地元ライダーが教える広島ツーリングスポット「広島といえばお好み焼き。本場で知る美味しさ・奥深さ！」

（BikeJIN　2023年1月号より抜粋）

広島のご当地グルメといえば、お好み焼き！
実際に広島に行くとたくさんのお好み焼き店がありますよ
鉄板でジュージューと焼かれたソウルフードを食べれば
身も心もほかほかに
本場・広島で知ったお好み焼きの奥深さを紹介します！

広島のお好み焼きは、鉄板の上で小麦粉の生地を薄くのばした上にキャベツや豚肉といった具材をモリモリと重ね、ひっくり返して蒸し焼きにし、さらに薄く焼いた卵と焼きそばの上に重ねるというのがオーソドックスな作り方です。卵、焼きそば、具材、生地とミルフィーユ状になっていて、ソースや青のり、好みでマヨネーズをかけて食べます。店の鉄板で焼いてもらったら小さなヘラでひと口大に切り、熱々のまま口に運ぶのが通の食べ方です。

　大阪出身の私にとってお好み焼きといえば、具材を全部混ぜてホットケーキのように焼くタイプに馴染みがありました。ふわふわ食感がたまらないのですよね。どちらも大好きですし比較するのはナンセンスかもしれませんが、たっぷり使われた野菜の美味しさをより実感できるのが、広島のお好み焼きの良さだと個人的に思います。

　観光客のみならず、地元民からも愛されているソウルフード。実際にツーリングで広島を走ると、あちこちにお好み焼き店があり、「さすが本場！」という気持ちになります。真冬のころに広島市街地を走っていて「寒すぎる！　身体を温めよう」と偶然入ったお好み焼き店のことが忘れられません。昔ながらの小さな店で、カウンター席には年季の入った鉄板が。夕方の早い時間でしたが、すでに常連らしきお客さんがひとり、お酒を飲みながら店のテレビで野球観戦をしておられました。ちょうど広島東洋カープの試合。店主さんも一緒に食い入るようにテレビを見ていて、「お好み焼きください」と言い出しづらかったです（笑）。でも、ジュージューと丁寧にお好み焼きを作ってくださり、「おお、打った！」、「こりゃいけん〜」といったおふたりの声を聞きながら美味しくいただきました。ほかほかのお好み焼きと、広島の日常が感じられる店内に、身も心も温かくなりました。

　ひとことで「お好み焼き」といっても、奥が深いんです。基本的に細い中華そばを使うことが多いのですが、中の麺をうどんに変更できる店も多くあります。もちもちしたうどんの食感がひと味違って、ボリュームたっぷり！

　また、「これぞソウルフードの証だな」と感じたのが、ソースへのこだわりです。オタフクソース、カープソース、ミツワソースなど、広島発のソースがいろいろとあり、それぞれの味の違いから「私はオタフクソース派」といったこだわりを持つ広島県民も。「うちの店はミツワソースを使ってます」とソースまで含めての味を提供する店もあれば、お客さんの好みに合わせられるよう、卓上に複数のソースを準備している店もあります。「より美味しいお好み焼きを！」と追求し、食文化を熟成させてきた本場ならではのストーリーを感じませんか。

　具材によって違った味を楽しめるのもお好み焼きの良さ。チーズやねぎなどトッピングを追加できる店が多いほか、もうひとつの広島グルメ、牡蠣を使ったお好み焼きも人気です。地域によって具材の異なるバリエーションも誕生しています。府中市で愛されてきた「府中焼き」はひき肉を使用しています。ひき肉から出た脂が熱されることで、麺が揚げ焼き状態に。パリッとした麺の食感がとても美味しく、オススメです。お好み焼き店のメニューのひとつとして提供されている場合もあるので、見つけたら選んでみて下さい。そのほか、砂肝とイカ天が入った「尾道焼き」、鶏モツを使った「三原焼き」、唐辛子を練り込んだ麺を使う「三次唐麺焼」などもあるそうで、いつか食べてみたいと思っています。食いしん坊の方は、お好み焼きのハシゴツーリングもオススメですよ。