【Thinking Time】㊺2024年、どうなるバイク業界! 我々ライダーへの影響はあるのか!?
第8回自工会二輪車委員会メディアミーティングが開催され
二輪車委員会の事業説明のほか2023年の総括と2024年の展望が語られた
我々ユーザーにどのような影響があるかも踏まえてお伝えする
自工会二輪車委員会の日髙委員長が挨拶。今年の漢字には「絆」と書き記した
1月16日、一般社団法人日本自動車工業会二輪車委員会が「第8回自工会二輪車委員会メディアミーティング」を開催した。二輪専門メディアのほか一般メディアも含めて
40以上もの媒体が集まったのは、年頭に会長が交代し新体制になったこともあるだろう。
開会の挨拶と総括を述べた自工会二輪車委員会の日髙祥博委員長。自動車業界7つの課題については特に電動車普及のための社会基盤整備の重要性を挙げた。また今年の漢字には「絆」と書き記した。新しく入ってきたユーザーに長くバイクを楽しんでもらうための絆作りが今年の一番のテーマと語った。
改革のなかブレない主張で世界に挑み続ける自工会
自工会は豊田章男前会長のもと2020年3月以降、根本的な事業・組織改革を進めてきた。委員会や部会を統廃合させて半減しカーボンニュートラルなど喫緊の課題に対して強度と速度をもって取り組み、豊田会長のリーダーシップのもと脱炭素化で緊迫する世界の自動車産業界に対して日本の確固たる姿勢を示し続けた。結果、2035年以降、ZEV(ゼロエミッションビークル)以外の新車販売禁止を推進していたEU(欧州連合)は合成燃料(Eフューエル)車両については例外的に販売を認める決定をした。「敵は内燃機関ではなく炭素である、山の登り方は1つではない(マルチパスウェイ)」と言い続けてきた豊田会長の主張は正しかったのだ。
話が長くなったが、このように、ここ数年の自工会は世界と戦うために自らの改革を断行し、ブレない主張によって550万人が働く日本の自動車産業を守ってきた。こうした動きの中で、二輪車委員会は何に取り組んできたのか、これから何に取り組んでいくのかという話がメディアミーティングのテーマとなった。
まず、自工会が公表した今後2、3年間で注力すべき自動車業界「7つの課題」に始まり、二輪車委員会の組織である5部会について部会長らから説明が行われた。電動二輪車については2019年に設立された交換式バッテリーの共通利用を目指した4社コンソーシアムによる国内普及と海外での国際規格化が進められている。この取り組みの成否は国内4社のEVバイクのみならず日本のバッテリー・エネルギー産業の行く末をも左右するものになるだろう。
いま自動車業界が連携して取り組む緊急度、波及効果が高い7つの課題
・物流・商用・移動の高付加価値化/効率化
・電動車普及のための社会基盤整備
・国産電池・半導体の国際競争力確保
・重要資源の安定調達強靭な供給源の構築
・国内投資が不利にならない通商政策
・競争力あるクリーンエネルギー
・業界を跨いだデータ連携や部品トレサビの基盤構築
【二輪車委員会に設置された5つの部会】
EVに関する電動部会、IMMA(国際二輪車工業会)等と連携し海外活動に取り組む海外部会、排ガス・騒音規制など国際基準調和に取り組む国際法規部会と国内導入への調整を行う技術基準調和部会、ロードマップ2030など施策を推進する企画部会だ
グローバルでリードする日本!
海外ではバイクの生産・販売の7割を占めているアジア・南米などグローバルサウスでのカーボンニュートラル、リサイクル、交通安全といった取り組みで日本がリードすべく動いている。必要とされる国際基準調和に関する保安基準や仕様の統一が進められていることはグローバルモデルとの共通装備・仕様が増えている近年の国内モデル(グローバルモデルが多い)を見ても明らかだ。排ガス・騒音規制に関わるパーツ、制動系や灯火類、保安部品の共通化などで実感する人も多いだろう。こうした流れがあるからこそ車両価格も抑えられているのだが、一方では原付一種のようにガラパゴス化したモデルは消えゆくほかないだろう。
【バイクの機能や価格にも直結?進む国際基準調和】
いまやバイクはほぼグローバルモデル。我々ユーザーに身近なところでは、排ガス・騒音規制やフロントタイヤ部のリフレクター、メーター内表示のアイコンなんかも国際基準調和の場で決められている。
【日本の取組みを国際標準に!充電インフラ整備が課題】
二輪車委員会が国際標準にと取り組んでいるのが4社コンソーシアムで仕様統一された交換式バッテリーだ。製造元のホンダがアジア市場でシェア拡大に動くほか他社からの採用モデルも発表されるようになった。
国内ではバイクファンを拡大
さて、国内市場についてはコロナ禍以降も新車販売台数40万台を維持できており市場全体としてはポジティブだが、2025年11月の原付一種から新基準原付への移行如何によっては大きく上下する可能性もある。いま二輪車委員会が重視しているのは第12世代バイクブームのなかバイクに乗り始めてくれた若者や女性に対して、いかに安心して長く乗り続けてもらうかだ。二輪車企画部会はオウンドメディアであるMOTO INFO(モトインフォ)による情報発信、バイクの日イベント、バイクラブフォーラムといった施策を通して二輪のファンづくり、二輪車利用環境の整備に取り組んでいる。
【コロナ禍以降でも40万台をキープした二輪市場】
ミーティングでは2023年国内市場の総括も行われ、排気量別の登録・出荷台数がグラフで示された。小型二輪(250㏄超)は約1割減、軽二輪(125㏄超〜250㏄以下)は前年並み、原付二種(50c超〜125㏄)は約5割増と大幅に増えて3割も減少した原付一種(50㏄以下)の落ち込みをカバーし、最終的には前年をわずかに上回った。コロナ禍ではバイクの販売、免許取得者数ともに伸びを見せていたが、コロナ禍以降でも堅調に推移していることが分かった。原付二種が伸びた理由は魅力的なモデルの投入、AT小型限定免許の取得簡便化、セカンドバイク需要、ツーリングに使えるギアとしてのトレンド化などが挙げられた。
なお、今年のバイクラブフォーラムは9月27 日に宮崎県宮崎市で開催される。バイクの仲間を増やしバイクの利用環境を良くしていくためにも読者の皆さんにもぜひ参加してほしい。