ヤマハ・セロー歴20年超ライダーのバイクライフ「セローオーナーが行きついた座り心地の最適解」
2019年末、セローがおよそ35年の歴史に幕を下ろした
初登場時には軟弱バイクなどと揶揄されたりもしたけれど
結果的には多くのファンを獲得し、驚異のロングセラーモデルとなった
そんなファンのひとりとしてボクも22年間、旅の友として乗り続けている
Writer
モーターサイクルジャーナリスト
栗栖国安
子供のころから旅好きで、鉄道もバイクも旅を楽しませてくれるものだと考えて付き合っている。所有するバイクは現在3台。そのうち高速道路を走行できる唯一のバイクがセロー225WEである。著書に『バイクで行く廃駅・廃線めぐり』(山と渓谷社)がある
軽量・スリム・コンパクトで車高も低い。しかも低燃費で壊れにくいと良いことづくめのようなセローだけど、実はこのスリムというのが曲者で、細身のボディに合わせてシートもスリムな形状になっている。シャープなデザインもあって見た目はなかなかかっこ良いのだけど、このシート、座り心地がけっこう硬いこともあって1時間も乗っているとお尻が痛くなってしまうのです。そうなるともう、立ったり座ったり、座る位置を左右にずらしたりと、なんとも落ち着きのない動きに終始し、運転どころの騒ぎじゃなくなっちゃうのです。
あくまでもボクの場合は、との前提で話を進めていきますが、少しでもお尻の痛みを緩和するためには、座面を広くしてやればいいのですが、セローでは構造的に難しい。そこでシートとお尻の間にクッションを入れれば良いということになります。バイク用のシートクッションでよく知られているのが『ゲルザブ』です。高い衝撃吸収性を持つジェルを素材とした製品で、たくさんのライダーに使用されています。出始めのころの製品を一度試したことがあります。個人差があると思いますが、思ったほどの効果をボクは実感しませんでした。まあ高望みしすぎていたことは否めないのですが、ないよりは良いという感じでした。
次に使ってみたのが、暑い時期に少しでも快適なようにと3Dハニカムメッシュの『ミネルヴァシートカバー』という製品。これは通気性を良くして放熱効果を高めるシートカバーなのですが、わずかながらクッション性があってお尻にかかる圧力も分散させてくれたようで、お尻の痛みを少しばかり和らげてくれました。
そして2年ほど前からは、シートとメッシュカバーの間にホームセンターで購入したハニカムジェルクッションを入れて使っていました。それなりにクッション性が良くなって快適性がアップしたのですが、見た目が好みではないのと足着きが少々悪くなるという欠点がありました。
そこで今回、ボクの新たなお尻の友に選んだのが、ポジドライヴの『バイク座シート』という製品です。中材に100%天然のラテックスフォーム「Bodydoctor®」を採用したもので、低反発ではなく正反発という作用が特徴です。つまり圧力に対してそれと同等の力で反発し、瞬時に復元する性質が「お尻の下のサスペンション」としての効果をいかんなく発揮します。ということらしい。実際に使ってみたところ、なるほどクッション性はいままでに試したものとはまったく違っていて、座り心地はなかなか良い感じです。2時間ほど休憩なしで走ってみたのですが、ありがたいことにお尻はあまり痛くなりませんでした。もちろんまったく無痛というわけじゃないのですが、いても立ってもいられない状態にはなりませんでした。少しは快適性が高まったんじゃないでしょうか。使っていくうちになんらかの不満点が出てくるかもしれないので、その際には改めて報告したいと思います。