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【BMW・G310GS】U400で行こう!

400クラス以下のバイクは身近な存在になってくれる
車格、性能のどれをとっても日本の環境に合っている
無理をせずに長く付き合えるのがUnder400の魅力だ
今回はGSシリーズの最小アドベンチャーを検証

問:BMWカスタマー・インタラクション・センター 
70120-269-437 http://www.bmw-motorrad.jp/

GSの名に相応しい性能がコンパクトボディに凝縮

世界中で高い評価を得ていて国内でも不動の人気を誇るアドベンチャーツアラーがBMW・GSシリーズだ。その末弟がG 310 GSである。上級モデルのR・GSやF・GSが最新の電子制御技術を導入して常に高性能化を進めているのに対し、小排気量のシングルエンジンを搭載したG 310 GSは、必要最小限の装備で、価格、性能をより身近なものにしているのが特色。多くのGS乗りからは格下に見られている印象があるが、日本の道を走るには大型モデルより適している部分が多いのだ。

シングルエンジンの排気量は312㏄。シリンダーを後方に傾斜させ、前方吸気、後方排気とした特殊なレイアウトを持っている。排気量からも分かるとおり、国内では普通二輪免許(中型二輪)で乗ることができるのが魅力のひとつだといえるのではないだろうか。

実車を前にするとやはり、車高があるぶん大柄に感じる。シート高も835㎜あるので平均的な日本人には乗降しやすいとはいえないかもしれない。しかしシートに腰を下ろすと前後サスペンションは程よく沈み、想像するより足着きは悪くない。さらに幅のあるハンドルもやや手前に角度がつけられているので、上体が直立してなじみやすいポジションが確保できる。また車重も175㎏なので取り回しに苦労することもない。

現行モデルは21年にモデルチェンジされた2代目で、電子制御スロットル(ライドバイワイヤ)、スリッパークラッチを採用している。最新の24年モデルではカラー変更が行われた。

あくまでも初代モデルとの比較になるけれど、ライドバイワイヤによってスムーズなパワーフィーリングとなった。シングルらしさはもちろん感じられるが、全体的に滑らかなものとなりレスポンスも良くなっている。エンジン特性そのものは低中速重視で、市街地からワインディングまで力不足を感じることはない。まあ厳密にいうと、低速トルクがもう少しほしいと感じるところもあるのだが、排気量を考えればマイナス要素にはならないと思う。

ハンドリングに関しても非常に馴染みやすく、軽快性も高い。フロント19インチタイヤによる安定性の高さも乗り手をリラックスさせてくれる。前後サスペンションの作動性も良好で、これならロングツーリングも快適だ。

Specifictions

DATA

エンジン : 水冷4st.単気筒312cc 
最高出力 : 34ps/9250rpm
最大トルク : 2.8kgm/7250rpm 
車重(装備) : 175kg
シート高 : 835mm 
燃料タンク容量 : 11.5L
タイヤサイズ : F=110/80-19、R=150/70-17
カラー : 赤、黒、白/青

ユーロ5へ適合させるためライドバイワイヤを採用した水冷DOHC4バルブ単気筒エンジン。一段とスムーズで軽快なレスポンスを発揮する特性となった。312㏄の排気量ながら34psの最高出力を発生しており、日常域で十分力強く扱いやすい出力特性だ
小排気量モデルながらGSの名に恥じないアドベンチャースタイルを構築。基本デザインはGSシリーズを踏襲していて、ダート走行を想定しマフラーは後方へ跳ね上げられている。フロント周りのデザインもアドベンチャーツアラーらしい
サスペンションはフロントにφ41㎜倒立フォーク、リアはシングルショック式でプリロード調整可能となっている。ホイールトラベルは前後とも180 ㎜を実現し、ダート走破性を高めている。ブレーキは前後シングルで、フロントにはラジアルマウントキャリパーを装備 燃料タンク容量は11.5L。レギュラーガソリン仕様がありがたい。また30㎞/L超の低燃費も実現。とはいえ15L容量はほしいところ。ダブルシートは着脱式で、日本国内向けはシート下にETC車載器スペース

ダートでは?

コンパクトボディだから林道ツーリングもOK
アドベンチャーツアラーとしてはコンパクトなボディなので、日本の狭い林道にも対応できる。未舗装路への進入も躊躇なくできるし、ストローク量の大きく作動性の良いサスペンションのおかげで、ダート走破性は良い。マディや荒れた路面には適さないが、フラットダートならなんの問題もない

街乗りでは?

複雑に入り組む都会の道も広い視界で軽快に駆ける
自然の真っただ中へ入り込んでこそアドベンチャーツアラーの醍醐味だが、スリムでコンパクトなG310GSは都市部の道でも高い機動性を発揮してくれる。ハンドリングの軽快性ではネイキッドのG310Rに分があるが、安定性が高く気軽に扱えるのがGSの特色。目線も高いのも安心感が大きい。取り回し性も良好だ

高速道路では?

移動を楽しむ感覚で高速巡航するには問題なし
最高速度は143㎞/hとなっているので、120㎞/h区間でもまったく問題なく走行できるエンジン性能だ。しかも基本的に低中速トルクを重視したエンジンなので、本線合流への加速にも不安はない。車高は高いがホイールベースが長く、フロント19インチタイヤということもあって直進安定性が高いのも高速走行では有利

ワインディングでは?

メリハリあるコーナーワークでスポーティに走れる
グイグイ旋回するようなキレのあるハンドリングじゃないのだが、クセのない素直な操縦性で安定感のあるコーナリングが満喫できる。作動性の良いサスペンションの動きを利用してリズミカルに操作すると、ダイナミックでメリハリあるワインディング走行ができる。またパワー不足を感じることもない

日本の風土にマッチした最良のツーリングモデル

GSといえばやはり、1300を頂点とした大型アドベンチャーツアラーが主役である。しかし日本の道路環境の中で持てる性能を発揮させようとするなら、走る道や乗り手のテクニックが限定される。そこへいくとこのG310GSは、車体サイズ、走行性能のどれをとっても日本に合っている。このカテゴリーにある日本製バイクには、スズキVストローム250/250SX、ホンダNX400があるが、250ではパワー不足、400だとちょっと大きいと感じるライダーにG310GSはまさにうってつけ総評日本の風土にマッチした最良のツーリングモデル[ Review ]街乗り高速道路ワインディングツーリング ダートだ。そしてツーリングファンに最良の1台でもある

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