【メンテナンス入門ガイド】”チェーン” チェーン清掃・注油と調整で寿命を延ばそう!
チェーンメンテは安全で快適な走行に繋がる
ドライブチェーンは、エンジンのパワーをホイールに伝える重要保安部品だ。メーカーのたゆまぬ研究開発によって静粛性や耐久性は向上しているものの、消耗部品には変わりないので、定期的な交換が必要だ。とはいえ、日常的にメンテナンスをすれば耐久性は伸び、走行時の安定性や軽快感を良好に保てる。つまり、気持ちよく走れるということだ。
チェーンはおよそ500㎞も走行するとチェーンの油膜がなくなってしまい、摩耗が進む。専用品のオイル(ルブ)やクリーナーを使用しての定期メンテが必須だ。
また、チェーンは使っていくうちに伸びる。伸びたチェーンを放置すると、パワーの伝達効率が落ちて遅くなったり、燃費が悪化したりする。そのまま走行を続けると、チェーンの劣化を進めてしまい、最悪の場合は切れて大きなアクシデントにも繋がる。安全・快適に走るため、清掃・注油とと共に張りの調整もマストで行いたい。
[ 起こりうるトラブル ]
- 燃費やパフォーマンスの低下
- 操作性・乗り心地の悪化
- 走行時の音が大きくなる
交換時期の目安
シールチェーン
約1万5000km~2万km以内
ノンシールチェーン
約5000km前後
チェーンの適正たるみ量
20~25mm(1000~2000km走行毎に調整)
チェーンの伸びに合わせてチェーンアジャスターで調整する。張り具合と共にアジャスターが左右均等になってホイールが真っ直ぐかもしっかりチェック
Maintenance 1 清掃
[ 必要な道具 ]
チェーン清掃で必要な道具は、チェーンクリーナー、拭き取りに使うウエス、擦り洗いで使う歯ブラシ、垂れたチェーンクリーナーを受けるトレー。ほかにはダンボールの切れ端と、養生テープもあるといい
メンテサイクル
500km走行毎or雨天走行後
清掃の前に…… 清掃・注油の準備
チェーン清掃は、後輪を浮かせて自由に回転させられる状態で行いたいので、センタースタンドがない車両であれば、メンテナンススタンドを手に入れておこう。また、車体や地面が汚れないようにチェーンクリーナーを吹き付ける部分の下にトレーと、車体側をダンボールの切れ端でカバーしよう
清掃の手順
①チェーンクリーナーを、チェーンに吹き付ける。この時、チェーンの内側から、外側に向かって全体的に吹き付けること。また、吹き付ける量だが、チェーンクリーナーが滴るようではかけ過ぎ。全体が濡れる程度で十分。タイヤの回転方向は必ずバック方向で行う
②チェーンクリーナーを、チェーン全周に吹き付けたら、2、3分待って汚れが溶けだすのを待つ。乾燥する前にウエスなどで汚れを拭き取る。タイヤの回転方向は、必ず走行中とは逆回転。作業中は、手の汚れ防止と保護のため、手袋を装着しよう
しつこい汚れは歯ブラシで擦る
拭き取りだけで落ちないしつこい汚れは、歯ブラシなどを使って擦り洗いする。この時、注意が必要なのが、ブラシの毛の硬さ。なるべく柔らかいものを選ぶ。ブラシの毛が硬いと、シールを傷めることがあるからだ。最悪の場合、シールを切って内部のグリスが流れ出てしまうのだ。また、擦り洗いを行う時も、シール部分に毛が入らないように、内プレートと外プレートの間を擦るのは避けること
Maintenance2 注油
[ 必要な道具 ]
チェーンへの給油で必要なのは、まず専用のチェーンオイル。今回使用したのは、D.I.Dのチェーンルーブ。ほかに必要なのは、清掃の時と同様、拭き取りに使用するウエス。垂れたチェーンオイルを受け止めるトレーだ
メンテサイクル
清掃を行う2回に1回
清掃の手順
①チェーンオイルの役割は、チェーンの可動部分の潤滑と、シールの保護。だから、チェーンオイルを吹き付けるのは、写真で黄色く示した、チェーン内周側の内プレートと外プレートの間と、ローラーと内プレートの間を意識するといい。とはいえ、あまり神経質になる必要はなく、チェーンの内側に吹き付けるつもりでいい。チェーン全周に一度まんべんなく吹きつければ十分だ
②余分なオイルをそのままにしておくと、走行中に飛び散りバイクやウエアを汚す原因や、タイヤについて危険。なので最後に余分なオイルを拭き取る。また、拭き取りと同時に、全体に塗り広げることで油膜を作り、錆や汚れを防ぐのもチェーンオイルの役割。拭き取りに使うウエスには、あらかじめ少量のチェーンオイルを染み込ませておくとベターだ
③チェーンオイルを吹き付ける時も、スタンド等でリフトアップしリアタイヤをフリーにした状態だと作業がラク。この時もタイヤの回転方向は、走行中と逆回転が鉄則。正方向に回すと、手を巻き込む可能性がある