カッコよくスムーズに走るためになにより大切なのは「フォーム」と「予測」!
実践する人:編集部 ヤマキ
どうせ走るならカッコイイフォームでスピーディにワインディングを駆け抜けたいという野望を胸に秘めている。いろいろ試してはいるものの、ワインディングの走り方は迷走中
教えてくれる人:ライター田宮徹さん
ロングツーリングからサーキットまで、幅広いフィールドでバイクを楽しむ本誌ライター。ヤマキが走り方のお手本としている人
最初に学ぶべきこと、常に心掛けることは……
ヤマキ:じつは僕、最近ちょっと悩みがあるんです。
タミヤ:どうした、金欠か?
ヤマキ:違います……。ライディングがもっと上手になりたくてあれこれトライしているんですが、最近、伸び悩んでいる気がするんです。
タミヤ:ほう、具体的にはどんな感じで上手くなりたいの?
ヤマキ:ワインディングを、カッコよくスムーズに走りたいんです。公道なので速くという意味ではないんですが、例えば他のライダーから、「おっ、アイツ分かってるねえ……」と思われたい!
タミヤ:“カッコいい”は、いつの時代もライダーの憧れだもんねえ。
ヤマキ:色々試してるのですが、ギクシャクすることも多くて……。
タミヤ:あ、そ。まあ頑張って!
ヤマキ:いやいや、突き放さないでくださいよ。で、お願いがあります。ロングツーリングからサーキット走行まで幅広く楽しむ田宮さんに、いろいろ教わりたいんです!
タミヤ:なるほど。で、具体的にはどんなことを知りたいの?
ヤマキ:極論で言えば、何を最優先に覚えるべきか。ライテクには多数の要素が複雑に絡んでいるとは思いますが、だからこそ難しくて……。「まずこれをやれ!」と言ってもらうほうが話は早いかな、と。
タミヤ:ある意味、ぜい沢な要望だな。でもそれで言うなら、最初に学ぶべきはライディングフォームに尽きる。結局のところ、減速・旋回・加速のあらゆる状況で、バイクは人間が全身を使って操る乗り物。フォームが適正でないと、正しい操作はできない。〝スポーツ〞ライディングなんだから、これはとても重要だと思うよ。
ヤマキ:具体的にはどうすれば?
タミヤ:まずはお手本となるフォームを探すこと。ヤマキの場合、〝カッコよく〞というテーマがあるから、自分がカッコいいと思うライダーの写真とか映像を見つけて、マネ
してみるのもいいと思うよ。
ヤマキ:じつはすでにやっているけど、上手にマネできなくて……。
タミヤ:どんなフォームが目標なの?
ヤマキ:膝擦りまでいかないけど、イン側の足を開いて走りたいです。
タミヤ:だとするとソフトなハングオフって感じかな〜。ただ、実際に走りながらフォームを修正するのは、いきなりだと難しいかも。仲間にしっかり支えてもらって、まずは停止状態で練習するのがオススメ。そして、特に前後の着座位置は意識してみるといいと思う。
ヤマキ:なるほど。駐車状態で確認してみます。あと、ワインディングをスポーティに楽しみたいとき、フォーム以外に気をつけておくべきことってありますか?
タミヤ:最優先すべきは、絶対に転ばない、事故らないこと。速度を落として、自分なりに十分なマージンがあると感じられる範囲で、安全に楽しむべきだね。
ヤマキ:安全性を高めるための操作とか、意識することはありますか?
タミヤ:視野を広く、3秒先を考える。
ヤマキ:3秒先?
タミヤ:厳密に3秒ということではなく、目の前の一瞬に対処するのでなく、その先のことも予測するという意味。いわゆる〝かもしれない運転〞に似ているね。
ヤマキ:そう聞くと、〝ワインディングをカッコよく〞とはあまり関係ないような……。
タミヤ:何を言っているんだ。3秒先を考えるのは、スムーズなスポーツライディングの基本でもあるんだ。例えばコーナー進入で、3秒前から「次は右カーブで、Rはキツそう。アウト側には落ち葉がいっぱい……」なんて判断ができていたら、早めにブレーキングして、右コーナーを走るフォームづくりの準備をして、進入のラインは車線のセンター寄りにすることができる。これを直前で一気にやろうとするから難しくなっちゃう。3秒先を考えることは、スムーズでリズミカルなスポーツライディングにもつながることなんだ!
ヤマキ:なるほど。フォームを考え、安全を最優先に、3秒先を考える。まずはここからやってみます!
×悪いフォーム
スキルアップに悩むライダーにありがちな状態をまとめて再現。シートのかなり前側に座っていて、腕は突っ張り、背中が反って、アゴがあがっている。これでは自由に身体を動かせない
○良いフォーム
シートのやや後ろに座り、ハンドルは正面からベタッと握るのではなく、外側から包み込むようなイメージ。背中を丸めて軽く前傾するが、シートに対して骨盤を立て操縦性を上げている
バイクをしっかり操れる正しいフォーム
立ちゴケに気をつけながら
停車状態でフォーム研究サイドスタンドでも、仲間に支えておいてもらえば左コーナーのフォームチェックが可能。逆にセンスタやレーシングスタンドでも、他人に支えておいてもらわないと危ない
ヤマキが日本GPで学んだこと
先日、もてぎでMotoGPを観戦してきたヤマキ。ライダーたちによる時速300㎞からのフルブレーキングや肘を擦りながらのコーナリングに大興奮! 自身のライテクをもっと向上させたいというモチベーションになりました!!
3秒先を読む
上級者は、右コーナーの立ち上がりにいる写真の状態で、すでにその先に待つ左コーナーを視認している。そして、走るラインやスピードやブレーキングポイントなどを、瞬時にイメージ。だから、連続するコーナーをリズミカルに走りつないでいけるのだ
安全が大前提
MotoGPライダーが、進入でド派手なスライドを決めたり、膝どころか肘まで擦ったりして走れるのは、もちろんマシンが高性能なこともあるけど、広くて、対向車がなく、路面状況が基本的には安定しているサーキットだから!!