[アニメ聖地巡礼]白い砂のアクアトープ
(BikeJIN2022年4月号より抜粋)
二次元マニアを指す呼称として80年代に誕生した「ヲタク」という言葉
インドア派と思われがちだが、好きな作品をきっかけとした彼らの行動力はスゴい
そんなヲタクの1 人である私がハマっているのがアニメツーリズム
記念すべき第1回は沖縄県南城市を舞台とした作品だ
アニメが好きだ。マンガやゲーム、ラノベなどとともにサブカルチャーとして一括りにされがちだが、私の肌に最も合うというか息をするように鑑賞を継続しているのが、二次元の総合芸術とも言えるアニメなのだ。
さて、気に入った作品に出会えると、そこに登場した場所を訪れて世界観に浸りたくなるもの。こんな思考は決してヲタクだけではなく、調べてみると18世紀ごろには戯曲「ロミオとジュリエット」の舞台であるイタリアのヴェローナを巡るという、イギリス人向けの観光ツアーがあったそうだ。今でこそコンテンツツーリズムなどと呼ばれているが、旅のきっかけなんて今も昔も、さらには人種や国籍も関係なく大して変わらないのだ。
というわけで、アニメツーリズムの魅力を1人でも多くのライダーに知ってもらうため、スタートした当コラム。記念すべき初回は「白い砂のアクアトープ」の舞台となった沖縄県南城市だ。おいおい、いきなり沖縄かよ、はい解散と思ったアナタ! ちょっと待ってほしい。ライダーにとって北海道よりもハードルが高そうな沖縄だが、レンタルバイクを使えばツーリングの難易度はグッと下がる。しかも、ハイシーズン以外は航空券もホテル代も想像以上に安い。この聖地巡礼をしたのは昨年11月下旬で、ANAのトラベラーズダイナミックパッケージを選んだところ、往復の航空券とホテル3泊分の合計が3万200円だった。たとえば本土で3泊4日のツーリングをするとして、高速道路とビジネスホテルを使えばこれぐらいの金額だろうから、決して高くはないと思う。
加えて、レンタルバイクは沖縄エリア料金適用で安いのも見逃せない。今回はスーパーカブ110(これもアニメに影響されて選択)を借りたのだが、3日間借りての基本料金は1万2600円。沖縄本島のサイズ感を説明すると、最南端にある喜屋武岬から最北端の辺戸岬まではおよそ140㎞。これは北海道に当てはめると札幌駅から旭川駅までの距離とほぼイコールだ。大型バイクで高速道路を使うと一気に移動できてしまうため、本土のライダーが旅情を味わうなら原付二種や軽二輪が最適ではないかと思っている。
それでは聖地巡礼について。「白い砂のアクアトープ」は、本島南部にある南城市を舞台とした作品で、架空の水族館で働く2人の少女の成長を描いた青春群像劇だ。これを制作したPAワークスはお仕事系アニメに定評があり、背景美術のリアルさでは間違いなくトップクラスにある。ゆえに、登場した場所に訪れたときの没入感はハンパではなく、「あ〜、波打ち際(PAワークスは水の表現でも群を抜いている)にくくると風花の姿が見えるわ〜」となってしまうのだ。
ネタバレを避けて説明すると、舞台となる架空の水族館のモデルは2カ所あり、1つは南城市に、もう1つは40㎞ほど離れた場所の風景が使われている。今はもう初回放送中から「ここって○○じゃね?」といった情報がSNSで飛び交うし、しばらくすると聖地巡礼マニアが画角も含めてネットに上げてくれるので、場所の特定が容易なのはありがたい。今回もそんな情報をフル活用させていただいた。いやぁ、楽しかった!
さて、次はどこにしようか思案中。乞うご期待!