【バイク日和】「お父さんの反対を押し切って……!」
両親の反対を押し切ってまで乗りたかったバイク 二輪免許を取ったはいいものの、中々納車には至らず 免許取得から納車するまで並々ならぬ情熱を持ち続け 半年前にようやくバイクライフがスタート!
納車したのは半年前!バイクはかけがえのない相棒
取材当日、集合場所を颯爽と通り過ぎていく1台のジクサー。待つこと15分、イタリアンブランドで身を固めた厳ついライダーが我々の前に停車した。厳ついライダーは、ヘルメットを取るや否や「ごめんなさいっ!! 道間違えちゃって……!」と、アワアワしながら挨拶してくれた。会って早々素敵なギャップを見せてくれた彼女の名は鎌田景さん。
ヘルメットはAGV、ジャケットはアルパインスターズ、ブーツはガエルネで固めた彼女。ライディングギアは「フツーじゃつまらない」と、納車前にインスタグラムで見て憧れていた海外のライダーのスタイルを踏襲。着こなしも海外ライダー同様スマートだ。
ギアへのこだわりからして一筋縄でいかなそうな彼女だが、どうやら別の意味で納車までの道のりも一筋縄ではいかなかったようだ。
最初からクルマとバイク、どっちの免許を取ろうか迷っていた鎌田さん。利便性などを考え結局はクルマの免許を取ったが、バイクのことは頭から離れず。免許取得後はお父さんに借金してまで買ったハスラーに乗っていたが、いろいろあって運転禁止令が出される。
運転できない日々が続く中、クルマに触れられずモヤモヤしている自分に気づく。そこで「私って運転が大好きだったんだな」と再確認。「今しかない!」と、思い切ってバイクの免許を取ることにした。無事二輪免許は取れたものの、ご両親、特にお父さんは大反対。聞けばお父さんは30年ほど前にGB250 クラブマンに乗っていた元バイク乗り。バイクの危なさが分かっているからこそ、愛娘に危ない思いはしてほしくないと反対したのだろう。
免許を取ったが車両がない彼女が門を叩いたのは「2りんかん」。ココならバイクに関われるだろうとアルバイトを始めたというから、その情熱には舌を巻くしかない。
とはいえ配属されたのはレジ部門。「ホントはピットが良かったんですけどね(笑)」と彼女ははにかむ。彼女の目論見通り、同僚にバイクのいじり方を教えてもらったり、タンデムでいろいろな場所に連れて行ってもらったりと存分にバイクに触れながらバイクへのモチベーションを維持。購入のためのお金も貯めつつ、遂に納車へ。
スポーツ系のバイクが好きだという鎌田さん。当初は唯一知っていたニンジャを購入するつもりだった。しかし、お店に見に行って考えは一変!
見た目と身体にフィットしたジクサー250SFに一目ぼれ。シート高は高かったものの、「それを乗り越えてでも『この子』に乗りたい!」。そう思った。自分のハスラーと実家にジムニーもいたので、それも後押しに。
納車日にジクサーで帰宅した鎌田さん。たまたまベランダに出て望遠鏡を覗きながら趣味の天体観測をしていたお父さんは、バイクに乗って帰宅した娘が視界に入った。その時、現実逃避のためか、一旦見て見ぬフリ。事後承諾で娘に押し切られてしまった形となった。
しかし、自作の動物ステッカーをヘルメットに貼ったり、タンクバッグを譲っているところを見ると、心配しつつも娘のバイクライフを暖かく見守っているように見受けられた。「なんだかんだ言って陰から見守ってくれてる感じ……だと思います(笑)」そう話す鎌田さん。お父さんの不器用な愛はしっかりと伝わっている様子。
鎌田さんにとってバイクに乗っている時間は良くも悪くも自由。飛ばしたり荒い運転をしそうな時も、ジクサーはそんな自分をたしなめつつ、一緒に楽しんで心を整えてくれるという。それは散歩するのとも友達とご飯に行くのとも違う、自分自身と向き合える特別な時間だ。
そんな鎌田さん、大学4年になって時間ができたら大型免許を取りに行く予定だ。憧れの車種は現行のハヤブサや08年式のR1、パニガーレV4とスーパーバイクが並ぶ。サーキットにも興味津々で、社会人になってお金ができたら最高グレードのタイヤを履いて走ってみたいとのこと。目下の悩みはジクサーの次のタイヤをどうするかだ。ブリヂストンのS22やダンロップのα‐14辺りが候補だと楽しげに語ってくれた。まだ始まったばかりのバイクライフ、これからも鎌田さんの夢は広がっていく。
「可愛いものに目がない」という鎌田さん。クマのキーホルダーや、ケーブルに巻き付いたキツネのマスコットは彼女のお気に入りだ