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BMWディーラーの店長の魅惑のビーエムライフ③

(BikeJIN2022年9月号より抜粋)

BMW二輪正規ディーラーの「モトラッド羽田」で店長を務める野崎さんに、
仕事として関わるからこそ知ったBMWの魅力を、とことん語ってもらう。
第3回は、野崎さんが考えるBMWモトラッドの特徴やスゴいところについて!

モトラッド羽田 店長 野崎正博さん 東京都大田区にあるBMW二輪ディーラーのモトラッド羽田で、長年にわたり店長を務める。バイクはロングツーリングからサーキットや林道のアクティブライディングまで、マルチに楽しむ40代

前回の最後に、「幅広いラインアップでユーザーの遊びに応えてくれるのもBMWモトラッドの魅力」と触れましたが、もちろんそれがすべてではありません。とはいえ、お客様に「BMWはどこがおもしろくて、なにがスゴいの?」と聞かれても、即答するのは難しいかも……。BMWのバイクに仕事として携わる自分にとって、この質問に対する明解な回答を用意するというのは、永遠のテーマかもしれません。

現段階で、少しだけカッコつけて言わせてもらうなら、「伝統と非効率」というのは、私がBMWに魅せられる大きな要素になっていると感じています。

BMWを代表するエンジンといえば現在もボクサーツインですが、このエンジン形式には前方投影面積が大きいとか、転倒時にシリンダーヘッドがキズつきやすいなど、デメリットも多くあります。そんなことはもうずっと言われ続けているのに、それでもBMWはこの古めかしいエンジン形式にこだわり続けています。もちろんそれは、このエンジンにメリットもあるからなのですが、私が思う最大の利点は、重心を低くできるというところ。BMWの開発者たちは、世代が交代しても何十年もの間、究極的にそれを追求し続けているわけです。こういうエンジンというのは、国内二輪メーカーを見渡してみてもまずありません。

そもそも、スペックだけでは語れないモノがこのメーカーにはあります。まあ現在は、S1000RRあるいはさらにその上にM1000RRなんていう、レースでも通用するスーパースポーツもありますが、例えばボクサーツインエンジンを搭載したスポーツツアラーのR1250RSなんて、最高出力は136馬力でなんてことないですし、車重も250㎏とかなりあります。それでいて、外国車なのでどうしても価格は高め。BMWを知らない人がスペックと価格だけ見て、「どうして、わざわざこんなバイクを買うの?」と思っても不思議はありません。

でも乗ってみると、車体は安定感を重視した設計で、馬力がスゴくあるわけではないけど扱いやすいエンジン性能。「人間(=ライダー)を主体としたバイク」であることが容易に理解できます。私はそれを、まだBMWのショップ担当となる前に試乗したR1100Sで最初に思い知らされたわけですが、あれから20年以上経った現在でも、BMWというのは「バイクというのは最終的に人間が操って動かす乗り物」という極めて当たり前のことを、絶対に忘れることなくバイクを開発するメーカーだと感じています。

それから、これはBMWモトラッドに仕事として携わるようになったからわかることなのですが、BMWの開発者たちは“バイク好き”を通り越した“バイク馬鹿”ばかり。そして、自分たちが欲しいバイクをつくっているんだと思うんです。このバイクを1台つくったらコストがいくらで、何台売ったら利益がどうで、そのためには納期が……なんてことを、もちろん考えてないわけではないんでしょうけど、そっちのけでバイクを開発しているんじゃないかと思えるときが、よくあります。本物のバイク好きが、バイクを操る人のことを考えて設計したバイク。そういう点でも、国内4メーカーとはかなり違うと言えるのではないでしょうか?

BMWモトラッドの首都圏ディーラーネットワークが主催したサーキット走行会で、愛車のR1250GSアドベンチャーを走らせる野崎さん。バイクならどこを走るのも大好き! 

ちなみに私も、ツーリングはもちろん、サーキット走行から林道あるいはコースでのオフロード遊びまで、どこでも走ることからもわかるように、ジャンルを問わないバイク好き。最近は、かつてあまり興味がなかったクルーザーのカテゴリーも好きになりました。といってもこれ、BMWのR18シリーズに乗ったからなんですけどね。

巨大なボクサーツインエンジンを搭載しているこのシリーズですが、乗るとしっかり“走る・曲がる・止まる”があり、RナインTシリーズよりも鼓動感は強く、BMWらしさにもあふれています。

野崎さんが現在一番欲しいバイクがR18B。排気量1801㏄の超巨大な空油冷ボクサーツインエンジンを搭載したクルーザーモデルだ。「鼓動感がスゴいだけでなく、まるで生き物のような雰囲気もあるんです」と野崎さん 

だからいま、R18Bが一番欲しいBMWのバイク。現在所有しているR1250GSアドベンチャーやG310Rと被らないジャンルということもあり、かなりムズムズしているんですよねえ……。

新車と認定中古車がずらりと並ぶモトラッド羽田だが、「R18Bの認定中古車はほぼない」という

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