ハーレー和尚のバイク説法「仏物(ぶつもの)」
本瀧寺のシュウケンです。当寺の古くからお付き合いのある、イチネンホールディングスと言う会社があります。関西の人なら“イチネン♪イチネン♪イチネン♪イチネン♪な〜んの会社かわかるかな?”のCMソングでご存知の方もいらっしゃるかも知れません。じつは自動車のリースから駐車場やケミカル、工具の製造販売など自動車分野を中心にいろいろな事業を行なわれている会社なんです。先日、このイチネンさんがバイク事業も始めたと言うことで、ご祈祷をかねてお話しを聞く機会がありました。
https://ride-one.jp/
多くの事業を展開されているイチネンさんですが、すべての事業で大切にされている言葉が、“安心安全”だそうです。例えば販売されている工具一つをとっても、壊れたりしない物理的な安心安全はもちろん、それらを使う人たちの人生そのものの安心安全を願う気持ちも込められているそうです。
私は数珠を購入する際、可能な限り、職人さんに会うようにしています。顔を見ることで職人さんの想いを強く感じることができ、自然と数珠を大切に扱うようになるからです。大切に使い続けた数珠は、とても手に馴染みます。手に馴染んだ数珠は一際思い入れも特別で、さらに大切に使うようになります。
仏教には『仏物(ぶつもの)』という言葉があります。これはおよそ身の回りにあるすべての物は、仏様からのお預かり物だという考えです。現実的には人に借りている物などではない限り、あなたが所有されている物はあなたの物です。バイクや工具などもそうです。あなたの所有物なので、どう使おうと自由です。しかし、イチネンさんのお話しではありませんが、あなたが今使われているバイクや工具などには、作った人の想いが込められています。作った人だけではありません、宣伝する人、販売する人など、多くの人が関わって、一つの物ができあがります。あなたのバイクや工具は、それらすべての人から託された、お預かり物だということを、意識してみてはどうでしょうか。おのずと扱い方、そして思い入れに変化が生じるはずです。
2005年、国連で一人のケニア人女性がある言葉を世界共通語にしようと提唱されました。『MOTTAINAI 』。そう私たち日本人が小さい頃から何度も教わってきた言葉です。ノーベル平和賞を受賞された彼女は、残念ながら2011年に母国の病院で亡くなられました。生前、彼女はインタビューでこう語ったそうです。「私たちの吸う空気、飲み水、食べ物は、すべて自然からの預かり物です」と。
合掌