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【Benelli・IMPERIALE400】U400で行こう!

400㏄以下は日本のスタンダードだと思っている
街乗りからツーリングまで広範囲に使えるからだ
大型バイクの良さを認めたうえであえてサイズダウン
クラシックスタイルのモデルなら長く付き合えそう

世代を超えて乗り継げるレトロなフォルムが魅力

1911年にイタリアで創業をスタートしたのがベネリだ。100年以上におよぶ歴史の中で、レースでの華々しい戦績や数多くの市販モデルを生み出してきた。中でも個人的に印象に残っているのが、1975年に登場した空冷並列6気筒エンジンを搭載した750seiである。実際に乗ることはなかったのだけれど、左右に3本ずつ伸びたマフラーが迫力だった。当時ベネリはデ・トマソの傘下でバイク生産を続けていた。しかし1988年にベネリブランドは消滅してしまった。その後、紆余曲折を経て1995年に復活。2002年にトルネード900Treを生み出した。現在は中国メーカーの傘下に入り、小排気量モデルを中心にさまざまなジャンルのモデルを製造販売している。そうした中、クラシックシリーズとして登場したのがインペリアーレ400なのである。

50〜60年代を思わせる王道のヴィンテージスタイルは、鋼管製ダブルクレードルフレームにフロント19、リヤ18インチスポークホイール、そして直立型の空冷SOHC2バルブ単気筒エンジンから形成されている。デザインに目新しさはないけれど、世代を超えて長く付き合っていけそうな雰囲気に満ちている。

始動するとキャブトンタイプのマフラーから野太いサウンドが放たれる。そしてスタートすれば、最大トルクを4500回転で発生する低中速型のエンジンが力強く加速させる。374㏄の排気量からおよそ21psの最大出力を発生するが、数値からも分かるように決してパワフルな特性じゃない。しかしスロットルを開けた瞬間、ドドドッと躍動感あふれる加速をしてくれるのでなんとも心地良い。

俊敏に身を翻して走れるタイプじゃないけれど、落ち着きのあるハンドリングはワインディング走行だって十分に楽しませる。快適な乗り心地を提供してくれるサスペンションの吸収性ではなかったけれど、ツーリングの相棒にもちょうどいいと思えた。

70年代初期にバイクに乗り始めた僕にとっては、懐かしく思えるような安定性重視の走行性。現代的なスポーツバイクのように高い運動性を発揮するタイプじゃないし、サスペンションの作動性にも不満が残る。だがバイクに身を委ねて走る良さもあることを再認識した

【Benelli】IMPERIALE400

50年代のどのモデルがモチーフになっているというわけじゃないが、イメージはまさしく50~60年代のロードモデル。最近はこうしたクラシカルなバイクがちょっとしたトレンドになっているが、流行に左右されないスタイルだ
エンジン空冷4st
単気筒374 ㏄
最高出力21.1ps/5500rpm
最大トルク2.9kgf/4500rpm
車重205kg
シート高780mm
燃料タンク容量12L
タイヤサイズF=100-90-19
R=130/80-18
カラーブラック
シルバー
価格66万8800円

冷単気筒エンジンは、低速から太いトルクでグイグイ走るわけじゃないが、中速域でのレスポンスにはメリハリがあり、日常走行で大きな不満はない

ヘッドライトはもちろん丸型の一灯式。しかもハロゲン球を採用している。LEDが主流のいま、明るくはないが、逆に目立つ

ロングタイプのリヤフェンダー上に設置されているシンプルなテールランプ。ウインカーともども昔ながらの電球を採用している

ティアドロップ型の燃料タンクは容量12L。クラシックスタイルモデルらしく、タンクサイドにはラバーパッドが装着してある

ライダー側には大きめのサドル型シートが装備されている。さらに下部にスプリングを装備する徹底ぶり。クッション性は良好だ

リヤシートも独立式としていて、取り外してシングルシーターにすることもできる。後部にはグラブバーとなるパイプが取り回される

ホイールはワイヤースポーク式。フロントタイヤは19インチで、φ300㎜のシングルディスクブレーキを装備している

空冷単気筒エンジンから伸びるキャブトンタイプマフラーがクラシカルな雰囲気を高める。表面はヘアライン仕上げとしている

リアサスペンションはもちろん2本ショック式を装備。しかしながらサブタンク付きショックユニットをレイダウンして装着している

リヤタイヤは18インチ。ブレーキはΦ240㎜のディスクを採用している。スタイルはクラシカルでも安全性は現代基準で製造

右側のサイドカバーはキーロック式で着脱できるタイプ。中にはMFバッテリーやヒューズボックスなどの電装パーツが収められている。ETC車載器設置のスペースはない

レトロなアナログメーター

アナログ式の2眼メーターはレトロな雰囲気が好印象。液晶ディスプレイ内蔵で現代的な機能性も持つ。ハンドルポジションも良好だ

気になるポイント

①アジャスト可能なブレーキレバーだが全体に間隔が遠めに感じられる

②アナログ式メーターながら夜間での視認性は抜群

③アジャスト可能なブレーキレバーだが全体に間隔が遠めに感じられる

374㏄空冷単気筒の躍動感が走りを彩る

街乗りでは?

落ち着いた乗り味が低速走行でも安心

ものすごくトルクが太いわけじゃないが、極低速からレスポンスの良いエンジンは、レッドゾーンの6000回転超へとタコメーターの針を跳ね上げる。発進加速は予想外に素早く、市街地で高い機動性を発揮してくれる。一方で落ち着きのある操縦安定性は不安のない低速走行を実現してくれる。車重は205㎏と重いので取り回しはつらい。

高速道路は?

本線合流の加速は十分気になる振動も感じない

日本の高速道路は最高でも120㎞/hに速度が制限されている。このスピードであればインペリアーレ400でも十分にクルージングが可能だ。また低中速型の単気筒エンジンは思いのほか発進加速が良いので、短い加速車線でも本線上の車の流れに乗ることが可能。単気筒で懸念される高速走行時の振動もほとんど気にならないレベル。

ワインディングは?

マシンなりに走ることが爽快さにつながる

前後サスペンションがもう少しこなれてくれば、乗り心地、ハンドリングともにより良くなると思う。という現状を踏まえたうえで、安定感のある操縦安定性が特色なので、現代的なスポーツバイクのように素早く身を翻して走るタイプじゃない。どちらかといえばゆっくりとしたモーションで、車体に身を任せてコーナリングすると楽しめる。無茶をしないことが肝心。

ゆったりとした気分でエンジンと対話しながら走る

クラシックなスタイリングが特徴のインペリアーレ400は、速さを競うバイクじゃない。空冷単気筒エンジンが放つ鼓動を楽しみながら、気持ちをリラックスさせて走るのが似合うバイクだと思う。市街地でも山道でもどっしりとした安定感を味わいながら走ることで、楽しさや喜びがこみ上げてくるはずだ。そして金属部品を多用したボディは、きれいに磨き上げる楽しみも提供してくれる。そういう意味では熟年ライダー向けのバイクだといえるけれど、オーソドックスだからこそバイクの基本を実感できるのでビギナーにもオススメだ。

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