【バイク女子部】初めてのピットクルーはやることがいっぱい!無事にライダーを送り出せるのか?
Facebookグループ「バイク女子部」が、日々のバイクライフを綴る連載ページ。姉妹誌・ライダースクラブから出張掲載! 今回は、サーキットを観るのも走るのも大好きなバイク女子部の林香織が、初めてピットクルーを体験するバイク仲間の佐野由里子さんに感想を聞きました!
※BikeJIN vol.264 2025年2月号参照
バイク女子部とは……
Facebookを中心に6000人以上のメンバーが参加するバイクコミュニティ。定期的なツーリング企画やミーティングイベントなどを各地で実施中。この連載ではバイクにまつわるさまざまなことを伝えていきます!
新人ばかりでレースチーム結成!
2024年の11月は、毎週末のように筑波サーキットまで通いました。というのも、1週目の「テイスト・オブ・ツクバ」から始まり、2週目の「クラブマンロードレース」、3週目は「筑波ツーリスト・トロフィー」と、秋のレース祭りだったからです。レース好きのライダーと仲間たち、出展者、観客でサーキットは賑わっていました。
どのレースも、アマチュアライダーが愛車で参加する、いわゆる「草レース」の大会で、この日のために仕上げた自慢のマシンをサーキットで走らせて戦います。私はほとんど観戦ばかりでしたが、今回は大きく違いました。仲間のライダーが意を決して32年ぶりに筑波のレースに復帰することとなり、「max10」というスプリントレースに出場することになったのです。「それならサポートしないといけない!」ということで、ほぼ実戦未経験の手作りチームが発足することとなりました。
今回出場する「max10」は、「クラブマンロードレース」のコラボ開催となっていて、サーキットの自己申告タイムによってクラス分けがされているので、技量に合わせたクラスに参加できます。参加するライダーはカリカリすることなく、〝全員が仲間同士〞という雰囲気です。
私は今まで何度かピットクルーのベテランと一緒にお手伝いをしたことはありましたが、正式なクルーとして取り組むのは初めて。今回のチームでの私の立場は監督(実際にやることは雑用です)。チームメイトは、普段は観る専門で初めてピットクルーをするバイク女子部の佐野由里子(サノユリ)さん、ヘルメット担当は用品店に勤めるライダーのお嬢さん、ライダーの友人で撮影担当のカメラマン、そして唯一頼りになるのが32年前のレース時もピットクルーを務めたメカニック!そんなほぼ新人メンバーで、レースウィークに突入!
MAX10とはどんなレース?
MCFAJクラブマンロードレースの中の1カテゴリーとして開催されるスプリントレース。このクラスは、お気に入りのマシンで参加できる趣味性の高いカテゴリーで、エントリーできるのは海外メーカーの車両のみです。自己申告ラップタイムによるクラス分けが採用されているため、初心者から経験豊富なライダーまで、年齢に関係なくバイク好きが参加できるアットホームな雰囲気が魅力です。
また、ミュージシャンの長瀬智也さん(TOM)もこのレースに参加しており、ハーレーダビッドソンでのチャレンジが話題に。4月に開催された第1戦筑波では、愛車FLTRX-STで見事に3位入賞を果たしています。
トラブルだらけのピット作業
チームはレース前日のお昼ごろに筑波サーキット入り。スポーツ走行枠1本を走って練習をする予定でした。私は仕事が忙しく夜からの合流だったのですが、話を聞くとどうやらレース前で台数が多く、走行枠が取れず、タイヤウォーマーやレーシングスタンドの着脱等の練習が全くできなかったとのこと……。その上、ゼッケン貼りやステッカーチューン(これも大事!)に夢中になって気がついたら日が暮れてしまい、「結局何も練習できなかった……。どうしよう」とサノユリさん。大丈夫かなぁ。
そんな不安な気持ちで迎えたレース当日。早朝、宿泊先からサーキットに向かう途中で雨が降り始め、車内はどんよりとした空気に……。サーキット入りしてからは、受付、車検、タイムアタックと初めてのレース準備がバタバタと進んでいきます。
そして一番の難関だったのが、タイヤウォーマー。とにかく急いでタイヤを温めないといけないのに、作業に慣れないため、いつ巻くのか、いつ外すのかタイミングがつかめない……。タイムアタックに送りだす時点で、まだタイヤは40度くらいまでしか上がっていません(本来は80度で50分ほど温めないといけない)。ハーフウェットの中、温まっていないタイヤで送られるライダーの心境はいったいどんなものだったでしょう。ライダーは「予選では絶対に転倒するわけにはいかない!」とものすごく慎重に走り、結果24番グリッドと後方からのスタートになりました。申し訳ない……。
予選が終わるとホッとしている間もなく、気が付くと最初のクラスから決勝が始まっていきます。タイムアタックの反省を生かして、「決勝こそは規定通りタイヤを温めてライダーを送りだそう!」と時間を逆算して作業を進めます。
ゴール後の笑顔がレースの醍醐味!
そしていよいよ決勝、スターティンググリッドにつきます。私たちクルーも呑気に手を振っていたのですが、「あれ……?」気が付くと、他のチームはすでにタイヤウォーマーが外れてエンジンがかかっています。「これはまずい!」と慌ててウォーマーを外してコースから撤収。練習していない割に、なぜかワークス並みの速さで外せました。人間、焦るとなんでもできる!
こうしてなんとか決勝のスタートが切れました!あとはゴールするまでひたすら応援するのみ!あっという間にチェッカーが振られ、無事レースは終了。ピットロードを抜けて、マシンたちが帰ってきます。帰ってきたライダーに労いの声を掛け合いながら、チームテントまでマシンを押しながら戻ってきます。このときは全員が最高の笑顔!これぞサンデーレースの醍醐味です。
レース後のサノユリさんは「ピットクルーのお仕事は全部楽しかった!今まで見ているだけだったけど、自分がしなければならない仕事があって、それがライダーやマシンに大きく影響与えてやりがいがあり、すごく楽しい!次はもっとしっかり動けると思う!」と言っていて、私もとっても嬉しかったです。
結果は見事4位入賞。走り切ったライダーは「皆がレースに関わって楽しんでくれればいいと思っていて、おかげで良い思い出の一日になりました。スーパーハッピー!」とコメント。反省はありましたが、転倒もなく、無事走り切って戻ってきてくれたときに感じた嬉しさと喜び。これは病みつきになりそうですね!