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【カタナ専門ショップ・ユニコーン⑮】部品価格と整備の最新トレンドを紹介

専門的二輪車の世界には道を突き詰める楽しさあり!
スズキ・カタナシリーズのスペシャリストとして活動する横浜市のユニコーンジャパン
その代表を務める池田隆さんは極めて豊富な経験と知識を持つ世界最高峰の“刀職人”だ

(BikeJINvol.250 2023年10月号より抜粋)

スズキを代表するレジェンドバイクであるかつてのGSX1100Sカタナを中心に、カタナや旧車にまつわる話を展開してきたこのコラムも、今回で最終回となります。連載を開始した約1年半前と比べても、1100カタナ関連の部品は価格が上昇傾向にあるし、カタナの専門ショップであるユニコーンジャパンには、修理や整備や中古車購入の相談が益々増えてきている状況。大変心苦しいのですが、我々も外部新規のお客様についてはフル整備以外の受け入れをお断りせざるを得ないような状態になってきています。

ユニコーンジャパンの新製品となるKATANAレーシングフロアマット(3万3000円)。車体が長めなカタナに合わせた90×220㎝サイズのハイクオリティ仕様だ
現在のユニコーンジャパンには、ショールームとカフェが併設されている。「カタナのことなら、訪ねてくれたら助言できることがたくさんありますよ」と池田さん

1100カタナは、ファイナルエディションでも発売から20年以上が経過しているので、中古車のタマ数はごく少数。とくに、状態が良好な車両は手放さないオーナーが多いので、中古車として巡り合える機会は本当に少なくなってしまいました。

そのような現状はもちろん熟知しているのですが、とはいえ他店で購入された中古車の整備や修理に関する相談でユニコーンを訪れた方々の現車を確認したり話を聞いたりしていると、価格の割には状態が……ということが本当に多くて驚きます。最初に予算ありきで探し始めて、たまたまどこかのショップで条件に合う中古車を見つけ、現車を確認しに行って衝動的に購入を決めてしまったというパターンが、かなり多い印象。それですぐに調子が悪くなり、うちに泣きついてきた人たちの話を聞いてきて、最近はこう思っているわけです。「旧車を購入するのに、ちょっと皆さん安易すぎやしませんか?」と。

これは旧車に限らず、本来は中古車全般に言えることなのですが、中古車を買うというのはどういうことなのかを考え、まずはとにかく“調べる”ことをしてほしいです。とくに旧車の場合は、その車種の専門店があるかどうかくらいはすぐに分かるはず。どの部品が手に入るのかとか、整備を受け入れてくれるのかなどもなるべく把握しておくべきです。

極論を言えば、バイクは新車で買うのがランニングコストは一番低いんです。当然ながら装着されているパーツはすべて新品ですし、最近は長いメーカー保証もありますから。それと同じ感覚で中古車を購入すれば、もしかしたら購入直後に予定外の消耗品交換や修理の費用が発生して、慌てることになりかねません。かといって、バイクは基本的に“人を乗せて走らせるモノ”ですから、置物のように飾っておくなら話は別ですが、消耗品の交換や不具合の修理を放置すれば、命の危険に直結。例えば、中古購入したバイクにかなり古いタイヤが装着されていたのに、「まだ大丈夫そうだから」なんて交換代をケチって転倒なんていうのは、じつによくある話です。

もちろん、少し背伸びしてでも憧れていたバイクを手に入れたいという気持ちは、私にも理解できます。でも、夢を叶えたいという気持ちだけに突き動かされて中古車選びを失敗したかわいそうなユーザーの姿を、これ以上見たくありません。

本来であれば、その中古車の購入後に必要となる整備や修理について、販売する側がしっかり説明するべき。とはいえユーザー側も、中古車を購入するなら最低限の知識を持つべきだと思います。私たちが若い頃は、周囲にバイク乗りの“先輩”が多くいたので、中古車を買うリスクというのは常識として受け継がれてきました。でも今は、そういう環境は少ないはず。だから個々がいろいろ調べて、賢くなることが大切なんです。

ユニコーンジャパンは、結果的にはユーザーがその後に得られるメリットが多いからこそ、フルレストアにより完調な状態に仕上げられたレジェンドカタナの保証付き認定コンプリート中古車の製作と販売にこだわってきた

最後はなんだかちょっぴり重たい話になってしまいましたが、安易なことで結果的に損するような事態を避けて、皆さんが末永く楽しいバイクライフを送れることを願っています。

ユニコーンジャパン代表
池田隆さん

85年にスズキ専売店「神戸ユニコーン」を創業し、徐々にカタナシリーズのパーツを開発。94年に神戸から横浜に移転し、自社生産カタナの販売などで注目を集めてきた

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