【カラダ整備】ステップ④ ツーリング中の腰痛に緊急対応!?
信号待ちにできる腰痛緊急処置!
前回は、腰椎には屈曲型と伸展型があること、腹筋と骨盤および太もも後ろ側の筋肉が対になって緊張すると骨盤は後傾し(腰椎屈曲型になる)、逆に背筋と太もも前側の筋肉が協調して緊張すると骨盤が前傾する(伸展型になる)ことを紹介しました。
腰というのは、前後どちらかに姿勢がズレていると痛みの原因になりやすく、逆になるべく軸で真っすぐ上半身の重さを支えて上げれば負担が軽減されます。ツーリングでは、椅子に座るのと近い姿勢をシートの上で長時間キープするので、骨盤が後傾あるいは前傾していれば腰痛につながります。バイクに乗っているときも、なるべく腰に負担が少ない姿勢を維持することが、腰痛対策として重要でしょう。
日常で簡単にできるストレッチやエクササイズとしては、緊張して屈曲型あるいは伸展型に姿勢を崩す要因となっている筋肉を伸ばしてあげることが第一段階です。男性に多い屈曲型の人は、腹筋がカタくなり猫背になっている傾向。この状態で腰を真っすぐ立てようとしても、上半身が前に倒れそうになるので、骨盤を後傾させてバランスさせているわけです。つまり、腹から胸にかけて前屈方向に固まっている部分を伸展させてあげることが大切。ストレッチポールと呼ばれる丸くて柔らかめの棒を床に置き、その上に仰向けで寝ることで、腹や胸を伸ばせます。ストレッチポールは100円ショップでも販売されていますし、バスタオルなどを丸めて代用しても大丈夫です。
ストレッチポールは、この上に縦または横に仰向けに寝て背中を伸ばすのが、基本的な使用方法。ストレッチにもエクササイズにも使える
ストレッチポールや丸めたバスタオルを、身体に対して横向きになるよう床に置き、その上に仰向けで寝る。部位を少しずつ変えつつ、緊張している腹や胸の筋肉を伸ばそう
一方、女性に多い骨盤伸展型の場合、前々回紹介したプランクというインナーマッスルのエクササイズが効果的。背筋に対して腹筋がないためバランスが悪くて反っているので、腹筋側を強めてあげればいいわけです。ただし伸展型の人は、プランクのときも背中が反って腰が落ちてしまいがちなので、肩から足までが一直線になるよう意識してください。 ちなみにこれらのストレッチやエクササイズは、誰がやっても害があるわけではありません。自分が屈曲型か伸展型か分からない人は、ぜひ両方を!
さてここまでは、自宅や宿泊先などで時間があるときに継続してやってほしいことですが、ツーリングの途中で腰が痛くなった場合、まさか地面に寝転がってゴロゴロ……なんてわけにいきません。バイクの場合、猫背状態で乗ることが多いので、このときに骨盤まで後傾してしまって腰痛になっていることが多いはず。こう仮定したうえで、「あと数kmなんだけどマジで腰痛ツラい……」なんてときに、とりあえず試してもらいたい緊急対処法をひとつお教えしましょう!
それは、信号待ちの停車時に、ヘソの3 ~ 4㎝下側かつ5 ~ 6㎝外側あたりに人差し指から薬指の先を斜め45度で身体の中心に向かって突き刺し、そのままお腹の奥に10秒ほど押し込むこと。椅子に座って前かがみになるような姿勢のほうが押し込みやすいので、停車中に片足をステップに上げ、その足と同じほうの手で10秒押し、次は反対の足と手で……と交互にやるといいでしょう。押し込むのとは逆の手でハンドルを握っておけば、立ちゴケのリスクも減るはずです。
この行為は、インナーマッスルの腸腰筋に刺激を与えるのが目的。深層筋である腸腰筋を直接押すことはできなくても、周囲の筋肉を介して刺激が加わることで血流がよくなります。「痛いのは腰なのに腹筋側を押すの?」と思うかもしれませんが、根本的な原因は腹筋側が緊張して腰が後傾しているから。腹筋側の血流改善により、多少は楽になるはずです。
表層筋である腹直筋と腹斜筋の間あたりに手を突き刺し、深層筋(インナーマッスル)の腸腰筋に刺激を与えると、血流改善により緊張状態が緩和されて腰痛が減ることがある
ツーリング中に臨時で腸腰筋を刺激するなら、信号待ちでも可能。片足をステップに載せ、手を突き刺そう。前かがみになれると効果的だが、立ちゴケに注意
そして次回は、バイクから降りた状態でしっかりできる、腰痛改善のストレッチをお教えします!