[憧れの海外ツーリング]南米バイク放浪記⑨「異国の田舎、スペイン語で初手術」
この度、南米をバイクで旅をするという川田さん
初心者ライダーでバイクの運転はほぼ海外のみ
そんな人の南米バイク旅はどうなるのか?
「バイクで海外旅」ならではの疑問を解消しつつ、走ります!
※BikeJIN vol.262 2024年12月号参照
旅の醍醐味と教訓、怪我を乗り越えて感じたこと
皆さんこんにちは。
ボリビアのトゥピサの面白さに油断し、骨を折って2カ月の療養を余儀無くされた川田です。もう一度言います、2カ月です。これは正直かなりの痛手というか、悪い意味で想定外の出来事です。思いつきでやってきたトゥピサ。3日で抜けるハズだったトゥピサ。こんな事になるとは……。
CTスキャンの結果、骨折が判明し、手術の必要があり、最悪向こう2カ月は療養が必要だと医師に伝えられた時は、本当に何も考えたくなくなるくらい気が滅入りました。
しかし、このボリビアの片田舎での選択肢は限られています。
医師に手術が必要と言われた私は、即決でお願いしました。費用は約20万円。海外旅行保険を利用しようと思ったのですが、私が利用しているクレジットカード会社が提携している病院がボリビアにはなく、一度自腹で払って日本に帰ってからカード会社に請求する形に。手術は翌日、病院にやってきた私は指定された服に着替え手術室に運ばれます。
人生初の手術。まさか聞いた事もない南米の町で、スペイン語のみの手術を受ける日が来るとは。しかし、心の底からやりたい事をやった上での出来事。正直、歩けなくなっても後悔は1ミリも無いのも事実です。
かなり強い麻酔を投与され、自分が何をされているのか分からない状態での手術は1時間くらいで終了。その時泊まっていた宿のオーナーがとても良くしてくれたので、病院には入院せずホテルでの療養生活をする事に。歩くのが困難な私を気遣ってくれ、食事は毎回宿のスタッフが買い出しに行ってくれました。
有り余る程の時間が出来た為、スペイン語を勉強したり、何故かギターを貰ったので練習してみたり、宿泊客とトランプしたりしていると、意外と退屈する事なく過ごす事が出来ました。
「もう足は治ったよ」。と医師に言われたのは、手術から約1カ月半後。確かに歩けるようにはなったけど、足に違和感が残ってる状態での長距離走行は危険な気もするので、違和感が消えるまでトゥピサ周辺をバイクで走ったり、衰えた筋肉やバランス感覚を戻す為にもう2週間程、筋トレをしたりとリハビリに充てました。
いよいよ足の違和感が薄れてきて出発の日。流石に2カ月も同じ町にいれば色々と愛着が湧くし、せっかく仲良くなった地元民達と別れるのは少し寂しい。
この寂しさも旅の醍醐味なんですけどね。怪我という出来事自体をフォーカスすると、最悪かもしれませんが、それによって現地民の優しさに触れる事が出来たり、旅先で人間関係を形成していくというのは、短期滞在ではあまり出来ない経験なので、結果的には良い経験が出来たと思ってます。大幅に予定が狂ってしまった南米ツーリングですが、これからはより一層安全に気をつけて走ります!
昭和63年生まれ。10代、20代前半はテニスコーチをしながら、アマチュアのテニス選手として活動。その後、海外放浪旅に魅了され、31歳より旅中心の放浪生活中