【バイク日和】自然遊びに名車を加えて道中も心躍る時間に
食とアウトドアを結ぶ遊びに注力する
アウトドア料理人、A-sukeさんの愛車はホンダが生んだ
伝説のオフロードバイク、XR250
あえて今、発売から優に30年を超えるモデルを
手に入れたのは、自宅とフィールドを結ぶ確かな足であり
走る楽しみをもたらしてくれるから
釣ーリング目的で手にした一生もののパートナー
XR250Rを前に「いろいろ乗り継いできたけれど、オフ車ではXRシリーズが好きでこれが3台目。パックロッドとキャンプギアを積んでいく〝釣ーリング〞のために手に入れました」と教えてくれたのはアウトドアコンセプトのカフェ店主、A‐sukeさん。
休みのたびに全国のフィールドで釣りや自転車などを楽しんでいるA‐sukeさんも、今年はいよいよ里山と都内の二拠点生活をするべく秘密基地を作りはじめた。XRは基地周辺を走り回るにも都合がいいという。「セルではなくキック。掛かりにくいこともあるけれど、バッテリー上がりの心配はありません。キャブレターのような原始的なカラクリで自分でいじれるものが好きだから、インジェクション付きのバイクは乗ったことがないんです。ピストンひとつの単気筒なんて最高。プリミティブな感じっていうんでしょうか、自転車に原動機がドンとのっかっているようなものこそが僕の求めるバイク」
初めてのオフ車はKDX220。もともとマウンテンバイクで野山を駆け巡っていたのでオフロード走行には自信を持っていたのだが、KDXではハンドルもタイヤもブレブレでまっすぐ進まない。オフ車は怖い。そう感じた若きA‐sukeさんはしばらくしてBMWのオンロードバイクに乗り換えた。
「あるときオン・オフ混成のツーリングに出かけ、なぜか僕がその先の林道を偵察することになったんです。そのときに借りたのがXR。4ストでは林道が怖くない、楽しいって感動して他人のバイクなのにリアを滑らせながら思いっきり走っちゃいました」
運命の出会いだ。
自転車は繊細なトラクションコントロールが必要だが、オフ車は滑りながらでも進める。さらに言えば軽快なオフ車は重量級バイクよりも〝操縦している〞感がある。そこに惚れこんだA‐sukeさんはすぐさま400Rを購入した。
現在所有しているのはME06。10年ほど前に一度、遊び用バイクをすべて手放し、人生最後のバイクを手に入れるべく中古車情報を眺めていたA‐sukeさんだが2020年代に入るといよいよ程度のいいXRがない。あきらめかけていたところに京都のXR専門店がオーナー所有車である逆輸入モデル、ME06を売りに出した。店で引き取りそのまま東京まで乗って帰れるほど状態がよく、カラーも憧れの赤×青×オレンジという奇蹟の1台だ。
400Rは嫌になるほど手が掛かったが、ME06はほとんど手を加えていない。ただし、A‐sukeさんの場合、昼間は思いっきりアウトドア遊びを楽しみ、日が暮れるころ人里離れたキャンプ場へ向かうことが多い。
「キャンプ道具を積むために振り分けバッグやトップケースも考えたけれど250には大きすぎてバランスが悪い。そこでXLR用キャリアを取り付けました。キャリアがないほうがカッコいいんだけどこればっかりは仕方がない」
秘密基地は海にも山にも近く、林道も残っている。XRの出番は今よりも増えそうだ。冬はハンティングのベースにもなるというが、XRでも猟に出るのだろうか？「ハンターカブやKTMでは猟へ行ったけど、XRでは音がうるさいから釣りまでですね。いつの間にかスタンディングになって走ることに夢中になっちゃうしね」
XRはフィールドへの軽快な足であると同時に、走る楽しみをも与えてくれる。ソト遊びのプロが最後のパートナーに選んだのも納得だ。
東京・水道橋のカフェ『BASE CAMP』店主。ギア開発、メディアの野外料理監修をはじめ、釣りや山菜狩りなどアウトドアと食を結ぶ遊びを発信する一面も。
