に入るまで乗り続けようと思っています」

川名雄児さん
キャンプ旅を楽しむ傍ら、自然保護運動に参加したのをきっかけに政治のおかしさに気づく。市政を変えるべく武蔵野議会議員となり現在6期目。自身の経験から環境と教育問題に切り込んでいる

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