[アニメ聖地巡礼]ヤマノススメ
(BikeJIN2023年1月号より抜粋)
二次元マニアを指す呼称として80年代に誕生した「ヲタク」という言葉
インドア派と思われがちだが、好きな作品をきっかけとした彼らの行動力はスゴい
そんなヲタクの一人である私がハマっているのがアニメツーリズム
今回の舞台は、東京都八王子市にある高尾山だ
10月より各局で秋アニメがスタートした。X世代にとっては機動戦士ガンダムの新作や、うる星やつらの再アニメ化は心躍るニュースと言えるだろう。そして、当コラムのエピソード6と7で紹介したゴールデンカムイのシーズン4もつつがなく始まった。第四十話では初めて函館の旧ロシア領事館と五稜郭が登場。私はこの夏に彼の地を訪れたばかりなので、その感激たるや。事前の聖地巡礼は、アニメ視聴時の解像度を上げるための作業だと再認識した。
そんな秋アニメの中に、今回紹介する「ヤマノススメ」がある。シーズン1が放映されたのは2013年1〜3月で、最初は5分枠の短編アニメだった。続くシーズン2と3は15分枠に拡大。そして最新のシーズン4は初の30分枠となったのだ。
この作品は漫画が原作で、埼玉県飯能市の高校に通うJKが登山に挑むというストーリーだ。アニメのシーズン1を見ていた私は、後半に登場する高尾山の回を見て急に登山に興味を持ち、翌年始まったシーズン2の放映期間中に彼の地を訪れている。東京都八王子市にあるこの山は標高599mで、電車でもバイクでもアクセスしやすい。
高尾山にはいくつかのルートがあり、主人公の雪村あおいと倉上ひなたは、上りで1号路を、下りで6号路を選択している。キャラの行動をなぞることも聖地巡礼の醍醐味であり、同じルートをトレランシューズで臨んだのだが……。これが結構しんどかった。今もそうだが、私は自転車レースに出るため日ごろからトレーニングしており、体力的には自信があっただけに相当なショックだった。特に青羽ここなと出会う6号路の下りは、ホントにあのフワフワなワンピースを着たコがこんなところを歩いてたんですか!? などとツッコみたくレベルのガチな登山道で、そのあと数日は筋肉痛が治まらなかったほどだ。
ただ、これに懲りたかというとそうでもなく、私は自転車レースの中でも上りのタイムを競うヒルクライムが好きだったので、この高尾山詣でによってそれに通じる楽しさを感じたのも事実。その証拠に、3年後の2017年にはトレッキングシューズを買い、リベンジしている。
山頂にある展望台からは関東平野を一望でき、達成感はけっこう大きい。そして、古くから修験道の霊山とされてきただけあって、登山道に漂う厳かな雰囲気も非日常的だ。
さて、バイクで訪れる際に問題となるのが駐輪場だ。高尾山口駅の周辺にはいくつかの有料駐車場があるが、二輪OKなのは調べた限りでは駅から少し離れた高尾山祈祷所ぐらいか。なお、京王高尾線の高架下には駅の自転車駐輪場があり、原付二種以下であれば駐められるとの情報も。彼の地までバイクで行かれる際には事前の確認をオススメしたい。