地元ライダーが教える広島ツーリングスポット「飲んだら泊まればいいじゃない！日本酒のまち西条ぶらり」

（BikeJIN　2023年6月号より抜粋）

広島県は酒どころ
東広島市西条には7つの酒蔵が点在する西条酒蔵通りがあり
試飲も楽しめますよ。「でもバイクで行くと、飲んだら帰りの運転が…」
ということで、飲んだら乗るな、泊まろう！
私のおすすめゲストハウスも教えちゃいます

日本酒はお好きですか？　私は大好きです。東広島市西条は、京都の伏見、兵庫の灘と並んで「日本三大酒どころ」として知られています。「酒都（しゅと）・西条」と呼ばれているんですよ。JR西条駅周辺には、7つの酒蔵が点在する西条酒蔵通りがあります。毎年10月には「酒まつり」という日本酒の祭典が開催され、多くののんべえで賑わいます。イベントのときだけでなく、土日を中心に普段から試飲ができる酒蔵が多く、楽しいですよ。バイクで行く場合、飲酒運転は厳禁ですので、飲まずにお土産に日本酒を買って帰って自宅で楽しむか、宿泊するようにしましょう。さすが酒都・西条、周辺にはホテルやゲストハウスがたくさんあります。駅の北と南に有料駐輪場があるので、そこを利用するか、その日に宿泊する宿に相談してみてくださいね。あとお酒は二十歳になってから、です。

　西条酒蔵通りには、東から賀茂泉酒造、福美人酒造、亀齢酒造、賀茂鶴酒造、西條鶴醸造、白牡丹酒造、山陽鶴酒造の7つの酒蔵があります。一番東の賀茂泉酒造から西の山陽鶴酒造まではおよそ750m。徒歩でぶらりと巡るのに最適な距離です。各日蔵の営業時間や試飲の有無については新型コロナウイルスの流行度などによっても変わります。東広島市観光協会の公式サイトにスケジュールの一覧があるので、事前に確認しておくのがオススメです。

　私は西条酒蔵通りが好きでよく行くのですが、今年の1月下旬にも訪れました。レンガ造りの煙突となまこ壁の風景がきれいで、風情を感じながら歩くことができます。各酒蔵には直売所があり、試飲したいと伝えると、おちょこ型のカップで100円〜試飲させてもらえます。お酒の香りや味わいの違いを楽しめるのが、酒蔵めぐりの良さ。昼からほろ酔い気分で歩けるなんて最高ですよね。気に入った日本酒を購入できるほか、酒器や手ぬぐいなどのグッズがずらりとならぶ直売所もあります。さらに、日本酒の飲み比べができるお酒喫茶（賀茂泉酒造・酒泉館）や、広島東洋カープの存続を願って行われたという「たる募金」で使われた酒樽（福美人）、酒造りの道具が展示された見学室（賀茂鶴酒造）など、見どころたっぷり。雰囲気のある街並みは、写真撮影も楽しいですよ。そして、ぜひ注目してほしいポイントが、あちこちにある井戸です。なぜ西条が一大銘醸地になったかというと、酒造りに適した気候と地下水の恩恵があったからなのだそう。仕込み水が試飲できる井戸が酒蔵ごとにあるんですよ。水筒を持って行くと、お酒が飲めない人もきっと楽しめると思います。西条酒蔵通りには、酒蔵のほかに雑貨屋やカフェ、パン屋などもあるので、ゆったりと街歩きを楽しんでみてくださいね。

　さて、酒蔵めぐりを満喫したら、宿へ。私がよく宿泊するのが、山陽鶴酒造の少し西に位置する「西条ゲストハウス八反（はったん）」。なんとこの宿、東広島市内の地酒を楽しめる「立ち飲みぜろ次屋」が併設されているんです。ドミトリー2室、最大8名が宿泊できるという小さなゲストハウスなのですが、予約できたらラッキー。立ち飲み屋には宿泊客のほか、地元の方でも賑わいます。美味しい地酒と人との出会いを楽しめる、アットホームな場所です。ちなみに店名の「ぜろ次屋」には「一次会の前に来て、ここで出会った人と次の店に繰り出してほしい」という思いが込められているのだとか。

　酒都・西条には、居酒屋やバー、レストランなど、お酒が楽しめる店がたくさんあるので、一次会・二次会……と楽しめそうです。広島の日本酒の魅力を堪能する1日を、宿泊つきで楽しんでみては？