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[アニメ聖地巡礼]アキバ冥途戦争

二次元マニアを指す呼称として80年代に誕生した「ヲタク」という言葉
インドア派と思われがちだが、好きな作品をきっかけとした彼らの行動力はスゴい
そんなヲタクの一人である私がハマっているのがアニメツーリズム
今回は衝撃作の舞台となった東京・秋葉原だ

 都心の中でもバイク駐輪場が比較的多い印象の東京・秋葉原。かつては日本最大の電気街として、そして現在ではサブカルチャーの聖地として、世界的にも有名な観光地だ。

 昨年の秋アニメの中に、ここ秋葉原を舞台とする怪作があった。その名も「アキバ冥途戦争」である。(以降はネタバレを含みます)

 劇中の時代設定は1999年。つまり20世紀末だ。キービジュアルにはかわいらしいメイドさんたちが並んでおり、なるほどメイド喫茶を舞台にしたお仕事奮闘記と思いきやさにあらず。第1話のアバンでいきなりメイドが銃撃されるという衝撃的なシーンで物語はスタートする。

メイドになることを夢見て状況した和平なごみ。彼女が最初に訪れるのがこの通りで、風景は四半世紀前とほぼ変わらず

 この「第1話のアバンでいきなり命を絶たれる」作品で記憶に新しいのは、2018年の秋アニメ「ゾンビランドサガ」だろう。調べてみると、アキバ冥途戦争とゾンビランドサガの両作品に、アニメ制作会社であるサイゲームスピクチャーズの竹中信宏代表が、プロデューサーとして関わっていることが判明。サイゲームスと言えば、ウマ娘が大ヒットしているので名称ぐらいはご存じの方も多いだろう。その子会社がサイゲームスピクチャーズだ。アキバ冥途戦争はメイド×任侠、ゾンビランドサガはアイドル×ゾンビ。一見ミスマッチとも言えるこの掛け合わせを発案したのが氏であり、どちらも衝撃的な作品として強烈に心に刻まれることとなった。

第10話で嵐子と末広がデートした際に登場する御徒町のおかちまちパンダ広場。この回は情報量が多く、巧みな伏線回収に圧倒されっぱなし
万世橋の下にある有名な謎スペースも本作第10話に登場する。嵐子が常連客の末広に告白され、そしてパンダの着ぐるみを着た御徒町がここに現れる

 さて、聖地巡礼だ。舞台である秋葉原は、今でこそメイド姿のキャストたちがチラシを配っている光景が常態化している(厳密には道路使用許可が必要)が、作品の時代設定である1999年にはメイド喫茶はまだ存在していない。とはいえ、電気街としてにぎわっていたころから残る風景があちこちに見られ、それを巡りながら「あぁ、たった四半世紀で街はこんなにも変わるのか」なんてノスタルジックな気分に浸れるのも、この作品の特徴と言えよう。

すっかりきれいになった現在の秋葉原駅前。作品内では嵐子がここで銃撃戦を繰り広げ、多数のメイドが血を流している

 本作は、ケダモノランドとメイドリアンという両派閥の抗争を主軸にストーリーが展開する。上納金はおひねりちゃんというかわいらしい名称だったり、姉妹の杯はラーメンで結ぶなど、いろいろと改変されてはいるが、内容はザ・任侠モノ。もしくは、タイの架空犯罪都市ロアナプラを舞台とした「ブラック・ラグーン」に限りなく近く、EDのラストにはそれをオマージュしたであろう夕暮れの波打ち際の映像が入る。

 万人受けを目指さず、自分たちが作りたいものを作る。その強烈な勢いに圧倒される本作。最終回放送後に舞台化が発表され、今年9月には都内での公演が予定されている。最近、リコリス・リコイルの舞台を観劇した友人曰く、めちゃめちゃ面白かったとのことで、今からスケジュールを調整して行く心積もりだ。

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