【バイク日和】愛車のハーレーに乗って43年! バイクとカラダのメンテの秘訣
同じバイクを乗り続ける理由は人それぞれだが、久本さんの場合は
単純明快“壊れないから乗り続ける!”愛車ハーレーを43年間乗り続ける
御年81歳のライダー。バイクと歩んだ地球約13周分の話を聞いてみた
地球 13 周! その次は月への往復
「すごい人がいるんですよ!」 きっかけは本誌でコラムを執筆していただいているハーレー和尚ことバイク寺のシュウケン氏のひと言であった。
久本健さん。1942年生まれの御年81歳。愛車ハーレー・ショベルヘッドのローライダーで、バイク寺など週に2〜3日は出かける現役のライダーだ。この81歳という年齢だけでもすごいのだが、久本さんの場合はさらに驚くことがある。愛車を購入したのが43年前。それから現在に至るまで、大きなトラブルもなく、今も同じローライダーを乗り続けている。その距離51万㎞オーバー。まさに〝すごい人〞である。
「当時、確か西部警察って番組で舘ひろしが乗っていて、デザイン的にも『かっこいいなぁ』と思っていたんです」と、ハーレー購入のきっかけを語る久本さん。趣味がアマチュア無線で、もともと機械系が好き。また大手電機メーカーなどの研究所を相手に仕事をしていたこともあって、当初からメンテナンスや修理は自分で行うつもりであったと言う。
「ハーレーを購入する条件として、整備マニュアルやパーツカタログを付けてもらったんです。で、大学時代の友人でジェット機のメンテナンスをやっている人物がいて、その友人にオイルのことを相談すると『オイルは絶対に100%化学合成』と言うんです」
その頃、化学合成オイル使用には一部否定的な意見もあったが、久本さんによると夏場に同じ条件下で比べてみると、同じメーカーの同じ粘度のオイルでも、化学合成と鉱物油では油温に5度の差が出たそうだ。また当時のハーレーで見られた電気系トラブルについてもレギュレータ、点火モジュールなどを改造。レギュレータの出力電圧は13・8〜14・2Vが理想だ。しかし工業製品には個体差がある。それ以上の電圧だと当然バッテリーに負担がかかり、消耗が激しくなる。しかし電気系の改造などは一般ユーザーには難しい。久本さんいわく「走行時の電圧をチェックして、電圧がおかしかったらレギュレータ自体を交換するんですよ」と。
エンジンメタルや各種ベアリングなども同様で、どのパーツをどの時期に交換したかを40年間すべてノートに記録。そのノートを見れば、オイルはもちろんベアリング、ガスケットなどの交換時期がすぐに分かる。
「大事なのは悪くなる前に交換(直す)するんです。悪くなって壊れると、その周りのパーツにも影響して、結果的に故障が大きくなって(修理代なども)高くつくんですよ。それは人間もバイクも同じだと思います」と久本さん。
そんな久本さんだが、じつは60代の時に循環器系の疾患でカーテーテル手術を受けている。ある時、趣味でもある山登りの最中に胸に違和感を感じたという。
「毎年登っていた山で、途中胸が苦しくなって『これは、なんかおかしい』と思って病院に行ったんです。そしたらそのまま即入院」
幸い命に別状はなかったものの数週間の入院。退院後は一念発起して、食事内容なども変更。毎日腕立て、腹筋、スクワットなどの運動をして、健康に気をつけるようになった。
「半年後に病院へ行って血液検査したら行ったら『君、なにかしている?』って、普通の人より数値的に良くなっていたんですよ」と、今でも一日100回を目標にスロースクワットや、数年前から始めたガーデニングなどで体力維持、アンチエイジングにも余念がない。理由はもちろん好きなバイクに乗り続けるため。
「今、51万5000㎞くらいですかね!? もう少しで地球13周分。できれは月に行って帰って来られるくらい走りたいですね。それまでバイクは大丈夫でも、身体の方が厳しいかも(笑)」と茶目っ気に語る久本さんの笑顔がとても印象的であった。
アマチュア無線仲間の影響で大学時代に免許を取得。36歳で大手電機メーカー高エネルギー研究所 の測定&設計などを行う会社を設立。電気のスペシャリスト