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【ツーリングガイド】能登半島にヨバレたい

能登では親せきや友人を招いてもてなす風習がある
その時に使われたのが輪島塗のお膳である
各家庭がお揃いの器をたくさん揃えて大切に使ってきた
輪島塗は高価だが日常で使ってこそ意味がある
能登を旅して輪島塗の器でもてなされるのはこの上ない喜びだ

みんなが気になる能登半島ツーリング

ツーリング先として検討するライダーが年々増加傾向にある能登半島。鉄道が廃線になるなど、公共交通機関での移動が不便だが、バイクの機動性を活かせば良い旅先では?

そこに目を付けた輪島市が「バイク歓迎の町」として観光PRをしてきたことが、能登全体に広がり、ツーリングライダーに浸透してきている。本誌読者の間でも、北海道、阿蘇と並んで、ロングツーリングの行き先に推す人が増えている。

実際に訪れてみると、道は空いているし、海岸線、里山、ワインディングロードなど、バリエーション豊かな爽快な道を走ることができる。海に突き出した半島は、その字のごとく半分島だ。輪島市と珠す洲ず市にはそれぞれ海岸線の切り立った崖っぷちを走るルートがあり、僕のお気に入りルートだ。その風景は翼竜が飛んできそうな太古の離島といった趣である。そして能登にはライダーが愛する先っぽもある。

旅先では旨いもんが気になるが、能登半島は加賀百万石の時代から食材の宝庫として有名だ。

荒々しい日本海に面した輪島と珠洲の外海と、半島に囲われた珠洲、能登町、穴あな水みず、七なな尾お (能登島)の内海で獲れる海の幸、その内陸の里山で採れる山の幸、能登島の米。そして500年の歴史を持つ能登の塩。まさに地産地消のうまいもんが揃う土地柄だ。おもてなしのマインドを強く持つ能登の料理人が腕を振るう料理は、なにを食べても美味で旅人を優しく迎えてくれる。

堂ガ崎

能登半島国定公園を走る、珠洲市折戸町木ノ浦海岸付近を通る、県道28号沿いに景勝地「堂ガ﨑」がある。ラケット道路と呼ばれるヘアピンカーブが難所だ

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石川県珠洲市折戸町木ノ浦海岸

禄剛埼灯台(ろっこうさき)

能登半島の最先端にある白亜の灯台。朝日と夕陽が同じところで見られることで知られ、恋人たちのロマンティックスポットでもある

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石川県珠洲市狼煙町イ51

地産地消文化情報誌「能登」
年4回発売
価格:880円
http://m-noto.jp/

2010年創刊の能登の情報誌。年4回、食や文化を中心に、能登のさまざまな情報を発信している。書店、道の駅、観光案内などで購入可能

季刊「Fのさかな」

能登から「日本のさかな文化」を世界に発信するマガジン。観光施設においてあるフリーマガジンなので、能登入りしたらチェック! 旬の魚の話題からディープな世界まで、読み応えあり

https://fsakana.noto.jp/

間垣の里クリフライン

上大沢から輪島に続く県道38号は、海沿いの断崖絶壁をカーブが連続するワインディングロード。にが竹という細い竹をびっしりと隙間なく並べて作った垣根が、印象的な間垣の里がある

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石川県輪島市大沢町・上大沢町

白米千枚田

その名の通り1000枚を超える小さな田んぼで構成される棚田。季節や時間帯によってさまざまな表情を見せてくれる。隣接した道の駅で、ゆっくりと夕陽が沈んでいく大スペクタクルを目にしてほしい

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石川県輪島市白米町ハ99-5

能登半島の最先端に位置する珠洲市は、本州で一番人口が少ない市である。しかし、そこに負い目のようなネガを感じさせないし、独自の取り組みも目立つ。特に芸術に力を注いでいる。

23年秋に3回目となる奥能登国際芸術祭が、珠洲市一円で開催される。「最さい涯はての芸術祭、美術の最先端。」をキャッチフレーズに、前回は16カ国53組の芸術家が集まり、思い思いの作品を製作した。作品の一部は市内のあちこちに展示され、豊かな大自然の中に芸術のアクセントを見ることができる。継続した芸術への取り組みは、街の大きな魅力だ。

人口減少は地方だけでなく、少子化が危惧されているように日本全体の問題だ。だとするならば、珠洲市はいち早くその問題に直面している最先端の自治体ということになる。ビジネスの世界では、そこに着目して金沢や東京・大阪の実業家が、珠洲に拠点を作って模索を始めている。個人レベルでも移住者は増加しており、Iターン、Uターンで珠洲を選ぶ若者が明らかに増えている。

今回の取材でも、若い世代が東京でも勝負できるような、魅力的なビジネスを始めているのを感じた。僕の目に入ってきた多くのカフェも個性的で魅力的。そして皆に、幸せオーラがみなぎっている。

いよいよ未知の領域に入る。能登町だ。とにかく海が美しくのどか。五色が浜海水浴場は、子供が流されないようにテトラポットで丸く囲われ、とてもかわいらしい砂浜だ。厳密には海水温度の上昇はあるらしいが、海の美しさはまったく変わらないという。大きな流木をベンチ代わりに風に吹かれていた。ああ、このまま砂浜の一部になりたい。

そんな能登町には有名な2つの巨大オブジェがある。1つは内浦総合運動公園横の九里川尻川にかかる「ふるさとキリコ橋」。高さは23・8mで、奥能登地方の夏祭りの象徴である切きり籠こをモチーフにしたもの。伝統文化をリスペクトする正当な感じ。そしてもう1つは「イカキング」。道の駅ならぬイカの駅イカつくモールという観光交流施設のわきにある、スルメイカの巨大モニュメントだ。全長13m、幅9m、2700万円を投じて作られた。財源は新型コロナ対策を支援するため自治体に配られた交付金。作られた直後は税金の無駄遣いと大いに叩かれ、ニュースになる始末。たが、わずか数カ月で経済効果6億円を突破して大逆転。担当者の先見の明と勇気に、我々ライダーも拍手を送りたい!

さて、美しい海岸線は爽快だが、バイクの楽しみの1つは傾けて曲がること。見附島から、のと里山空港につながる珠洲道路(のとスターライン)、穴水湾につながる国道249号、輪島の曽々木と九十九湾をつなぐ県道6号はオススメのルートである。

【珠洲市】見附島

高さ28mの大きな岩は、その見た目から「軍艦島」とも呼ばれている。弘法大師が布教のために、佐渡から能登へと渡る際に発見したといわれている島で、「見つけた」というのが名前の由来

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石川県珠洲市宝立町鵜飼

ゴジラ岩

輪島から海沿いの国道294号を珠洲に向かい、県道28号に入ると間もなく、馬緤町の沿岸に奇岩の群れが見えてくる。その中に「ゴジラ岩」がある。夕陽の名所の1つになっており駐車場もあるので立ち寄りやすい

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石川県珠洲市馬緤町

奥能登国際芸術祭 常設作品展示

「珠洲海道五十三次」@市内バス停他

「奥能登国際芸術祭」は、国内外のアーティストが珠洲という場所に向き合い、土地に根差した作品表現をすることで支持を集めた。アーティスト、市民、サポーターによる現代アートと奥能登の風土が響きあい、五感を揺さぶる時間と空間の体験が生まれる

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2023年は9月2日から10月22日に開催決定
https://oku-noto.jp/ja/index.html

道の駅 すずなり

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石川県珠洲市野々江町シ部 15
営業時間:8:30 ~ 18:00
https://notohantou.jp/

【能登町】五色が浜海水浴場

名前の由来は、海の日に五色に色が変わると言われているからだという透明度が高い浅い海が太陽の光で移り行く空の色を映すから? 7月中旬から8月中旬までは海水浴客でにぎわうが、普段は静かな砂浜だ

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石川県能登町字新保6-19-1

【能登町】ふるさとキリコ橋

内浦総合運動公園の九里川尻川にかかる橋。奥能登地方の夏祭りの象徴であるキリコがモチーフで、高さは23.8mに及ぶ。夕方になるとライトアップされ美しさを増す

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石川県鳳珠郡能登町九里川尻

【能登町】イカキング

能登町はスルメイカの日本3大漁港として知られる。能登町が町おこしの一環として制作した全長13m、高さ4mのFRP製スルメイカのモニュメントで大人気を博している。名称は公募により「イカキング」と命名された

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石川県鳳珠郡能登町越坂18-18-1

【能登町】イカの駅 つくモール

九十九湾を中心とした能登町の観光交流施設。小木のイカ漁に関する展示、地元ならではのイカ料理提供、船凍イカなど特産品も販売。九十九湾には県内唯一の、海中が見える遊覧船があり、マリンレジャーも体験できる

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石川県鳳珠郡能登町越坂18-18-1
https://ikanoeki.com/

【能登町】県道6号山分・珠洲道路

珠洲、能登町、穴水をつなぐ珠洲道路(のとスターライン)と、それを横切る県道6号、37号は里山を走るワインディングロードだ。生活道路区間の人の往来や、道の駅などの車両の出入りもあるので注意は必要だが快適に走行できる区間も多い

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県道6号宇出津町野線

今回のパートナー

スズキ Vストローム1050

アドベンチャースタイルのツーリングモデルは、スズキが得意とするアルミフレームとVツインエンジンの組み合わせだ。トルクフルなエンジンは、ロングツーリングでライダーが疲れにくい上質なもの。大荷物を積載してもハンドリングは素直だ

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