1. HOME
  2. COLUMN
  3. [アニメ聖地巡礼]ゆるキャン△

[アニメ聖地巡礼]ゆるキャン△

(BikeJIN2022年12月号より抜粋)

二次元マニアを指す呼称として80年代に誕生した「ヲタク」という言葉
インドア派と思われがちだが、好きな作品をきっかけとした彼らの行動力はスゴい
そんなヲタクの一人である私がハマっているのがアニメツーリズム
今回の舞台は、山梨県を中心とした広大なエリアだ

 今回紹介する「ゆるキャン△」という作品は、私にとって特別な存在だ。原作の漫画は2015年5月にスタートし、アニメ第1期が放映されたのが2018年1月から。山梨県身延町の高校に通う女子高生たちが、タイトルどおりゆる〜くキャンプに興じるだけの内容なのだが、それに天啓のようなものを受けた私は一念発起。ほぼ加水分解したソロテントを物置から引っ張り出し、アニメの最終回が放映された週に大洗のキャンプ場へ出掛け、1泊した翌朝に「カレーめん」ことカップヌードルカレーをズルズル食べたのだ。

浩庵キャンプ場の至近にある本栖湖公衆トイレ。このベンチに寝ていたなでしこをリンが見かけたところから物語がスタートする。2人とも自宅からここまで小径自転車で来ており、脚力はかなりのものと推察する
長野県諏訪市にある片倉館。リンは原付一種のビーノでここまで走ってきた。ちなみに中の千人風呂は映画テルマエロマエ2の撮影場所にもなっている

 これをきっかけに私のキャンプ熱が復活したのと同時に、世間もなんとなくキャンプブームに。二輪媒体もそうした流れを汲んでキャンプツーリング企画を組むようになり、あちこちから執筆をお願いされる機会が増えた。そうした数々の仕事の中でも、ヲタクである私が最も誇りに思えたのが、ゆるキャン△の聖地巡礼ガイドブックの製作に携われたことだ。手持ちのコミックスを付箋だらけにし、アニメをリピートして背景やセリフを確認する日々。趣味と実益を兼ねるとはこれだと思った。

 付け加えると、キャンプツーリングが私にとってのもう1つの趣味に加わったことで、ワークマンのキャンプギアのプロデュースにも参画させてもらうようになった。その中の1つ、ツーリングテントを積み込んで今夏に北海道を1週間キャンツーしたのだが、特に破損や浸水などの問題は発生せず。振り返ってみれば、これもゆるキャン△という作品に出会えたからこその経験だ。

劇場版が公開されたり、舞台として登場した自治体とのコラボ企画も続いている。こうしたキャラクターパネルを訪ね歩くのも聖地巡礼の楽しみだ

 さて、ゆるキャン△の舞台は、ダブルヒロインの1人、志摩リンがヤマハ・ビーノに乗っていたり、その相棒である各務原なでしこの姉が日産・ラシーンを所有しているなどの理由から、JKとは思えないほど行動範囲が広く、山梨県身延町を中心に静岡県や長野県など各地に点在している。右のタイトルカットは静岡県富士宮市にある有名なキャンプ場、ふもとっぱらで撮影したもので、ここはアニメ第2話と3話に登場している。そこから第1話の舞台である山梨県身延町の浩庵キャンプ場までは16㎞ほどしかなく、せっかくならリンやなでしこと同じように小径自転車で来訪したいと思い、ホンダ・NC750Sに英国製のブロンプトンという折り畳み自転車を積んで出掛けたのだ。

作品内では「麓キャンプ場」の名で登場する静岡県富士宮市にあるふもとっぱら。なでしこがリンに振る舞う担々餃子鍋は、野菜を切ってぶち込んで煮るだけの簡単メニュー
身延町の名物、身延饅頭は数軒が製造販売しており、写真は甘養亭のもの。作品には栄昇堂が登場しており、食べ比べに興じるのも乙だろう

 舞台を訪れるだけでなく、キャラの行動をなぞることも追体験の1つであり、自転車を持っていったのは大正解だった。その後、さらにエスカレートして11月にもふもとっぱらで1泊したのだが、明け方の氷点下はさすがにつらいだけで、主人公志摩リンのたくましさを痛感した。

 キャンプに関する基礎や心構えも学べる本作品。キャンツーに興味を持ったらぜひ触れてみてほしい。

関連記事