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[ビーナスラインコラム]LOVEビーナス②

単純な道としてではなく、周辺環境や訪れる人たちの思いにも魅力がある。
ビーナスラインを走りたくなる理由とは?

霧ヶ峰に惚れて移住しました

白樺湖から県道40号を霧ヶ峰に向い、車山肩を過ぎると印象的なダブルヘアピンがある

ビーナスライン愛が高じて霧ヶ峰に移住したのをきっかけに、SNSで霧ヶ峰のリアルタイム情報を発信するようになってバイク仲間が増えました。「もっとみんなとつながれないかな」という思いがつのり、「ビーナスラインの魅力を伝えたい」「訪れるライダーが増えて地域活性化につながれば嬉しい」そんな気持ちで立ち上げたSROV(スカイロードオブビーナス)も5年になりました。

下桑原牧野農業協同組合と霧ヶ峰商業会の協力で、霧ヶ峰インターチェンジの駐車場にバイク専用の区画が誕生したのが最初の実績でした。だんだん行政のかかわりが増えてきました。道路の補修が迅速に行われるようになり、道もきれいになってとても走りやすくなっています。

バリエーション豊かなワインディングロードとロケーションがビーナスラインの大きな魅力ですが、ライダーには霧ヶ峰のワインディングロードが一番のオススメです。車山を越えて霧ヶ峰駐車場につながる直線に出る前の連続カーブは爽快です。霧ヶ峰側からヘアピンを過ぎての登りは空に向かって駆け上がるような景色にときめきます。挙げればきりがないほど魅力にあふれていて何度来ても飽きないのがビーナスラインです!

あなたもビーナスの常連になりませんか。

SKY ROAD OF VENUS
山田裕作さん

「ビーナスライン」でボランティア活動や地域活性化に積極的に取り組む「SKY ROAD OF VENUS」(SROV)を運営。ビーナスライン霧ヶ峰駐車場にある霧ヶ峰農場直売所に勤務している

この辺りの林道はとにかく明るい美林が魅力!

森も林道も手入れが行き届いていて山林を大切にする地元の方の気持ちが伝わってくる

走って爽快なビーナスラインの周りには、これまた走って楽しい砂利道、つまりはダート林道が結構たくさんあるのだが、実走調査してからかなりの時間が経っており、現在も通れるのか?の情報がちょっと不確定なので詳細な紹介は差し控えることにしよう。……なんて焦らしてもしょうがないので、大体の場所を書けば諏訪湖の北側と、高ボッチへ上る道路の西側。この2つのエリアを全部走ることができれば50㎞ぐらいダートが楽しめる。

この地域の林道の素晴らしさは、日本屈指の森の美しさ。“そんな森に美しいもなにもあるの!?”と思うかもしれないが、あるのだ。

というのも我々が走らせてもらう林道は、本来林業を行う作業道。人の手が入ることを前提とした植林なのだ。ただ、最近は林業が廃れている地域ばかりで、走っていると荒れ放題、手入れが行き届いてない山も多い。そんな森はなんだか薄っ暗く、空気もどんより。

ところがこの辺の山は、諏訪大社の御柱が切り出されるような由緒正しき森である。山林の手入れが行き届いていて、山相がとにかく明るく晴やか。まるで公園か庭園を走っているような気分になる。

この美林。言葉を返せば、それだけ地元の方が大切にしているということでもある。そんな美林を走っていると、“ちょっとだけお邪魔します!”という感謝の気持ちが自然と湧いてくるんだよね。

ライター
谷田貝洋暁さん

本誌連載企画“深堀バイク日誌”を担当するライターで、オフロード専門誌での実走林道調査の連載していたこともあり、叩けばホコリがいくらでも出る。林道単独行ならではの緊張感が大好物

恋しさつのる“すぐそこ”のビーナス

ほっくり甘~い霧ヶ峰のじゃがバター! そしてキノコ汁も山菜おこわも本ッ当に美味しい!

「今年もうビーナス行きました?」そんな私の問いに「うん、いったよ」「いや、まだ」「霧まではね」と、スルスルと答えてくれる常連ライダーのみなさん。軽井沢の入り口にある黄色いバイクウェアのお店“カナリーノ”で喫茶コーナーのお店番をするようになって早4年。これはもう季節の挨拶だ。朝駆けビーナス後にコーヒーを飲みにきてくれたり、これからちょっと寄ってこようかな、とホットドッグをぺろりと平らげ早々に駆け出して行ったり、実に信州のライダーは身軽で気軽にビーナスラインへ駆けてゆく。

「裏山みたいな気分なんスよね」と、その人曰く“イマイチ”の雲海写真を見せてもらえば眼下一面モリモリの白い海で、どこがいまいちやねん! と突っ込まずにいられないほど地元ライダーたちの目はことビーナスラインの景色に対して肥えまくっているのを実感しています。

実は未だに私にとってビーナスは「誌面や画面の向こうの道」。十数年前BikeJINのDVD撮影で、何度も誌面越しに見ていた道の中を走ったふわふわしたキモチ。その後も取材で訪れさせてもらう度に毎回変わる景色。そして今、ビーナスの思い出を連れてやってきてくれるお客さん越しに一時間半向こうのじゃがバターへ思いを馳せる、そんな近そうでまだ遠いビーナスです。

多聞恵美さん
本誌「うまいもんツーリング」担当。SHINICHIROARAKAWA 軽井沢店カナリーノで喫茶担当日は営業日カレンダー“TamonCAFE”
記載→http://s-arakawa2.shoppro.jp/?mode=f3

試練と成長の証

すべて手に取るように分かるビーナスライン、でも飽きない

「とりあえずビーナスライン行ってきなよ」編集の“へ”の字も知らない、なんだったらバイクの“バ”の字も怪しい(ついでに東京も)僕が、編集部にアルバイトとして勤務していた若かりし頃に、当時の編集長が言った。BikeJINの編集部員が「あのビーナス」に行ったことないなんてありえない──。みたいな口ぶりだった。

その頃の僕はビギナー中のビギナー。高速道路なんて怖くて乗れないしバイクも不慣れ。そんな僕に当たり前のように片道300㎞のツーリングの提案。ついでに「まぁまぁいいから」とも。編集部員の必須科目として、次の休日に、ビーナスラインに旅立った。

結果、楽しくなかった(笑)。渋滞にハマる、高速道路怖い、霧ヶ峰を通らずに美ヶ原高原へ、霧が濃い、めっちゃ寒い。散々だった。要するに、ビギナーがやりがちなミスを全部やって帰ってきたのだ。

そのあともプライベートでの再挑戦も悪天候によって失敗に終わり、完璧な条件のビーナスラインを走れたのは4回目の挑戦だった。朝日に照らされながら走るビーナスラインは、写真で見てたよりずっとずっと良かった。そんな経緯があるせいで、その1回の景色がより鮮明に覚えていて、自分の中で特別な道になっている。

編集長になった今。もし新しい編集部員が来たら「ビーナスラインに走りに行っといで」と言うと思う。でもあの時自分が見たビーナスラインの景色が1番だろうから、控えめに「まぁまぁいいから」くらいでオススメしとくかも。

編集長モリ
本誌編集長。ここには何度も訪れていて、思い入れもある道のひとつ。基本、ビーナスラインは日帰りエリアだったけど、今度は泊まりで行ってみようかなぁ……

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